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アフリカに授業を宅配しよう!

社会基盤としての教育/私たちにできる貢献(CSR解体新書47)

2008年6月27日(金)

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 今回はまず、一昨年私が指導した学生の書籍をご紹介させてください。白石惠美さんは2006年4月、東京大学教養学部文科3類に入学しました。前期の授業で半年間ご一緒した学生です。私のコースでは「自作問題による卒論型レポート」という課題を出します。彼女の仕事は、手続き上は改善の余地もあるものの、下手な卒論や修士論文より遥かに立派な仕上がりで、私は最高点の成績を出しました。

 ところが白石さんは9月にそれを提出した直後、突然の脳血管障害で倒れて、10月に急逝してしまったのです。私は11月にお母様から「遺作になったレポートが手元に残っていないので、コピーが欲しい」というご連絡を頂くまで、想像だにしませんでした。18歳、あまりに早すぎます。

 今回出版された『「中国残留孤児」帰国者の人権擁護』(明石書店)は白石さんが高校1年から2年にかけて、つまり16~17歳の時期に書いたものが、ほぼそのまま本になりました。市販の書籍として販売するに値するものを、高校2年生で書き上げていたのです。自分で問題意識を持って調べ、自由研究課題として学校に提出、後に「図書館を使った“調べる”学習賞コンクール」高校生の部で文部科学大臣奨励賞を受賞ました。ティーンエイジャーの立派なアカデミックワークです。詳細はぜひ上記のリンク、またできれば書籍も直接手に取ってご覧ください。

 この仕事が下手な大学生や院生の仕事より遥かに優れている一点は、中途半端な現実的妥協がないことです。高校生とは思えないクオリティーとは別に、やや性急とすら言える理想への志向が見られますが、そこで目指されているのは、残留孤児に対する国家賠償のあり方を巡る「現実的な理想」の論点です。

 この仕事の続編として、大学に進学してから白石さんが取り組んだ仕事では、パットナムの社会資本の議論を援用しながら、どのようにして彼らを自立した社会集団として日本社会の中で定着させてゆけるかが問われました。私がアドヴァイザーになった論文です。こちらでは帰国した孤児社会を、単に多少の補助金を与えてそれ以上の策を講じず、結果的にヒモ付きでぶら下がったまま放置するのではなく、固有の社会価値を持った集団として根づかせてゆく方途が模索されます。やはり極めて現実的な課題を、高い理想を掲げて追求するものでした。

 秋葉原の事件で芸大生の武藤舞さんが犠牲になったと聞いた時、第一に私の脳裏をよぎったのが白石さんでした。学年で考えれば白石さんの方が1級下に当たります。かたや18歳、そしてかたや21歳。優れた能力と、そして何より人間的な篤い志を持った、自分の年の半分にも達しない学生たちが亡くなるのを見送るほどに、不条理を痛感させられることはありません。

小学校は子どもで溢れかえっている

小学校は子どもで溢れ返っている

 ここ数年、私は数人の若い学生や友人たちを失いました。彼ら彼女らに恥じない仕事をしなければ、と常日頃考えています。今回はそんな中の一例として、アフリカへの理科教育、技術教育の宅配をご紹介したいと思います。

 「週刊新潮」の「掲示板」にも書いていますが、JICA(国際協力機構)の「青年海外協力隊」や「シニア海外ボランティア」の制度が生かせますので、もし「自分もやってみようか」とご興味の方がおられましたら、ぜひこちら、またこちらをご参照いただければと思います。

コメント3件コメント/レビュー

「チベット虐殺」も教育の受け損ないが原因なんでしょうかね(2008/06/27)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「チベット虐殺」も教育の受け損ないが原因なんでしょうかね(2008/06/27)

感動しました。希望が見えました。勇気が沸いてきました。ありがとうございました。(2008/06/27)

この度の記事は大変感動致しました。混乱の極みに至ったルワンダにあって、その再生に当たる方々の崇高な意志に出会った伊東さんの感動と賞賛のお気持ちが伝わってきます。その中に日本の方々が沢山参加されている事にほっとしました。経済や産業や技術の統計で日本の国の順位を比較する視点ではなく、この様な「志」を持った個々人を育てるという事が日本における教育の最大の目標ではないかと思います。日本は明治時代にお雇い外国人に相当お世話になった御陰で今の豊かさがあります。中には高邁な理想を新興国に実現したいという熱情をもって教育に一命を捧げた方々もいらっしゃいます。私達日本人が今、問題を抱えている国々のお手伝いをさせて戴くという事は返礼として必要な事かもしれません。私自身は高齢者介護の仕事を学んでいる最中のもので、伊東さんの道とは異なりますが、自分の立ち位置の中で目の前の人の幸福に繋がるケアを身に付け、自分と他人を育てて、職務を全うしたいと思っています。貴重な様々な示唆に富む記事を有り難うございました。(2008/06/27)

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