今回お話を伺った吉田憲一さんは、ベーリング海で操業する世界最大級の水産加工船のファクトリーマネージャーをされている。国籍もばらばらな120名ものスタッフを率いて、2カ月間、昼夜分かたずスケトウダラなどの加工品を作り続ける。
さまざまなものを背負って生きてきた吉田さんの圧倒的な存在感を感じた。仕事に対する厳しさ、あくなき探究心。どんな状況であっても必ず課題あり、それを探求していく姿勢。「努力とは何か」と聞いたときに、「常に何かある。それを考え続けているかどうかだ」とおっしゃっていた。
そうできる人は、なかなかいない。現状がうまく転がっていたら、それで満足してリラックスしてしまうというのが普通なのに、あくなき探究心を持ち続けている。そこにしびれた。
こうした姿勢を部下にだけ求めるのではなく、むしろ自分にそれを科している。そうでないとリーダーとして説得力が出ない。ああいうリーダーなら、部下も言うことを聞かざるをえない。口だけではなく、自分もやって見せているわけだから。
吉田さんは、人を評価するということの重大さをよく分かっている。評価のポイントがその人の「人格力」に置かれている。採用の時にも「あいさつがきちんとできるか」「言葉に嘘がないか」という点を重視する。それはなぜかというと、今のスキルがどうかではなく、この先、その人が「どれくらい伸びるか」に重きを置いている。
また、部下がトラブルで損失を出した時にも、損失そのものではなく、部下の仕事に対する姿勢を見ている。そのトラブルにどう向き合ったかを評価している。これは「良い成果主義」だ。表面的な数字だけの成果主義なんて、誰でもできる。
真面目に仕事に向き合う気持ちがあるなら、必ず伸びる。そこを見ている。これは経験に裏打ちされた人の評価の仕方だと、リアリティを感じた。僕が「どんな人でも性根を入れ替えることはできますか」と聞いた時に、「ダメなやつはダメでしょう」と吉田さんは答えた。
きれいごとではなく、現場でずっとやってきた人のリアルなすごみを感じた。一方で、今はダメでも、ちゃんと変われる人もいるということもおっしゃっていた。吉田さんの現場の厳しさが伝わってきた。まさに仕事師たちの集まりで、毎日毎日仕事ばかりの日々を過ごし、それでお金を貯めてまた散っていく、強烈な仕事だ。
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