• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

【第10話】楽して得たカネは体にワルいで

2008年9月17日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 借地人に底地を売る“地下げ”でどん底からの復活を遂げた小川。1999年以降、大阪から不動産が動き始めた東京に軸足を移した。その後、都心部でファンドによる物件取得が活発になると、本業の立ち退き業務も急増し始める。何ごともあきらめないことが肝心――。

「幸せについて」

 何度も言うてるように、カネがあるから幸せになるわけではない。高校卒業後のオレはとにかく贅沢をしたい、カネ儲けをしたいという一心やった。ほんで、いろんな悪さをし、この業界に入り、30歳前に独立し、バブルの恩恵を少し受けて、ほかの人より儲けることができた。

 ただな、第1話(「心を強くするために、絶対にやったらアカンこと」)で書いたように、弁護士を通してしか話さない同じ顔の4人姉弟を見た時、カネ儲けって何かって思うようになった。以来、カネについてはいろいろと考えてきた。カネがなくても幸せにはなれるが、そうはいってもある程度のカネはあった方がいい。ただ、扱いを間違えると、カネは凶器にもなる。今回は、カネに対するオレの考え方を伝えようと思う。

****

小川:おい、今日のテーマは「幸せについて」や。

サクラ:・・・・・・。

リュウジ:・・・・・・・・・。

小川:幸せって何やと思う?

リュウジ:ん?

サクラ:幸せやろ。

小川:お前ら、今幸せと思うとるか。

サクラ:うん、思う。

リュウジ:うん、おれも。

小川:それは何でや。

サクラ:そんなん、別に・・・。

リュウジ:そやけど、何となく。

小川:まあ、「はだしのゲン」のことを思えば、お前らは幸せやろ。

サクラ:そら、そうや。

小川:幸せっていうのは、自分で思う、自分で感じるものと違うか。自分が幸せと感じたらそれでエエんと違うか。よう考えてみぃ。じゃあ、もう1つ。カネがあれば幸せになるかな。

サクラ:それは違う。

リュウジ:うん。

小川:カネがあっても、ひとりぼっちやったら寂しいわな。例えば、リュウジ。カネはむちゃくちゃあるけど、ママやユウキ(※2歳になるサクラとリュウジの妹)がおれへんかったら嫌やろ。

リュウジ:そら、そうや。

小川:例えば、家族の誰かが重い病気にかかったり、嫌なことがあって悩んでたりしたら、お前ら幸せを感じることができると思うか。

サクラ:それは、多分、感じへんやろ。

リュウジ:うん、そうやな。

小川:ということは、幸せっていうのは、自分ひとりでは感じることができんわけや。いいか、まわりの人たちも同じように幸せを感じていなければ、自分も幸せを感じることはできへんのや。お前ら、ようわかっとけよ。

サクラリュウジ:ハイ。

小川:人生、嫌なことや辛いことが身のまわりに降りかかってくるけど、その時は「はだしのゲン」とかいろいろ思い出して、少々のことに挫けんと、幸せを感じるようにした方がエエで。世の中には、お前らよりもっともっと辛い目に遭ってる人が大勢おることを忘れるなよ。

サクラ:わかってるわ。

リュウジ:うん。

小川:よーし。ほな書けよ。

「幸せとは、自分で思ったり、感じたりするものです」
「幸福感に包まれた時に、人は幸せを感じます」
「自分が幸せを感じる時は、自分のまわりの人たち(愛する家族とか)も幸せを感じている時です」
「幸せを感じる時に忘れてはいけないことは、社会のルールをきちんと守っているか、自分のやるべき義務を果たしているか。これも、いつも忘れないようにしましょう」

小川: いいか、幸せかどうかは自分の気持ち次第で決まるんや。お父ちゃんは若い頃、カネを儲けることが幸せにつながると思い込んどった。でも、カネがあったって、幸せになるとは限らへん。器量を超えたカネは人生を狂わす。カネは使い方を間違えると凶器になる。それを忘れたらアカンで。

****

 バブル崩壊でエライ目に遭った、っていう話は何度もしてるやん。以来、オレはカネについて3つの戒めを作った。言うなれば、「カネ3原則」。多額の借金を抱えて、地獄の縁を覗いた末に辿り着いた3原則やからしっかり聞いてや。

 第1原則は「世の中においしい話はない」。「そんなん当たり前やろ」ってみな言うと思うで。でも、頭ではわかっとるくせに、目の前においしい話を出されると、すぐに忘れてまうもんや。現実に、オレの知り合いに胡散臭い投資話に引っかかって、家一軒、失ったバカがいる。

コメント15件コメント/レビュー

「楽銭身につかず」について筆者風に書いてみましょう。「楽銭身につかず」やけど、楽銭をもたしてもらわな背丈は伸びんのや、そこでその人間そのもんがでてくんのや。(2008/09/22)

「地上げ屋の道徳教育」のバックナンバー

一覧

「【第10話】楽して得たカネは体にワルいで」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「楽銭身につかず」について筆者風に書いてみましょう。「楽銭身につかず」やけど、楽銭をもたしてもらわな背丈は伸びんのや、そこでその人間そのもんがでてくんのや。(2008/09/22)

いつも含蓄のあるいいお話を聞かせていただいて、本当に心が洗われるような感じがします。正直、自分は株に手を出して大損をした経験が1度でもなく3度もあり、性懲りももなくまだ続けています。今般、こちらのお話をみながら、なぜ自分は失敗したのか、何が悪かったのか、というのを考えながら正直、やっぱりギャンブルで金を稼ごうとした自分が愚かだったということに落ち着きます。(株は投資や、という考えでしたけど、結局自分がやっていることはギャンブルなんですよね。やり方次第なのですが。)だから大きく増えても身につかないんですよね。結局。このお話を通して、自分が人生、世の中に対する見方が落ち着く良い影響がありました。次回で最終回というのが非常に残念です。また、改めて再掲載などしていただけると幸いです。(2008/09/21)

楽は身を滅ぼす。何事も得心、納得ずくでやること。良い戒めです。(2008/09/19)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授