• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

石油文明を越え、あなた自身が「作品」になれ

2008年11月17日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

「石油文明」という壁に気づけ

 会社を含めた、組織の壁、社会の壁は何でしょうか?

 ひとつ考えられるのが、「石油文明」という壁です。

 現代の産業社会の礎は、石油というエネルギーの存在抜きには語れません。大量生産も、大量流通も、大量消費も、その果てのグローバリゼーションも、すべて石油が前提にあるのです。

 コンビニエンスストアと宅配便サービスは、日本が生んだ非常にユニークなビジネスです。が、どちらも、石油ショックが起きた後の1970年代後半に誕生し、その後の石油価格の長期的な下落とともに成長したことを見逃してはなりません。大量の自動車輸送が必要なこれらのサービスは「安価な石油燃料」がその成長にとって必須の前提条件だったのです。

 逆に言えば、石油の高騰、石油の枯渇が、現在の経済システムの前提をすべて変えてしまう可能性があります。

 また、石油文明がもたらした現在の巨大産業や市場経済の大きな特徴は、分業である。分業の発明で、たくさんの人々が、自分の持ち場でそこそこ働くだけで飛躍的な豊かさを享受できるようになりました。

 ただし、分業の発達と引き換えに、個人から失われていったものがあります。それは人間個人が本来持っていた、個々のさまざまな能力の発露です。

 例えば、昔のひとは、自分で木を切り、薪を割り、火をおこし、食料を調達し、料理をし、場合によっては家まで建てた。そこらへんのおじさんが、普通にそういうことをこなしていた。私が昆虫採集に行くラオスや、あるいはブータン辺りはいまでも、そんなひとが残っています。

 もちろん、現代人はそんな能力がなくても、もっといいものを食べ、もっといい家に住めます。けれども、分業のシステムにあまりに慣らされてしまうと、仕事自体から次第に創造性が失われてしまいます。

 すると皮肉なことが起きます。石油に支えられた産業文明が極みに達したいま、モノもサービスも余っています。消費者はもっと付加価値の高い、オリジナルなものを欲します。けれども、分業に慣らされて画一的に仕事をしてきたひとが、改めてオリジナルなものを創造できるか、と いうと、はなはだ怪しいと思うのです。

会社とあなたが生き残るための「壁を越える」技術

日経ビジネス オンラインから、
21世紀をサバイバルするためのムックが出版!

◆ 33人のプロフェッショナルが教える! ◆
会社とあなたが生き残るための「壁を越える」技術

金融恐慌、政治の大転換、長期不況、新興国の台頭、環境問題に食料問題……。
先の見えないいま、目の前に立ちはだかる数々の巨大な「壁」をどう乗り越えればいいのか?

養老孟司、冨山和彦、御厨貴、神谷秀樹、沖大幹、常盤文克、郷原信郎などなどNBオンラインで活躍中の33人の「プロ」たちが、あなたの前に立ちはだかる「壁」の越え方、教えます! 特別付録「壁を越える」ための新書ガイド

定価:980円(税込)

「壁を越える」技術の購入はこちら

コメント13件コメント/レビュー

簡潔かつ実直 そして本質、いや本分。いつも応援しています。(2008/11/17)

「養老先生が教える! あなたと組織の「バカの壁」の正しい越え方」のバックナンバー

一覧

「石油文明を越え、あなた自身が「作品」になれ」の著者

養老 孟司

養老 孟司(ようろう・たけし)

東京大学名誉教授

解剖学者/作家/昆虫研究家。1937年生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。95年東京大学医学部教授を退官し、その後北里大学教授に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

簡潔かつ実直 そして本質、いや本分。いつも応援しています。(2008/11/17)

私たちは十分に豊かになった。食事も十分に取れる。水道やトイレもある清潔な住家(アパート)もある。職業も特に贅沢を言わなければ選択することが出来る。世界を見回せばどうだろう。先日もTVで「人々がゆっくりと死んでいく」アフリカのある国の様子を紹介していたが、無残なものだった。ある子供は全身に回った皮膚病の痛みに泣きながら、どうすることも出来ず、ただそこに座っているしかない。父は痩せ細った体で埃しか立たない畑を必死に耕している。家族を救うにはそれしかないから。私たちは、十分に豊かだと思う。所得配分の偏りや、地域間格差、限界集落、医療、心の問題、たくさんの問題を抱えているのは事実だけれど。世界の貧困を知ると、「ああ日本だって100年前は似たようなものだったじゃないか。」と思う。今のような世界になることを目指して(夢に見て)、私たちの祖先は生きていた。今は日本の歴史上一度も経験したことがない異常なほど贅沢な時代なのだ。もうこれ以上豊かさをむさぼろうとするのは、デリバティブバブルに似て行きすぎなのかもしれない。21世紀は心の時代、人そのものへ投資する時代へと変わる必要があるように思う。(2008/11/17)

エネルギー資源が薪→石炭→石油と効率的に使えるリソースに変わるにつれて、人口は爆発的に増大していきました。現代文明は石油によってなりたっている。これは自明のことです。今後は新興国の生活レベルが上がり、かつ世界人口もまだまだ増えます。エネルギー需要はさらに大きくなるのです。石油に代わる代替エネルギーの開発が不可欠です。核融合のような、実質無制限のエネルギー資源が実用化できればいいのですが・・(2008/11/17)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授