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ビジネスモデルとしての生態系構築

持続可能な未来を切り開け2(CSR解体新書49)

2008年7月10日(木)

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 ルワンダのリポートを続けていますが、大変ありがたいことに、日経ビジネス オンラインの「毎日一冊!日刊新書レビュー」で、麻野一哉さんに私の『バカと東大は使いよう』を書評していただきました。麻野さん、いろいろご指摘、大変に参考になりました。編集部にもお礼を申し上げます。今回はこの本で扱っている大学の問題と、一見すると関係なさそうに見える本連載との関わりから、話を始めたいと思います。

 共通するキーワード、それは「社会的責任」です。日本の大学や教育を巡る問題で、私は主として「学術の社会的責任」や「科学者の社会的責任」、あるいは「教育者の社会的責任」などの問題を考えています。

 調べてみると面白いもので、日本の学校や大学組織がいかに「官学」体質であるかが、よく分かりました。明治初期に日本は近代西欧学術を受容しましたが、その「学」の伝承はかなりの範囲で、江戸期支配階層の官学である儒学を雛形としています。そこには実は優れた点もあります。また、あまり望ましからざる点もあります。是は是、非は非。美点を伸ばし、欠点は改めてゆくのが望ましいと思われますが、どうも日本という国は、一度慣例ができてしまうと、なかなか改めてゆくことが難しいことを、大学という特殊な場所に勤務してみて実感します。

 よく科学や芸術には国境がない、という意味合いのことが言われますが、現実には米国の学術は極めて米国的、日本の学術は極めて日本的という気がします。同様に、アフリカの科学もまたアフリカらしい特質を持っているように思われます。学術やその社会的責任に関する話題は別の機会に触れることにして、今回はアフリカらしい学術、殖民科学の積極的利用について考えてみたいと思います。

国全体が里山

 ルワンダという国はアフリカのど真ん中に位置していますが、原始のジャングルを見ることがほとんどありません。四国の1.4倍ほどの狭い国土は山がちで、幾つかの国立公園を除いて大半の野山に人手が入っており、それらは畑だったり水田だったり、人工林だったりします。

写真1
狭い国土をフル活用。あちこちにユーカリが植えられている
写真2
角がたいへん立派だが、これでも牝牛

 以下、素人の聞き書きをそのまま記しますが、10世紀頃までのルワンダは、火山灰質で酸性度の高い痩せた地味の場所に、ピグミー系の半狩猟民「トゥワ」の人々が生活していた。そこに後に「フツ」と呼ばれる人々が移住してきて、細々と農耕を営んでいたのだそうです。この後15~16世紀頃ルワンダの農業生産力は一挙に向上するのですが、それは主として、牛を飼う少数の遊牧民「ツチ」の人々が合流して農耕と牧畜が一体化した文化が創られ、家畜の糞などの効果で土質が改善されたことの影響が大きいといいます。その名残なのでしょうか、現在でもルワンダでは牛を大変に大切にしています。

写真3

三圃作の畑。北部ルヘンゲリ近郊の農村にて

 20世紀に入り、欧州の殖民政策が導入された後も、農業生産性の向上が一貫して図られます。当時導入された「ジャガイモ(アイリッシュ・ポテト)」と「除虫菊」それに「牧草」の三圃作は現在でも一般的で、家畜が牧草を食みながら落とし物で土壌を肥やし、そこでジャガイモを育て、合間に蚊取り線香の原料を作って土地を休ませるようです。除虫菊は欧州でのクローバーみたいなものでしょう。でもマラリア対策などに、蚊取り線香は大変重要です。

 これは歴史の偶然に大きく依拠すると思われますが、ルワンダでは20世紀を通じて「殖民科学」としての、化学薬品などをほとんど使わない第1次産業を巡る知恵が育まれてきました。高価な薬剤などを導入しようにも外貨がない。それが結果的に、環境の破壊を防止することに繋がっていたのです。

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牛島 信 弁護士