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「日本の底力は『おもしろければなんでもあり』にあり」

マーティ・フリードマン氏(元メガデス・ギタリスト)インタビュー【前編】

2008年4月17日(木)

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 学生時代、はじめてのバイト代でコンポを買った。声に魅せられて岩崎宏美、アイドルだったら松本伊代、そのうち洋楽も聴き始め、ウォークマンで持ち歩き、クルマを買ったらカーステで…そんな自分だったのに、いつの頃からか、聴きたい音楽がすっかりなくなってしまった40代男性。それがわたくし。

 テレビの音楽番組でかかるのは、なんだか独りよがりの曲ばかりに聞こえるし、家族ができると、自分が好きな曲よりまずは子供の童謡だ。今、自分が聴きたい曲はどこに、いや、そもそもあるんだろうか。あるなら、どこで探せばいいんだろうか。

 「これじゃあ、音楽産業が元気ないのも無理ないな。そもそも『J-POP』なんて言い出した頃から、俺たち聴きたい曲がなくなってきたんだよ! ヘタウマとか、どこかの洋楽のパクリとか、自分の小さな幸せとか、なんだかそんな曲ばかりじゃないの?」…と、思っている方、私以外にもいらっしゃいませんか。

 ところが、そんな漠然とした思い込みに鉄槌を下す本を読んでしまった。筆者は「メガデス」というヘビーメタルバンドで全世界に1000万枚以上のセールスを記録したギタリスト、マーティ・フリードマン氏。彼は、J-POPの華原朋美、B'zの曲を来日時に聴いて衝撃を受け、バンド脱退後、日本に住み着いてしまったというのだ。

 恐ろしいのは、彼の視点にかかるとJ-POPの数々が「日本でしか生まれ得ない、ものすごく挑戦的な音楽」に見えてくることだ。だから、本で紹介されている曲を聴きたくなってくる(私は読み終えた直後に、iTMSで一気に24曲買ってしまいました)。彼は明治時代に日本美術を再評価するきっかけを作った、アーネスト・フェノロサのような存在、なのかもしれない。万事、悪い方に考えすぎて、自信喪失気味の日本だけど、マーティの目で見ると気分が変わってくる。ここはひとつ、「ニッポンのものづくり」を、そしてそれを支える人々を、素直に励ましてもらおうか。

(なお、マーティ氏の発言をできる限り忠実に再現するため、いくつかくだけた表現がございます。ご容赦下さい)

(聞き手、日経ビジネスオンライン 山中 浩之)

マーティ・フリードマン

マーティ・フリードマン
1990年代、ヘビーメタルバンド、メガデスのメンバーとなりアルバムセールス1300万枚超えの世界的なスーパーバンドへと導いたギタリスト。その後、J-POPに興味を持ち、メガデスを脱退。活動の拠点を東京に移し、ミュージシャンやプロデューサーとして活動している。3月12日にはセルフカバーアルバム「Future Addict」を発売した。
同時に、日本の音楽や日本語の魅力について、外国人やミュージシャンならではの視点で様々なメディアにおいて語っている。「日経エンタテインメント!」の連載「J-POPメタル斬り」も大好評。公式ページはこちら。「nikkei TRENDYnet」での連載はこちら

山中: 「音楽を聴かなくなったなぁ」と思ってから、ずいぶん経つんです。たぶんバンドブームの頃から、聴きたい曲が世の中に流れなくなったように思えて、結婚したら生活も変わって、音楽から離れてしまったんです。たまに耳に入ってくる曲があっても、「ちゃんと聴きたい」と思うきっかけがなかったんですね。ところがこの本を読むと、「え、J-POPって意外に音楽的にも奥が深いのか、なんだか面白そう」だなと、ものすごく久しぶりに、いま流れている曲を聴きたくなってきました。

マーティ: 普通、音楽にハマっている時期って、結婚する前のデートの時とか、ドライブに出掛けたりする時とかだよね。でも、結婚して子供が産まれて、ほとんど仕事と家で過ごすことになると、新曲を聴く環境じゃなくなる。

―― そうそう。新しい音楽を聴く場所やタイミングがなくなっちゃうんです。

マーティ: それはめちゃくちゃ「損」と思います。だって生活から音楽がなくなると悲しいでしょう。結婚して、ちゃんと仕事をやってることで、音楽を聴けなくなるのは避けたいと思いますね。でもね、音楽を探すのは自分の責任でしょう。ちょっと探せば、宝物をいっぱい見つけられますよ。

 それに、音楽と思い出はつながってるんです。結婚する前には楽しい思い出がたくさんあったでしょう。それって、その時に聴いた音楽とつながっているはず。

―― そうそう。それで、昔の曲ばかり聴いたりしている。

マーティ: でもそれは、逆に考えた方がいいんですよ。音楽は、これからの新しい思い出のBGMだって。家族や奥さんとの思い出と結びつける曲は、そのときに聴いていた曲なんです。だからぜひ、懐かしい曲じゃなくて、新しい曲を探して、楽しんで欲しいですね。

「パクリ」で影響を与え合う、それは音楽の基本です

―― ところが、我々の年代ぐらいになると、探す時にどうも思い込みがはいるんですよ。「J-POPは若い人向けで、つまらない」とか、「パクリだろ」とか、「洋楽のマネ」だとか……。

マーティ: 誰がそれを言いだしたのかは知らないけれど、それはバカな人だよね。どんな音楽でも、ミュージシャン同士、いろいろ影響しあってる。ビートルズだって、プレスリーから影響受けてるじゃん。プレスリーも、チャック・ベリーも、影響しあってるじゃん。

 どんなミュージシャンも、100%、誰かの影響を受けてるから、パクリとかそんなことは考えない方がいいんですよ。「その音楽が好きだから。好き」。誰かがパクったとか、パクリ=悪とか、もったいないよね、その考え方。だって僕、ビートルズは嫌いだけど、PUFFY大好き(笑)。

 そういうイメージは、すごく消えてほしい。だって、まったく同じように洋楽だってパクっているんだし。日本では元曲が分からないから、わからないのかな。それに……最近、アメリカのアーティストは日本のアーティストをパクってるよ。 ビジュアル系の影響が少しずつ入っているし、イメージだけじゃなくて、音楽のセンスもパクってる。僕の音楽だって、日本に住んでいる影響がいっぱい。みんな、お互いに影響あるんだから、そしてそれがいいんじゃない。

ジャンルがユルイから楽しい融合がいっぱい

―― この本の中で「えっ」と思ったのが、アメリカの音楽状況です。「ラップ、R&B、ロック、細かいジャンル分けがしっかりあって、そこから絶対に外れない」という話はすごく意外だったんですよ。あちらは音楽の先進国なのだから、いろいろ新しいことをやっていて、新しいジャンルや音楽がどんどん生まれているんだろう。そこからJ-POPはおいしいとこ取りをしてるんじゃ、ぐらいに思ってましたけど、そうではないんですか。

マーティ: アメリカでは確かにジャンルがしっかりしているんですが、結果的にその枠に縛られているんですよ。例えば向こうのヘビーメタルは、ほかのメタルバンドからはパクるけど、ラテン系の音楽からパクれない。ディスコミュージックからもパクれない。

 ところが日本では、ジャンル関係なしに好きだったらパクる(笑)。ほかのジャンルからパクっちゃダメ、みたいなルールがないから、結果的にはすごく冒険的に、面白いものが生まれてくる。たぶん失敗作も出るかもしれないけど、冒険する時って、そういうものでしょ。

 おかげで、メチャメチャ面白い、オリジナルな融合が生まれてくる。だから、日本でジャンル分けが強くないのは、とってもいいことだと思います。

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● サイン会案内

マーティ・フリードマン+SHELLY
トークショー&サイン会…は、大盛況で終了しました。ありがとうございました

単行本発売を記念したイベント開催が開催されました。マーティ本人がJ-POP愛を熱く語るトークショーのほか、本を買っていただいた皆さんにはサイン&握手、さらにプレゼントまでつく豪華版でした。さらに、トークショーのお相手として、伝説の深夜番組「Rock Fujiyama」で共演していた元気娘・SHELLYの参加、奮ってご参加くださ…った皆さん、ありがとうございました!

【マーティ・フリードマン トークショー&サイン会】

4月23日(水)20時より
TSUTAYA TOKYO ROPPONGI(東京・六本木)にて

問い合わせは、電話03-5775-1515(TSUTAYA TOKYO ROPPONGI)

イベントの詳細はこちらをご覧ください

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「「日本の底力は『おもしろければなんでもあり』にあり」」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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