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8:弱点という“呼び水”をうまく使おうよ

  • 渡辺由美子

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2008年10月1日(水)

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【前シリーズ 「アンチ天才のボトムズ流仕事術 ~64歳の現場監督に聞け!」はこちらから】

(「ヤマト「ガンダム」に負けた話の前回から読む→7:完膚無きまでに負けるという「幸運」

―― 負けて、苦しみに耐えるためにいったん「心のゆりかご」に入って、もう一度立ち上がる気力がわいたら改めて勝負に出ると。

高橋 その時はもう自分には足りないところがあるとわかってますからね。自分に足りない部分がわかると、勝つ方法はいろいろ見つかるわけですよ。

―― なるほど。

高橋 足りない分は補えばいいんです。直接的な方法としては、自分で猛勉強をして補う。でも僕なんかは、勉強は嫌いだから(笑)、“外付けのハードディスク”で補うんですよ。要するに協力者を作るんですね。

―― 協力者?

高橋 僕はアニメを作っていて、どこかで一個の作家としては弱いな、と思うところがあるんです。漫画家とか小説家とか音楽家とかの個人で全うできるもの、個人でもって表現が完結する職業の作家性というのは、アニメよりどこか上位の感じがするわけですよ。彼らは作家として、僕よりもちゃんと完成しているというか、強力なエネルギーを持っているんだという風に思っているわけですね。

 じゃあ、自分が個人で成立している作家よりは、エネルギーの総体も質も劣ると思った時にどうするか。ならば、さまざまな能力を持っている人たちの集合体といいますか、集団作業でやってみようと。集団作業ということの手間の掛かり方とか、面倒くささというのもまたあるはずなんですけれども、でも、自分でもって完全体でないと思ったならば、不完全な部分というのは外の能力をいろいろもらわないとできないわけでね。

 テレビのシリーズアニメというのは集団作業で、1人で表現を完結させることができない人でも作品が作れるんですね。また、絵を描く人、背景を描く人、声を入れる人、それぞれのプロが担当することで、1人ではできないような表現が可能になる。集団でものをつくっていくには、みんなの意見を聞かなくてはいけないから、手間や時間がかかることも相当あるんですが、僕の場合は最初から覚悟していますね。その面倒くささは当然起こることで、でもそれは自分のためになるだろうと。

 で、できたものの成果は独り占めしない(Part1最終回「7割で腹をくくって、生き残れ!」)。まあ、結果的に独り占めしちゃったのかな、と感じることもあるけれど、それはあえて拒まなくても良いんじゃないか(笑)と。

弱いところがいい効果を生む

 集団作業で大事なのは、仲間と手柄争いをするんじゃなくて、協力していくことですね。

 人間ってね、1人で何でも決めるというのは本当に大変なんですね。やはりちょっと人の考えに頼ってみるのがいいですよ。僕なんかはもうしょっちゅうですからね。

 人の話もできるだけ聞く。もう耳を傾けざるを得ないですよ。ひとりではできないんですから。

―― 人に頼ることは、自分のプライドを曲げることではないんですね。

高橋 僕の場合は、“弱点”が案外いい効果を生んでいると思うんですよ。

―― 弱点?

高橋 僕にはちゃんとした大人にない、恥知らずなところがあるんですよ。

 よくアニメや雑誌でタイトルなんかの「題字」を頼まれることがあるんですけど、僕は平気で書いちゃうほうなんです。 すると「題字:高橋良輔」なんてクレジットが載って、ちゃんとした人からは怒られるわけですよ。

 「題字は文字のプロが書くべきで、監督がほいほいアマチュアみたいな真似をしたらだめだろう」と。この業界には一芸を大事にしている人がいっぱいいますからね。プロとアマの線引きはものすごく厳しくするし、自分自身もその境界線をみだりに行ったり来たりしないんです。

 ですから、僕のことをプロだと思ってる人は言いますよ。お前はいつまで経っても大人になれないし、恥ずかしくないのかと。

高橋良輔監督

高橋良輔(たかはし りょうすけ)

日本を代表するアニメ監督のひとり。1943年1月11日東京生まれ。1964年、株式会社虫プロダクションに入社。主 な作品に「W3(ワンダースリー)」「どろろ」「リボンの騎士」などがある。虫プロダクションを退社後、サンライズ創業初期に「ゼロテスター」(監督/1973)に参加。代表作として「太陽の牙ダグラム」(原作・監督/1981)、「装甲騎兵ボトムズ」(原作・監督/1983)「機甲界ガリアン」(原作・監督/1984)「蒼き流星SPTレイズナー」(原作・監督/1985) 「沈黙の艦隊」(監督/1996)「ガサラキ」(原案・監督/1998)「火の鳥」(監督/2004)「モリゾーとキッコロ」(監督/2004)「FLAG」(原作・総監督/2006)「幕末機関説 いろはにほへと」(原作・総監督/2006)がある

*****

高橋監督自身の「敗者復活戦」を象徴する「装甲騎兵ボトムズ」。その最新オリジナルビデオアニメ「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」(原作・監督)がバンダイビジュアルより発売中。戦いと孤独の中に深く沈む主人公、キリコ・キュービィの若き日と彼を取り巻く壮大な陰謀が描かれる。最終巻(第6巻)は8月22日発売

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