「茂木健一郎の「超一流の仕事脳」」

あなたの脳はまだまだ成長する

〜茂木健一郎の「脳活用法スペシャル」〜

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2008年4月29日(火)

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今回の『プロフェッショナル〜仕事の流儀』(4月29日放送)は、「脳活用法スペシャル」。茂木健一郎氏が視聴者のさまざまな相談に脳科学の立場からこたえるという趣向だ。そこで本コラムもビジネスシーンで多くの人が経験するような状況について、茂木氏にこたえていただいた。

リーダーにとって必要な資質や姿勢はどんなものでしょうか?

 リーダーは揺るぎないビジョンと確固たる自信が必要だと僕は思います。特に新しい事業に取り組む時に、リーダーは不動点にならなければならない。脳は「確かなもの」と「不確かなもの」のバランスを取るという性質があります。この脳の確実性と不確実性のポートフォリオという意味からみて、リーダーが不動点にならないと、絶対に下はついてこない。リーダーがふらふらしていると部下は「不確かなもの」、新しいもの取り組めないからです。だからリーダーは内面が揺らいだとしても、それを外には見せてはいけない。

ストレスに向き合う時、「良いストレス」と「悪いストレス」があるのでしょうか?

 自分が努力すれば良い結果になる可能性のある緊張する状況は「良いストレス」だと思います。その状況に向き合うことで自分が成長できる「伸びしろ」があるかどうかです。逆に、自分がどう努力しても悪い結果にしかならないという状況は「悪いストレス」です。この状況を避けるのは僕は決して“逃げ”ではないと思う。

 むしろ、どうしようもない状況からさっさと撤退するというのは、重要な決断の1つです。努力すれば伸びしろがあるのかどうか、見極めること。状況を判断して撤退することは大事なストラテジーで、常に立ち向かうことが必ずしも脳にとって良いことではありません。

それでは「報われない状況」において努力を続けることは無駄なことなのでしょうか?

 無駄ではないのですが、脳の「強化学習」の回路が回りにくい状況です。だから、その時にはそれなりの判断をしなければならないでしょう。好むと好まざるとにかかわらず、脳は成功体験によってしか強化学習の回路が回らないという意味からから言うと、いつまでたっても報いが得られないことからは撤退するというのが選択肢だと思うのです。

 ただ、ドーパミンには「予想することによって出る」という要素もあります。だから、「希望を失わない」ことによって、長い間報われない努力でも脳の中ではモチベーションが維持されるということがあります。

 僕がクオリアをやっているのがまさにそうなんですが、いつかクオリアの問題を解くと思い続けているから、努力が維持されている。だから、厳しい状況でもそれがもし大事な本筋のことで、自分の人生においてそこから逃げるという選択肢が無いのだとしたら、いつかは報われるという希望を持ち続けることが大切です。「楽しき予測をもって自分を支える」ということは十分あるし、ドーパミンの放出のそういうメカニズムはありますから。

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不屈のリーダー、極寒の荒海へ
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NHK総合テレビ
4月22日(火)午後10:00〜10:45
・再放送
 総合 毎週火曜 午前1:05〜1:49
     (月曜深夜)
 総合 毎週火曜 4:05〜4:49
 BS2  毎翌週水曜 午後5:15〜5:59
 仕事に集中できない・・・、物忘れがひどくなった・・・・。これまで番組には、仕事や勉強をする上での「脳」にまつわる悩みが、数多く寄せられてきた。実は、脳は何歳からでも工夫次第で鍛えることができるということが、脳科学の知見でわかっている。
 
 実際にはどうすれば脳を鍛えられるか。4月29日の祝日にあわせ、脳のプロフェッショナルである番組キャスター・茂木健一郎が、自らの体験をもとに編み出した脳活用術を一挙に紹介するスペシャル版。
 
 茂木流脳の活用術は、電車の乗り換えの間など細切れの時間をあえて使う「短時間集中法」、暗記や記憶力を高める「鶴の恩返し」勉強法など、ユニークなものばかり。さらにスタジオには、脳に関する悩みを送っていただいた方をはじめ視聴者を迎え、その素朴な疑問にも答える。


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著者プロフィール

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)

茂木 健一郎

1962年、東京都生まれ。東京大学大学院卒業。「クオリア(感覚質)」を手がかりに、脳と心の謎に挑む新進気鋭の脳科学者。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。



このコラムについて

茂木健一郎の「超一流の仕事脳」

毎回、1つの分野で超一流の仕事をしている人物を追うNHKのテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」。キャスターを務める脳科学者の茂木健一郎氏が、番組を通じてその人物から受けた刺激をさらに深く考察して語るコラム。

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