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【第3話】人間、手の数以上の物は持てんのや

2008年7月23日(水)

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 高校卒業後、夜のミナミで働きだした小川は100万円の札束を懐に豪遊する男に出会った。夜の黒服生活に飽きを感じ始めていた小川は一獲千金を夢見て、不動産業界に入る。すぐに月100万円を超える稼ぎを実現したが、そのやり方は乱暴なもの。今でこそ、子に道徳を説く小川だが、その頃の彼は自分の欲望に負けていた。

「人生について」

小川:おい、今日は「人生について」っていうテーマでやるで。

サクラ:えっ、人生?

小川:おう、そうや。人生や。

リュウジ:んん?

小川:何か漠然としたテーマやけど。お前ら、人生って何だと思う? どういうことやと思う? 言うてみ?

サクラリュウジ:・・・・・・。

小川:サクラ、どうや。

サクラ:そんなん、生きるっていうことやろ。

小川:うん。まあええわ。ほな、リュウジはどうや。

リュウジ:うーん、一生。

小川:そやな、何か説明すんの難しいわな。そやけど、お父ちゃんが今日、このテーマを選んだ理由はな、お前らに自分の人生についてよく考えてほしいからや。そしてな、自分なりに満足のいく人生を送って、幸せになってほしいと思うからや。オレの言ってること、分かるか?

サクラ:うん。

リュウジ:それは分かる。

小川:お前らが今後、どんな人生を歩むか分からんけど、肝心なことは「幸せに生きる」ということや。そのためには、いつも「足るを知る」と思うことやで。分かるか、この「足るを知る」って言葉?

リュウジ:たるをしる?

サクラ:うん、満足しろっていうことやろ。

小川:おう、そうや。カネ儲けをして1億円を持ったところで2億円の物が欲しかったらカネは足らんやろ。足らんかったら、悩まなければならなくなる。逆にな、100万円しか持っていなくても欲しい物が50万円なら悩まなくてもいいやろ。オレの言っている意味が分かるか?

リュウジ:うん、分かる。

小川:これが、「足ることを知る」ということや。両手に物を持っていて、別の物を持とうと思うたら、どちらかを置かないと持てへんやろ。人間、手の数以上の物は持てんのや。これは、欲を捨てるということでもある。足ることを知れば、余計なことに悩まんでもすむんやで。

サクラ:うん。

小川:これは、カネだけの話じゃないで。お前ら、『はだしのゲン』を読んだろ。あのゲンと比べて、お前らは幸せか。

リュウジ:そら、そうや。

小川:そやろ。人生、生きている限りはいろんな悩みや辛いこと、しんどいことがある。そんな時は自分が不幸やと思わんと、「はだしのゲン」を思い出して、世の中には自分よりもっと、もっとしんどい目に遭っている人がたくさんおる、ということを思い出して、頑張らなアカンねんで。まあ、その代わり、生きているうちには楽しいこともたくさんあるしな。自分の心の持ち方次第で、人生は楽しくなるもんや。

サクラ:うん。

リュウジ:うん。

小川:最後に、もう1つ言っておくけど、嬉しいことの中には、「達成感」っていうのも入っているんやで。だから、いつも一生懸命に努力するということを忘れるなよ。分かったな。

サクラ:うん。

リュウジ:うん、分かってる。

小川:ようし、そしたら書けよ。

「人生とは“幸せに生きる”ということが大事です」
「幸せに生きるには、どのような時でも“足るを知る”ということが大事です」
「他に大事なことは、ひとりで生きていないということです。いつも家族や友人たちと一緒に生きていることを忘れてはだめです」
「ちゃんと自分の人生の夢や目標を持って、それを達成するために、一生懸命努力することが大事です」
「それと、他の人と共に仲良く生きることが大事です」

小川:「足るを知る」。このことを知るまでに、お父ちゃん、いろんな経験をしたんやで。

****

 「借金王」。バブル時に異名を取った末野興産のマンションにフィリピン人ホステスを仲介していった小川。大成功を収めた彼は、さらなる儲けを狙って、店舗仲介に乗り出した。売りに出ている店舗を金持ちの投資家に売却すると同時に、クラブを経営したい人間にその店舗を斡旋するというビジネスである。

 折しも時代はバブル前夜。小川の目論見通り、ビジネスは順調に伸びた。月の稼ぎは300万~500万円。毎晩のように高級クラブで豪遊していた小川は、店のホステスの紹介である女性と知り合う。この邂逅が、小川を地上げの世界に誘うことに。

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「【第3話】人間、手の数以上の物は持てんのや」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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