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イロの詐術に気をつけろ!

意識の死角とマインドコントロールの技法(CSR解体新書39)

2008年4月30日(水)

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 去る4月3日東京地裁は、とある会社の民事再生手続開始申し立てに対して、手続き開始の決定を下しました。その会社は「エムピージー」(本社・東京都墨田区)と言います。

 同社は1982(昭和57)年に設立された浄水器・栄養補助食品販売会社で、全国に代理店網を構築して訪問販売を行い、バブル期の1993(平成5)年9月期には年商180億円を上げていたといいます。しかし、平成構造不況の下で売り上げは年々減少し、2007(平成19)年9月期の年商は28億円にとどまり、さらに今年の3月14日、岩手県から「根拠のない効果を示して高額な浄水器や健康食品を売りつける連鎖販売取引(マルチ商法)を行っていた」として、傘下の代理店と共に特定商取引法違反で処分を受け、今回の倒産に至ったということです。

 この会社のホームページを見ると「風化造礁サンゴ」を利用して水道水を硬水にする「カルシウム溶出器」が宣伝されていました。本体価格1台18万円、交換カートリッジ6万円弱。浄水器の値段としては安いものではありません。耳慣れない「風化造礁サンゴ」というのは、やはり同社のホームページによると、沖縄の海岸か海底の砂を炉の中で600度ほどの温度で焼成して、細かく粉砕したものらしく、特許なども取得しているようです。

 いまこの原稿を編集部に入稿する時点で、同社の特許関連のページにリンクを張っておいたのですが、先週から今週にかけてページが撤去されてしまいました。

 ちなみに沖縄のサンゴ由来の砂の原料価格がどれほど高いのかは知りませんが、洗浄・焼成・粉砕などの生成過程だけなら、どうしてこのカートリッジが6万円もするのか、価格の算出根拠がよく分かりません。

浄水器マルチ商法の実態

 またこの製品の効能について、私は定かに判断できないのですが、テレビで報道されていた、この会社のマルチ商法現場のビデオは、それが本物であるなら、かなり悪質なマインドコントロール手法を活用するものでした。上記の岩手県の行政処分に基づいて、ポイントを確認してみると

1)勧誘者が友人知人に、同社の販売する家庭用浄水器を紹介する連鎖販売取引であることを告げずに、同社説明会場に誘導する。
(「どこか体の痛いところはありませんか?」「明日一緒に話を聞きに行きましょう、話を聞けば膝の痛いのが治りますから」等とのみ告げて勧誘する、など)

2)説明会で、マルチ商法の「上位ランク」誘導者が、カルシウムの有用性に関する医学博士らの講演や水道水の危険性に関するビデオの上映や、同社の家庭用浄水器を通過させた水の良さに関する実験などをしてみせる。
(「水道の蛇口にこの器械を取り付けると水道水がアルカリに変わり、体の毒がみな体の外に流れて良くなる」など、商品の効用について不実の事を告げる、など)

3)新たな顧客を勧誘するためのロールプレイング(芝居)、同社の連鎖販売で得た利益によって外車やマンションを買った等の体験談の発表などを行う。
(歩けなかったのが同社の家庭用浄水器の水を飲んで歩けるようになったという人を実際に歩いて登場させ、ステージ上で紹介する、など)

4) 説明会終了後、(あるいは説明会を経ることなく直接自宅に勧誘者が赴いて)約30万円の同社の家庭用浄水器の販売、連鎖販売取引を締結させる。
(自宅の水道水を検査してみせ「お宅の水も体に良くないですよ」「こんなに汚い水を飲んでいるんだね」「このまま水道水を飲み続けるとガンになる、生活習慣病になる、これは100%だ」などと告げて消費者の心理的不安を煽り立てる、など)

コメント9件コメント/レビュー

デパートに行けば様々なサブリミナル的な仕掛けが施されています。わざわざイロを取り上げて記事にするほどのことではないと思いますが・・。多かれ少なかれ「情」が入ってくることは、裁判員制度の導入にかかわらず、あることです。これまでのこのコラムの議論を読んでいると、「知」>「情」という公式が見えてしまうのですが、これが真かどうかという、根本的な議論が必要だと思います。(2008/05/02)

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いただいたコメント

デパートに行けば様々なサブリミナル的な仕掛けが施されています。わざわざイロを取り上げて記事にするほどのことではないと思いますが・・。多かれ少なかれ「情」が入ってくることは、裁判員制度の導入にかかわらず、あることです。これまでのこのコラムの議論を読んでいると、「知」>「情」という公式が見えてしまうのですが、これが真かどうかという、根本的な議論が必要だと思います。(2008/05/02)

プレゼンに用いるパワーポイントの配色に気を使うのは当たり前だと教えられてきましたが、マインドコントロールという言葉で表現されると何とも怖いですね。(2008/05/01)

「検察側が裁判員を色彩等によってマインドコントロールできる」という筆者の主張には、論旨そのものは否定しませんが、主張の前提に以下のような疑問があり、検察による裁判員のマインドコントロールに対しては、筆者の様な心配をする必要はないと考えます。むしろ、裁判員をマインドコントロールする(又は先入観を与える)ことができるのは、検察よりもマスコミではないでしょうか。予断や単なる印象の下に、被告人を大悪人に誇張したり無実の人を犯人扱いした例は枚挙に暇がありません。1.検察が裁判員に対して、メディアマインドコントロールを仕掛ける理由が無い。検察は裁判員に対し、被告人が有罪であることを弁論と証拠によって説得できるので、わざわざ裁判員の無意識に訴える必要はない。逆に、弁護側には理由がある。被告人は犯人ではない、と事実関係を弁論で争う(=実際に犯人か否かはともかく、被告人の不幸な人生や罪への反省等、情状酌量は訴えない)一方、資料により裁判員に「被告人には同情の余地がある」という判断を無意識のうちにさせ、有罪になった場合の刑罰を軽くさせる、という作戦を取るかもしれない。2. 『ほとんどすべての法律関係者の方は、マインドコントロールの認知に関しては、正確な科学的内容をご存知ではないでしょう』と筆者が言うとおり、今のところ検察側は記事のような事実・効果を知らない。その技術や効果も知らない以上、検察にマインドコントロールを行おうという動機は生じない。(それとも、この記事を読んだ検察官が、これからマインドコントロールの勉強を始めるのか?)(2008/04/30)

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