人員削減、成果主義の導入、非正規雇用者の活用…。1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本企業はそれまでの雇用慣行にメスを入れることで激しい環境の変化を生き延びた。その一方で、日本企業の競争力の源泉、社員に深刻な危機が訪れる。日経ビジネスが描いた日本経済の40年、かつて「気楽な稼業」と流行歌に歌われた世界に訪れた変化は今も経営の大きな課題だ。
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2007年4月2日号より
番組を作れないテレビ局、プログラムが書けないIT企業──。
気がつけば、日本中が「正社員だけでは何もできない会社」だらけになった。
コスト削減を優先するあまり、多くの企業が陥った派遣・請負依存の構図。
偽装、捏造、不具合が頻発するのは他人任せの“抜け殻”正社員が増えたから。
非正社員の正社員化や高卒採用拡大の動きも、まだ付け焼き刃の域を出ない。
短絡的な外部依存が、どれだけ現場を退化させたか。
正社員のあなた、そしてあなたの会社は、それに気づいていますか。
(編集委員 大西 康之、安倍 俊廣、熊野 信一郎)
あるテレビ番組を収録するスタジオの様子である。総勢15人のスタッフのうち、テレビ局の社員は5人。大半の仕事は、制作会社の従業員によって支えられている。
「あるある」問題の本質
この番組制作の現場に違和感を抱く業界関係者はいないだろう。程度の差こそあれ、どのテレビ局も同じような状態で番組を作っているからだ。
物語るのは、テレビ局の正社員だけでは何もできなくなった抜け殻化の現実だ。関西テレビが制作した「発掘!あるある大事典II」の捏造問題の本質も実はそこにある。

「あるある」の場合、関西テレビは番組制作を日本テレワークに委託し、日本テレワークはさらに孫請けプロダクション9社に企画や取材、編集を再委託していた。関西テレビの社員として2人のプロデューサーがいたが、内容をチェックする複数の機会があっても捏造を見抜けなかった。調査や取材をほとんど丸投げしているのだから、何がどうなっているのか分からなくても、ある意味当然と言える。
全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)の調査によると、民放とNHKがプライムタイム(午後7時から11時)に流している番組のうち、テレビ局が自ら制作している番組は3割しかない。ATPの工藤英博理事長は「テレビ局のプロデューサーは番組作りよりも、スポンサーと競合する企業の製品や、差別用語のチェックに追われている」と指摘する。
番組制作はテレビ局にとってコア中のコア業務のはずだ。それをなぜ自ら投げ出してしまったのか。
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