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手強いボスを頷かせるたったひとつの方法

~コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン社長 斎藤和弘氏(4)

2008年7月31日(木)

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 「BRUTUS」で実売・広告収益を劇的に改善した斎藤氏は、「プロダクト(雑誌)もセールス(広告)も、同じ考え方で動かなくては」という発想にたどり着く。その考えを実践する場所として現れたのが、「VOGUE」を擁するコンデナストだった。


コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン社長 斎藤和弘氏

司会、井上(以下I) これまでのご経験が、斎藤さんをして編集だけでなく、造本、配本コストや広告収益をひとりでマネジメントできるように育てた。今につながる声が掛かったのもそのおかげということでしょうか。

斎藤 「BRUTUS」の編集長になって4年目に、「Casa BRUTUS」という本を創刊します。それは「BRUTUS」というブランドのエクステンションとして考えたんです。

 メディアをいかにブランドにしていくか、延々考えていたんです。「Casa BRUTUS」を作り、「次にどうしようか」といったとき、マネジメントの問題に当然なるんです。プロダクトを作る人間、つまり編集者は私の管理の中にいます。ところが広告ページを売る人間は広告部に担当者がいるんです。本を売る人、販売部はまた販売部という権限の中にいる。メディアのブランド化をしていくとき、「これでいいのか」と考えたんです。

 広告営業のA君は「BRUTUS」の広告も売っているけど、「an・an」も「Tarzan」も売っています。「それでブランディングはできるんでしょうか。ちょっと無理だな」と。1つのメディアのブランドに対して、「プロダクトもセールスも、全部一緒の考え方で動かさないと無理でしょう」と思い始めた。

 それで会社に提案したんです、社長に。「『BRUTUS』を子会社にして、私に人事権と予算権と、編集権をください。利益はすべてお返しします」と。当時の社長は「面白いけど組合を誰が説得するんだ」という話になり、無理だった。

 子会社問題というのは、とてもセンシティブな問題で、なかなか動きが取れないんです。それで、ある種、あきらめたので、そのときに想像したマガジンハウスにおける私の未来は、「役員になって、5年ぐらいのほほんとして、それで終わるんだろうな」と。

 そうしたら、ある日、今の雑誌のボスのところから電話があって、「『VOGUE』の社長をやってみないか」という話が来たんです。もし編集長というオファーだったら私はたぶん受けていません。なぜなら「BRUTUS」の編集長をやった方が楽しいからです。

 それで2~3カ月、何回か話を聞いたりしていて、自分がやろうと思っていた考え方とコンデナストがやっているビジネスモデルが同じだったんです。

 それに「VOGUE」というブランドを持っているという強さもあった。私がメディアのブランド化をやろうと思ったとき、唯一できないものは時間との戦いだった。例えば、「BRUTUS」という名前、あるいは「VOGUE」という名前はもう出来上がっていますから、これをいじることはいくらでもできる。だけど、これをゼロから作るためにはものすごい時間がかかると思ったんです。

 それで、コンデナストは「VOGUE」「GQ」「VANITY FAIR」、そういうものを持っている。しかも「ブランディング・メディアとして作っていきます」という考え方だったので、「この社長なら面白いかもしれない」と思って引き受けました。

雑誌という仕事を再び輝かせたい

I 斎藤さんが当時、マガジンハウスで、編集長ではなくて、いわゆるビジネスをマネージすることが必要と思っていたことを、コンデナストは知っていたんでしょうか。

斎藤 たぶん知らなかったと思います。私の前任の社長はイギリス人ですけれども、その彼が奥さんが出産することもあって(イギリスに)戻りたかった。それで、最初に使っていたヘッドハンターは誰も見つけられなかった。2つ目のヘッドハンターで私に来たんですよ。別に私を探していたわけじゃなくて、偶然来ただけなんです。

司会、秋山(以下A) 斎藤さんって、仕事環境を、自分のやりやすいようにしよう、しようと思っていたら、最後に社長にたどり着いたという感じですね。

斎藤 そうですね。雑誌のビジネスをやってきて、「一番やりやすい環境は何か」というのがずっと命題だったんです。社長になってからは、編集だけじゃなくて、販売とか広告の人たちにも、「雑誌という仕事には、まだ可能性と面白さがあるんだ」ということをどうやったら証明できるか、がテーマなんですよ。

 そう思うのも、私は30年間、この業界にお世話になったし、非常に楽しい仕事人生を送ってこられたから。20代で、最近「雑誌をやりたい」なんていう人はいなくなってきました。やっぱり楽しそうに見えない。ベルトコンベアみたいに、毎月8ページ、次の月も同じようなテーマで8ページ、来年も同じように、とやらされたらそれは嫌でしょう。

 広告も、クライアントに行って頭を下げて、はい、もらってきました、でもこれが最終的にいくらで売れるのかよく分かっていません、みたいな状態のセールスをいくらやってもしょうがない。

 うちは広告セールスのやり方もほかの出版社と全然違っていて、一応代理店は入っていますが、ダイレクトでクライアントと交渉している。しかも代理店枠は基本的に本の中にないんです。そうするとセールスは、全部のレスポンシビリティを持たなければいけませんから、「どうやって売りますか、どこまでギャランティしますか」という話になるので、とても面白い仕事になっているんです。

I 現在だと2誌の編集長も兼ねられていたるということは、全部を統括することが大事ということでしょうか。

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「手強いボスを頷かせるたったひとつの方法」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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