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社員が壊れる【3】憂鬱なオフィス~あなたは監視されている

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2008年11月12日(水)

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 人員削減、成果主義の導入、非正規雇用者の活用…。1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本企業はそれまでの雇用慣行にメスを入れることで激しい環境の変化を生き延びた。その一方で、日本企業の競争力の源泉、社員に深刻な危機が訪れる。日経ビジネスが描いた日本経済の40年、かつて「気楽な稼業」と流行歌に歌われた世界に訪れた変化は今も経営の大きな課題だ。

* * *

2006年5月1日号より

 隣の部署に入るにも、上司の承認が要るオフィス。際限なく増える社内手続き──。仕事の手順から書類やパソコンの保管まで、ルールの増殖はとどまるところを知らない。コンプライアンス(法令順守)や情報保護の名の下、オフィスは不自由さを増し、憂鬱な場所になる。やる気を失う社員、そして新たなコスト負担を強いられる会社。誰のため、何のためのルールなのか。理念なき管理強化が社員と会社を蝕む。

(西頭 恒明、細田 孝宏、篠原 匡)

 午前8時50分。9時の始業時刻を前に富士ソフトABC九州事業所(福岡市)は「ラッシュアワー」のピークを迎える。ラッシュといっても電車が込み合うわけでも道路が渋滞するわけでもない。会社の入り口の「ゲート」に社員の行列ができてしまうのだ。

 ここで働く約300人の社員を待ち構えるのは金属探知機とX線探知機。行列ができるのは、厳重な保安検査を実施しているからだ。

 ゲートの前にたどり着いた社員は、中身の見える透明な袋に、財布や手帳、弁当、たばこといった手荷物すべてを放り込む。そして、袋をX線探知機のベルトコンベヤーに載せ、自らは金属探知機をくぐる。無事チェックが済めば荷物を受け取ってオフィスに向かう。もし警告音が鳴れば、ポケットから出し忘れたものを警備員に渡し、再度金属探知機を通る。空港の保安検査と見紛うばかりの光景が毎朝繰り広げられる。

 私物を自由に職場に持ち込ませないのが同社のルール。事前登録した携帯電話や財布といった例外はあるが、原則として職場と完全に遮断されたロッカーに入れる。

 金属探知機とX線探知機の導入費用は約1600万円。警備員の人件費は月に200万円かかる。これだけの費用と手間をかけて厳重な管理体制を敷いているのは、情報漏洩を防ぐためだ。

 カメラ付き携帯電話や、大容量のUSBメモリーなどを誰もが普通に使うようになった。富士ソフトABCは職場に私物の持ち込みを許せば、情報流出のリスクが高まると考えている。

 携帯電話向け制御ソフトの開発を受託するなど、他社の機密を知り得る立場にある同社にとって、情報管理の徹底は顧客からの信頼獲得の絶対条件となる。厳格さをとことん追求するのはそのためだ。生嶋滋実常務は「裸同然でオフィスに入っていくのが理想。やりすぎの部分もあるかもしれないが、それが時代の流れ」と話す。

 空港並みの入館チェックを実施する九州事業所を、同社は情報管理のモデル事例と位置づけている。今後は国内の他の事業所にも同様の仕組みを導入していく考えだ。

パソコン操作もすべて記録

 今年5月1日、従来の商法などの規定を再編成した会社法が施行された。同法によると、資本金5億円以上または負債200億円以上の大会社は、施行後、最初の取締役会で内部統制の構築を決議しなければならない。さらに国会では、上場企業などを対象に、公認会計士による内部統制監査を義務づける「日本版SOX法(通称)」が審議されている。

 こうした法整備の前から、CSR(企業の社会的責任)やコンプライアンス(法令順守)の重要性が叫ばれ、企業は社内管理の強化を着々と進めてきた。その中で、会社と社員の間には、監視する側、される側という関係ができつつある。

 ある準大手証券会社の部長、店長には、1日の終わりに必ずこなさなければならない仕事がある。部下が社外に送信した電子メールのチェックだ。メールの件名と宛先が書かれた一覧表に目を通し、判を押して所定のファイルに収めるのがルールとなっている。

コメント17件コメント/レビュー

モラルやルールは構成員個々の程度問題もありますが、なんといっても共同体なり意識の共有があってこそでしょう。ところが現状の職場は他人の集まりになっていますからある意味仕方がないのではないかなと思います。そもそも今更社員に良識を期待するにしては余りにも社員を無下に扱ってきた前科は拭えない訳ですし、社員は今後コンプライアンスの名の下に管理を強化されると悪くすれば犯罪者予備軍として扱われる訳ですから、今後この傾向は止むどころか益々の(報復的な行動に出たり鬱積を溜め込む人も出て)イタチゴッコが止まらないでしょうね。それにしても文明や文化の程度が落ちると賊を恐れて家人は門を閉め、街は砦を築く様になる、という現象は会社単位でも当てはまるというのは何ともいえない気分です。(文明や国運が衰亡するというのはこんなものなのかもしれませんが)(2008/11/18)

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モラルやルールは構成員個々の程度問題もありますが、なんといっても共同体なり意識の共有があってこそでしょう。ところが現状の職場は他人の集まりになっていますからある意味仕方がないのではないかなと思います。そもそも今更社員に良識を期待するにしては余りにも社員を無下に扱ってきた前科は拭えない訳ですし、社員は今後コンプライアンスの名の下に管理を強化されると悪くすれば犯罪者予備軍として扱われる訳ですから、今後この傾向は止むどころか益々の(報復的な行動に出たり鬱積を溜め込む人も出て)イタチゴッコが止まらないでしょうね。それにしても文明や文化の程度が落ちると賊を恐れて家人は門を閉め、街は砦を築く様になる、という現象は会社単位でも当てはまるというのは何ともいえない気分です。(文明や国運が衰亡するというのはこんなものなのかもしれませんが)(2008/11/18)

 以前はモラルやマナーで対応していた事が、今はルールにしないと管理できない社員が増えていることを感じます。(2008/11/16)

以前働いていた会社では、「コンプライアンス」に照らし合わせて云々かんぬん、を仕事をしないでおく口実に使ってました。当然評価は上がりませんが、そもそも何をしても評価が上がりませんので、それら「セキュリティ」「コンプライアンス」は都合が良かったです。要するにさぼる口実に使ってました。仕事をした感じがする(でも何もしていない)のが良かったです。(2008/11/14)

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三品 和広 神戸大学教授