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ディールを決めた真夜中の卓球勝負

~日興アントファクトリー 会長兼社長 尾崎一法氏(4)

2008年6月12日(木)

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職業としての「社長」を自ら選び、活躍している人をお招きし、将来、経営層を目指す人々に、自身の経験を語っていただくトークセッション「Road to CEO」。今回は投資ファンド、日興アントファクトリーの代表取締役会長兼社長の尾崎一法氏をゲストに迎えた。氏は石川島播磨重工業を経て、日本合同ファイナンス(現ジャフコ)で勃興期のベンチャーキャピタルに身を投じ、ジャック・ウェルチに憧れてGEへ。そこへ、日興アントファクトリーから「全件委任」での誘いがやってきた。


日興アントファクトリー 会長兼社長 尾崎一法氏

司会、山中(以下Y) 日興アントファクトリーへ、好き勝手をやらせてもらいますということで移られた。まず、どんなプランを立てたんですか。

尾崎 ジャフコで15年、GEで2年投資をやっていて、そこでやれなかったことや、やりたいことがはっきりしてきたわけです。

Y どんなことでしょう。

尾崎 ベンチャーキャピタル投資を決済するときに、多数決だと自分の考えとは「別の結論」が出るわけです。例えば、僕はだめだと思っていても、いいと思う人たちの数が多ければ、ゴーサインが出る。逆に、自分が担当役員として出した案件が、今度は通らなかったりする。だからずっと違和感があったのが1つ。それから、「こういう案件をやりたいんです」と言ったとき、例えばヴァージンの件(Part2参照)はやらせてもらえなかった。儲かったのにやらせてもらえなかった。なぜかというと、いわゆる「典型的な形」に適合していないとやらないんですね、審査部が通してくれない。

 ところが、投資というのはしょっちゅう状況が変わって、同じ形は二度とない。だから、投資技術もレベルを上げていかないと案件をリードできないんです。投資のスタイルが固定化してしまうんです。審査基準ができると形が固定化する。某社では公開確率というのがあって、「その企業の公開確率は60%」とか言う。でも、その60%はどうやって出すか、明確には分からないんですよ。審査部とネゴをすると(確率が)上がったり下がったりする。そんな話なのに、結構それで投資の可否が決まるんですね。

 でも、一番僕がつらかったのは、自分で金を入れた会社の経営に関与できないということです。当時は取締役に入っていけなかったんです。自分で入ったら一番安心できるはずなんですけれども、それをやらせてもらえないということですね。

 それから、バイアウトとか何かに限らず必要なら51%取ればいいじゃないかと思うんですけど、「VCがそんなに取っちゃいけない」とかですね。「なぜですか」という議論はなしなんです。

Y なしなんですか。

尾崎 ええ。「じゃあ、しょうがないね」と流れた話も幾つかありました。

 それから、GEについて言えば、会社としてのレピュテーションリスクというのがあって、「こういうのはやらない」という業種制限がある。あと、とにかく「重たい」ですよね、いろいろなジャッジが。学ぶことが多かったのでGEの2年間は非常に貴重だったんですけれども、やっぱりフラストレーションはたまってくる。それを全部新しいとこをやらせてもらうというのが今の状態です。

悪いのは弁護士、出て行ってくれ

Y では具体的に、アントの場合はどんなふうにおやりになるんですか。

尾崎 我々の1号案件のヴァージンシネマズでお話しすると、これは投資してから1年後に2倍以上で売却できた、とてもうまくいったディールでした。すでにジャフコはじめ、そうそうたるキャピタルが1回、全部見て、皆さんターンダウン(投資を断念)した案件です。僕はたまたま社長とか関係者を知っていて、交渉期限ラスト1週間前に行ってその場で決めたんです、「やりましょう」と。

 普通、そういうことはその場では決められないんですよ。当時はうちも小さくて、私が自分で決めて、それからデューデリ(ジェンス)をしたんです。そのスピード感とか投資観で決められるという気持ちよさですね。気持ちのいい決断は、そんなに外れないんです、長くやっていると。経営内容を調べていくのはだめ押しのためです。ビジネスモデルと、その場でいただいた書類とか、なにより経営者と話をしているうちに、だいたい分かるんです。

 最後にエグジット(投資回収)なんですけれども、上場を狙うか、売却するか。これもすごくスピードが必要で、ジャッジは躊躇できない。この場合は上場会社で業界の最大手に売ったんですけれども、当初は売り手、買い手の値段に倍以上の開きがありました。

Y そんなに。

尾崎 それを真ん中に収めるのをやったわけです、3カ月かけて。あと幾つかの妥協なり合意があって、最終的にクローズ(締結)したんです。その辺は、責任を曖昧にするサラリーマン的な、委員会にかけるやり方ではできない。ヴァージン側も最終的にはリチャード・ブランソンさんと、彼が任せたナンバー2の方と直談判をし、買い手はオーナーの意向を確認しながら進めました。

 最後は、3月31日中にクローズしようということで交渉が続いたが、夜中12時過ぎたんですね。でも紛糾して値段や条件が全然歩み寄らないんです。

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「ディールを決めた真夜中の卓球勝負」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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