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持続可能な未来を切り開け!

「貧困撲滅」の新しいシナリオへ(CSR解体新書48)

2008年7月4日(金)

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 21世紀、国際社会あるいは人類が直面する大きな課題として「南北問題の解消」と「貧困の撲滅」を挙げることができます。そして第三世界の多くの国々は、明治以来の百数十年、あるいは第2次世界大戦後の数十年で奇跡的な復興と経済発展を遂げた日本を、理想的な手本のように考えていることが少なくありません。

 翻って日本人の視点から見れば、戦後の高度成長が「いいことずくめ」でないことは、いまさら強調するまでもないでしょう。そもそも隣国を見舞った悲劇である朝鮮戦争の特需が復興の端緒となったこと。昭和30年代の重化学工業化は水俣や四日市など深刻な公害の被害を生み出しました。もし21世紀の今日、中南米やアフリカの発展途上諸国が、こぞって重化学工業化による経済発展に血道を上げ始めたなら、一体どんなことが起きてしまうか?

キガリ市内中央部の電飾広告版

キガリ市内中央部の電飾広告版に突如として「CSR」の文字が! 実は社会保険ファンドCaisse Sociale du Rwanda の貯蓄広告でした

 一方で温暖化対策など、様々な環境問題を抱える私たちの惑星は、そのような濫開発に耐えられる保証がありません。現実に1990年代以後、中国で進められた重工業化の影響を、私たちは黄砂や酸性雨の形で体感させられてもいます。今回の「CSR解体新書」は「CSR」、すなわち企業の社会的責任の中心的課題として問われる「環境問題」に久しぶりに焦点を当ててみたいと思います。

 私たちはいかにして、地球全体の環境保全と、最貧国の社会経済発展という、喫緊の2大課題を矛盾なく解決することが可能になるのでしょうか? その切り札と言うべき「サステナブルディベロップメント」の考え方と実際について、ルワンダでの具体例を引きながらご紹介したいと思います。

外貨作物生産で外貨が失われる

 話をいったん、1990年代の中国に移してみましょう。当時中国では日本向けの農産物生産が盛んになったといいます。しかし日本に野菜を売ろうとすると、例えば曲がったニンジンなどは買い取ってもらえない。まっすぐに育てるためには、そのために農薬を投入しなければならない(ちなみにニンジンをまっすぐに育てる農薬、というのが、どういうものなのか、私自身は理解していませんが、ちょっと怖い気がします)。ともあれ、厳しい品質水準が問われる日本向け輸出作物の生産では、クオリティーコントロールのために、中国農家は高価な農薬を(日本から)大量に購入しなければならなかった。現実にはそんな背景状況があったそうです。

 確かに中国農家では日本向けに売れる野菜の単価は従来より高くなった。入ってくる現金の額も大きくなった。しかし、それらを作るために出てゆく、農薬その他の出費もまた少なくない金額になった。結果的に借金を重ねる中国農家も多かったらしい。

 21世紀に入って中国国内での高級食材消費が圧倒的に伸びて、中国の農家はもはや日本向けに野菜を作りたがっていないという話を聞きました。例の「毒入り餃子」事件にしても、様々に複雑な背景が存在していると聞き及びます。

 さて、90年代の中国に限らず、途上国が農産物で外貨を得ようとする時、肥料や農薬などによって外貨が失われてしまえば、手元に残る円やドルは結果的に小額にとどまります。中国農家に日本向けの生産を勧めた日本企業は、一方で国内農家より安価な生産者を確保するとともに、彼らを顧客として円建ての農薬なども同時に売っていた。還流型ODA(政府開発援助)の企業版のようなビジネスモデルが組まれていたわけですが、これでは途上国が十分に経済発展を遂げてゆくことはできません。ビジネスは経済援助ではないと言う方もあるでしょうが、モノには程度があります。そこで問われるのがCSR(企業の社会的責任)ということになるわけです。

有機栽培で差別化を図れ!

 途上国の農家が、せっかく高価な薬を使って「厳しい」基準をクリアしても、それらは「農薬だらけ」の野菜や果物にほかなりません。市場に出した時必ずしも高価に取引されるとは限らない。むしろ先進国では有機栽培された完全無農薬農作物が、高い付加価値を持っている。

 こうした点に目をつけた途上国の「大学」があります。コスタリカのアース・ユニバーシティは進んだバイオテクノロジーを活用して、国内でのバナナの有機栽培を推進しました。品種改良によって低農薬や無農薬で高品質のバナナが作れるようになると、今度は大学自体が起業の中核となって、「安心して食べられるコスタリカのバナナ」を北米大陸全体にセールス展開、チキータ・バナナなどの既存シェアに大きく食い込む成長を見せるに至ります。2008年現在もコスタリカの高級有機バナナは販路を拡大しているところです。

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