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「ホタルで町おこし」の大きな間違い

“環境ブーム”が引き起こした取り返しのつかない自然破壊

  • 宮嶋 康彦

バックナンバー

2008年7月30日(水)

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 今回は、通常連載の特別編として、北海道の小麦農家の話から離れ、ホタルの話をさせてもらおうと思う。 これだけは今言っておかなければ、という強い思いがあるからだ。先週の続きは、明日掲載の本コラムを読んでいただきたい。

 ホタルの里、と謳えば人が集まる。しかし、安易に人を呼ぶための“ふるさと作り”は間違いだらけ。とりあえずホタルを飛ばせば地域が活性するという間違った発想が、生態無視のホタルビジネスを生んでいる。

 近ごろでは、とりあえずホタルの光を楽しんでもらいたい、と、商店や料亭、各種のイベントなどでホタルが放される。世の中はいつもいやしの対象を求めているものだろうが、この数年はかつてないほど、ホタルブーム到来、という印象が強い。

 東京でも今年はずいぶんいろんな場所でホタルが放たれた。表には見えないが、その背景には、ホタルを商いする業者がいるのだ。筆者の知り合いの移動動物園の園長も、ほぼ毎年、料亭などに依頼されて、近県の生息地に出かけてホタルの捕獲を続けてきた。

 「夏になるとな、ホタル欲しいというお客さんが多いんや、頼まれれば、獲りに行くしかしゃーないやん、はっきり言いたあないけど、源氏(ボタル)で1匹150から200円するんとちゃう」

 戦前まで繁盛したという「蛍問屋」(滋賀県守山市が有名。戦前まで100軒を超すホタルの問屋が軒を並べていた)をほうふつさせる話だ。需要は年々高まる一方という。

 「自然とか環境とか、今しは流行だもんで、とにかくホタルは人気が出てきたな、源氏が一番光が強いから人気やけど、光れば、平家(ボタル)でもいいんとちゃう」

20年前に作ったホタルの里に光はない

 ホタルビジネスは、一方で、行政がらみの場合もある。ふるさと創生資金がばらまかれたあと、ホタルの里造りを始めた自治体は多かった。1県に何カ所ものホタル公園やせせらぎ公園が造られた県もあるが、おおむね1県1カ所の割合といっていい。ところが、あれから20年が経ってみれば、まっとうなホタルが移入され、野生化した地域はほとんどない。

 長野県の辰野町や熊本県の旧旭志村は、唯一、ホタルで町おこしに成功した例だろう。ホタル祭りの期間中、何万人もが蛍狩りに訪れる。この1町1村の成功に倣って、ホタル公園を手がけたところもあったが、こちらも成功例に乏しい。

 しかし、もしも更に、ホタルで町や地域の再生を計画している人があれば、これから紹介する男の研究に耳を傾ければヒントが得られるはずだ。少なくとも、苦い失敗の前轍を踏むことはないだろう。地方再生は、やはり、人である。

いるはずのない源氏ボタルが飛ぶ

 一部の高地を除いて、間もなくこの夏のホタルシーズンが終わる。筆者は、かれこれ20年間、ホタルの撮影をつづけてきた。駐車場を完備するなど自治体や団体が蛍狩りを誘致しているホタル名所を2冊の写真集にまとめ、さらに、これまで撮ることが少なかったヒメボタルという陸生の種を全国に訪ね歩いている。

 この世はあまりに昼化されてしまったのではないか。多くの子どもたちが闇夜を知らない。ホタルの光は、月や星と同様に、数少ない自然の輝きである。闇夜の神秘を教え、夜という自然現象の正しいあり方を伝えてくれる。

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