世界経済に金融危機と景気後退をもたらしたサブプライムローン問題。ところが、日本にも同じように幅広い分野に悪影響を及ぼす"日本版サブプライム問題"がある。収入、貯蓄に見合わない消費を続けてきた人たちの問題だ。彼らのライフスタイルを支えてきた借金に急ブレーキがかかる。
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2007年12月24日・31日号より
パチンコショックは消費者金融が起点となった消費減速の序章。
借金で得た購買力をテコに消費と景気を刺激する仕組みが揺らぐ。
米サブプライム問題と同様、波紋がどこまで広がるか全く読めない。
(馬場 完治、大竹 剛、蛯谷 敏)
週に2回はパチンコ店に通い、毎月1回は妻と子供3人を連れてレストランで外食、3カ月に1度は家族5人で泊まりがけの温泉旅行──。静岡県伊東市に住む浜岡猛さん(仮名、48歳)は、10年以上続けてきたこんな暮らしを3カ月前、断ち切った。
県内の旅館で副料理長を務める浜岡さんの年収は約300万円。外食や遊興を頻繁に楽しむほど、生活費に余裕があるとは言いがたい水準だ。「それなりに満足する生活」(浜岡さん)ができていたのは、消費者金融からの借金があったからだ。
3〜4カ月に1度の頻度で30万円程度を借り、旅行などに使う。その後、1年近くかけて返済しては、また借りる。20%を超す金利は損だと感じたこともあった。それでも、銀行やクレジットカード会社では借りられない30万円というまとまった金額を手にできるのは大きな魅力だったという。
ところが、2006年暮れあたりから消費者金融会社の態度が急に厳しくなった。30万円まで可能だった借り入れの限度額が突然10万円に引き下げられたのだ。理由を尋ねても、「お客様の実績ではこれ以上は貸せない」の一点張り。
貸し渋りに直面して、さすがの浜岡さんも焦った。借金しないと回らない生活を続けていたら、いつか破綻する。そう反省した浜岡さんは、過去に支払った利息のうち払い過ぎた分を取り戻す過払い金の返還を請求。これを機に、新規の借り入れをやめた。今は年収300万円に見合った消費で我慢する日々。パチンコにも外食にも、もう行かない。
年収360万円、預貯金なし。消費者金融からの借り入れ残高80万円。借りたお金の使い道は「生活費の補填」「物品の購入」「借金の返済」「旅行・レジャー」「事業資金の補填」…。消費者金融業界に詳しい堂下浩・東京情報大学准教授が実施した調査結果を参考にして作った平均的な消費者金融の利用者像だ。浜岡さんのプロフィルとも、ほぼ重なる。
消費者金融からの借り入れで調達した資金が、食費や光熱費の支払いなど生活に欠かせない分野だけでなく、外食、レジャーなど幅広い消費に回っている様子が浮かび上がる。米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)によく似た構図だ。
サブプライムローンの利用者は、住宅の値上がりで担保価値が上昇し、それに見合った追加借り入れが可能になったため、手にした追加借り入れ分を「ボーナス」と見てクルーザーなどの高額消費に走った。借金による旺盛な個人消費が、米国と世界経済の成長に一役買ってきたのだ。
しかしその後、住宅価格が下落に転じ、ローン返済の焦げつきが増加。これが起点となって、世界の金融市場にサブプライムショックが広がった。米国景気を下支えしてきたサブプライム層の借金、消費も急速にしぼみ、景気後退懸念が強まっている。
だとすれば浜岡さんら「サブプライム消費者」が経済の一角を担っている日本も、同じ道をたどる恐れがある。発端は住宅ではなく、消費者金融などの貸金業法改正。消費者金融から流れ込む資金が細ることで打撃を受けるのはパチンコ業界に限らない。
ブランド雑貨やエステに影
消費者金融の融資基準が厳格化すると、どんな層が最も影響を受けるのか。消費者金融大手、プロミスの担当者は「勤続年数が短く年収の少ないお客が減る」と言い切る。真っ先にターゲットとなりそうなのは、派遣・アルバイト職が多い20〜30代の女性だ。
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