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紛争はいかに解決されるか?

「防衛省」は「平和省」への脱皮を図れ!(CSR解体新書38)

2008年4月22日(火)

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 自衛隊イラク派遣をめぐる集団訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(青山邦夫裁判長)は航空自衛隊によるバグダッドへの多国籍軍の空輸が「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」との判断を示しました。

 日本の司法は長らく、高度な政治的問題について判断を下さない「統治行為論」のシナリオで憲法判断の回避を続けてきたので、今回の判決は画期的なものです。

憲法は国の暴走をストップする

 前回、憲法は本質的に国民の自由や権利を守り、国権の暴走を防ぐこと、そしてそれを多くの人々、とくに子どもたちが理解できているかを考えました。そこにストライクゾーン直撃のボールが入ってきたような気がしました。今回の判決には大変にびっくりしました。

 この判決が出なければ、予定では、4月25日の夕刻、京都コンサートホールで行われる演奏会「道義の一押し!」を枕に、全く別の話題を用意していたのですが…憲法判断、さすがに触れないわけにはいかず、予定を変更しました。

 ちなみに上記は、私の音楽渡世上の兄貴、井上道義のプロデュースで、芥川也寸志さん、石井真木さんの作品、それに井上道義の自作自演(これは特に聴き逃せません!)と一緒に、17年前の私の若書き「天涯の碑(てんがいのいしぶみ)」(京都市交響楽団委嘱作品)も久しぶりに演奏されます(当日ステージでお話しするかと思いますが、この作品は法律問題と少し関係があります)。演奏会は日本オーケストラ連盟の主催で、当日のオケは京都市交響楽団メンバーを中心に全国のオケからプレーヤーが集まってくれました。

 道義さんは(ご存じの方はご存じのように)例によって意欲満々で、舞台上でトークその他企画をいろいろ考えており、当日は私も引っ張り込まれて掛け合い漫才のようなことになるかもしれません。

 仕事のためご無沙汰が続いていますが、私にとって井上道義という人は、20代の数年間あらゆる現場にご一緒してイロハから教えていただき、家族同然に可愛がってくださった大切な兄です。今回もいろいろ面白い仕掛けを考えますので、とりわけ関西圏にお住まいのご興味の方(遠方の方ももちろん大歓迎)、どうかお運びいただければ幸いです。

 以上少しだけPRさせていただきました。

 さて、本業の音楽から、素人の法律の話に戻って恐縮ですが…。

 行政は米国などの働きかけで、政治的動機から多国籍軍の空輸を続けたい。実際、今回の判決にも福田首相は「傍論でしょ」と空輸自体は続ける姿勢を示しています。しかし、原告団が国に損害賠償を求めた訴訟そのものは、国が勝訴していますから、国側から最高裁に訴える権利がありません。

 報道によれば、原告側は上告しないということですので、今回の「違憲判決」は確定する見通しが高い。ブッシュ後の米国はイラク撤退が加速するはずですし、選挙を考えても、日本政府がこのインパクトを無視し続けることはできないでしょう。

 裁判所=司法は、行政が政治的に判断した自衛隊の多国籍軍空輸を「違憲」と判断した。子どもに「三権分立は大事」とか「憲法は国権の暴走をストップする」と100回言うより「裁判所が政府にダメと言った」と説明する方が分かりやすい。

 現実には裁判所も国の組織の一部です。上で触れた「統治行為論」など、お上の方針に国の内部が割れるようなことはできるだけしたくない。今回の画期的な判決も、青山裁判長が今年3月に依願退職したため、組織内での今後に縛られずに下すことができたものでしょう。官僚機構の内在論理から自由に「司法の独立」を決然と守ることができたのだと思います。

 「傍論」ということで下級審を拘束することがなく、司法現場に残る同僚への影響も考慮されている、国は訴訟自体では勝っているから、文句を言うことができない…見れば見るほどよく考えられた判決だと思います。青山さんは歴史に貢献する判例を残して判事を退かれました。

グローバル社会での「社会的責任」

 今回の判決にはポイントが2つあります。

 1つは「自衛隊の活動は非戦闘地域に限られ、武力行使と一体化しない」という「イラク特措法」の規定に鑑みて、国際的な武力紛争の一貫として人が殺傷されモノが破壊されているバグダッドを「2003年3月当初のイラク攻撃の延長で、多国籍軍対武力勢力の国際的な戦闘が行われている場所」と認定して、そこへの兵員の輸送が自衛隊の活動が「国際的な紛争の解決手段として武力行使を放棄」した憲法第9条第1項に違反すると明言したこと。

 もう1つは、原告側が請求の根拠とした「平和的生存権」に関して「憲法9条に違反するような国の行為、すなわち戦争の遂行などによって個人の生命、自由が侵害される場合や、戦争への加担・協力を強制される場合には、(国=行政による)その違憲行為の差し止め請求や損害賠償請求などの方法により、(国民が)裁判所(=司法)に救済を求めることができる場合がある」との見解を示したことです。

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