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仕事の“売り”は何か

2008年4月25日(金)

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 野村證券のインサイダー取引でここのところニュースはかまびすしい。「市場を汚した」と謝る社長の苦悩、情けなさはいかばかりなものかと、その記者会見を見た。報道によるとその事件を起こした社員は優秀だったそうだ。

 だが、自分が選んだ職業が何を“売り”としているのか、肝心なところが抜け落ちていた。証券会社の売りは市場ルールの“信頼”だというのに。

 「僕らの商売は夢を売ることや」
 私が新人の頃教わったのはある芸人さんの師匠だった。

 当時私は大衆車と呼ばれるクラスの車に乗っていた。「皆が乗る車に乗っていたらあかん。僕らは夢を売る商売や。高価でなくてもお洒落な外車とかあるやろ」。それ以来、私は外車しか乗っていない。

 ある師匠はその弟子にこうも言っていた。
「僕らの商売で大事なのは“笑い”や。何をしてもいい。どんなに社会規範を逸脱してもいい。笑いをとれたらすべて許す」。

 師匠でも社長でも、新人にその職業の要としていったい何を叩き込むのか、その手腕が問われるのが、この4月という社会人一年生を育てる期間だろう。“売り”が抜け落ちた悲劇はなにも証券会社だけで起きているのではない。

 友人が、ある有名な和食料理屋を電話予約しようとしていた。
「ですから、6名、7時までに行くよう頑張ります。でも、遅れるかもしれないんです」

その言いように苛立ちが見えた。
「ですから、7時を目指しますと言っているのです」

 どうやら、店側は7時までに入店しないとダメと頑なに言っているのだろう。よくいるマニュアル店員の融通の利かなさが予想できた。後に、友人は私に店に電話してくれるよう頼んだ。私はその店の女将と旧知の仲だったからだ。

 私が女将に確認すると、明朝すぐに席を確保して連絡しますと返事をもらった。そして、明朝、今度はその店のご主人からじきじき私のところに電話が鳴った。

「6名7時予約できますよ。ちなみに貸切部屋もあるのですが、そちらになさいます?」

 私の友人に確認すると「子供がいるので貸切だとありがたい」とのこと。で、さっそく貸切を予約した。小さい子を持つ親たちが他の客への迷惑を気にせず座敷でゆったり食事をする光景が私の脳裏をよぎった。

 そして、その日。友人から悲鳴の電話が私にかかった。

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「仕事の“売り”は何か」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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