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9:「他人の凄さがわかる自分」で敗者復活!

  • 渡辺由美子

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2008年10月8日(水)

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【前シリーズ 「アンチ天才のボトムズ流仕事術 ~64歳の現場監督に聞け!」はこちらから】

前回から読む)

―― 監督は、意識して集団とか場を作られている気がします。前々回で少しお話に出た(「7:完膚無きまでに負けるという「幸運」」)「あかばんてん」という会社、こちらは「仲間が集まる隠れ場所」ということでしたが、具体的にはどんなことをされていたのですか。

高橋 僕らが作ったのは一応法人格をもつ有限会社だったんですけれども、それは自分たちの仲間内の仕事場を作るとか、あとはサロンみたいなものでしたね。僕が言い出しっぺとして一応代表はやりましたけれども、会社として仕事をするというんじゃなかったですね。

担当編集・Y ご自身で会社を立ち上げられたのは、どういった理由からだったんですか。虫プロを辞めたのが69年で、あかばんてんを立ち上げられたのが75年ということでしたよね。1つの組織の中にいる人間がそこを辞めて、さらに自分で別の会社を作ろうという発想自体が、当時はなかなかないことだったのではと思うんですけれども。

高橋 どうでしょうね。当時のアニメ業界のことを思い出すと、幾つかの会社はでき始めていましたけれど。でもやはりTVシリーズを制作する目的で作った会社が多かったですよね。僕らの場合は、そこを最終目的にはしていなかったので、なんと言うか…目的地がなかったんですよ。

―― 目的地がない?

Y 他人がつくる組織とは別の視点というか、別の立ち位置が欲しかったという感覚なんでしょうか。

高橋 1つはやっぱり安心感でしょうね。渡辺さんもフリーランスですよね。

―― はい。

高橋 僕も虫プロを辞めた後はフリーでしたからね。フリーというのは善しあしはありますけれども、やっぱりデメリットの面で言うと、結構不安ですよね。

―― そうなんです。

気が休まる場も必要だ

高橋 何か困難なこととか、もしくは仮に仕事がうまくいっていても、うまくいっているならうまくいっている感を分かち合うやつが隣にいたほうがいいし、凹んでいるときに凹んでいることを、競争相手としてでなく、仲間内に何となく気が休まるような形で、自分の凹み感を軽減するような人たちが隣にいるといいじゃないですか。そういう場を僕は積極的に作っていったということですね。

―― なるほど!

Y それは会社の中で同僚に愚痴るとか、何か褒めてもらうとか、そういうものでは充足されなかったんですか。

高橋 僕は虫プロにいた段階では、分かりやすく言うと、あんまり気の弱みは見せなかったんです。他の人はバリバリ仕事をやって、僕は全然仕事をしないでのんしゃらんとしていて、あの程度の仕事をするならやらない方がいいという言い方で……はたから見るとやっぱり、いけずうずうしいですよね(笑)。だけどそれは多少片意地を張っている部分がありました。

―― 周りがみんなライバルだと思うと、弱みを見せられないということですね。

高橋 「あかばんてん」はそういう肩ひじを張る必要が一切なかった場所でしたね。むしろ肩ひじを張らない人たちと一緒に仕事場というか居場所を作って、仕事もやる、遊びも一緒にやるというような場所だったですから。

―― 仕事も遊びも一緒にやるというと、一種のクラブ活動っぽいですね。

高橋 そうですね、もうクラブ活動に近いですよね。

 「あかばんてん」は家賃制度でやっていたんですよ。僕は当然一番高い家賃で毎月何万円か払って、一番安い人は500円という。

人付き合いのコツは、「部下」を持たないこと

Y 500円って。

―― 人によって違うんですか。

高橋 そう、全然違う。だって若い人、まだアニメで稼げない人からはお金取れないじゃないですか。そういう人たちに対して、いろいろフォローはするんです。でもタダじゃないですよ、500円だよ、というような。

Y なるほど。貸事務所みたいな感じですね。何か仕事をしたら、その上がりから事務所に何%入れるべし、というようなことは?

高橋 それもやらなかったですね。ただ僕の場合は、ディレクターの仕事以外にアニメ制作の仕事もやっていましたから、そのギャランティの中から事務所で使う分は幾らか出してましたけどね。家賃だけじゃなくて、みんなで遊びにいくとか、あかばんてん展という展覧会も3回やりましたので、その費用なんかはそういうところから捻出して。

Y 何だか楽しそうですね…。

高橋 楽しいですよ、やれば絶対楽しいです。

―― 「あかばんてん」という場所が代表的ですけれど、監督は、人を受け入れて関係を作るということにとても積極的だと思えるのですが、ご自身では思い当たる理由などはありますか。

高橋良輔監督

高橋良輔(たかはし りょうすけ)

日本を代表するアニメ監督のひとり。1943年1月11日東京生まれ。1964年、株式会社虫プロダクションに入社。主 な作品に「W3(ワンダースリー)」「どろろ」「リボンの騎士」などがある。虫プロダクションを退社後、サンライズ創業初期に「ゼロテスター」(監督/1973)に参加。代表作として「太陽の牙ダグラム」(原作・監督/1981)、「装甲騎兵ボトムズ」(原作・監督/1983)「機甲界ガリアン」(原作・監督/1984)「蒼き流星SPTレイズナー」(原作・監督/1985) 「沈黙の艦隊」(監督/1996)「ガサラキ」(原案・監督/1998)「火の鳥」(監督/2004)「モリゾーとキッコロ」(監督/2004)「FLAG」(原作・総監督/2006)「幕末機関説 いろはにほへと」(原作・総監督/2006)がある

*****

高橋監督自身の「敗者復活戦」を象徴する「装甲騎兵ボトムズ」。その最新オリジナルビデオアニメ「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」(原作・監督)がバンダイビジュアルより発売中。戦いと孤独の中に深く沈む主人公、キリコ・キュービィの若き日と彼を取り巻く壮大な陰謀が描かれる。最終巻(第6巻)は8月22日発売

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