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創作の源は伝説のレストランバーの経営哲学

ムラノ島にヴェネチアングラスの工房を持つ唯一の日本人アーティスト、土田康彦

  • 酒井 香代

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2008年11月21日(金)

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 世界を舞台に活躍し、世界を相手に勝負を挑む日本人たち――。中には、日本では無名であっても、欧米各国で唯一無二の存在として名を知られる日本人もいます。その姿を追うドキュメント番組、「クエスト~探求者たち~」がWOWOWで始まりました。

 このコラムでは番組と連動し、各分野で活躍する日本人の姿を文章で描いてきます。第1回目は、門外不出と言われるヴェネチアングラスの技術を習得し、ガラス工房が集められた島・ムラーノにアトリエを持つ唯一の日本人をご紹介します。芸術家としての道を、ヴェネチアに古くからある伝説のレストランバーの経営者に学んだという異色の日本人です。番組と合わせてお読みください。番組のダイジェスト版の映像と放送日のご案内は文末に掲載しました。ぜひご覧ください。

 北イタリアの古都ヴェネチア。ゴンドラが行き交う水の都は、毎年、世界中の映画ファンが注目する国際映画祭の開催地として知る人も多い。

 今年の第65回は、コンペティション部門に参加した北野武『アキレスと亀』、宮崎駿『崖の上のポニョ』、押井守『スカイ・クロラThe Sky Crawlers』にLeon d’Or(金獅子賞)の期待がかかったが、残念ながら果たすことはできなかったことは記憶に新しい。が、もう1つのコンペティションで世界各国から選抜された45の作品から、39歳の日本人アーティストが見事に最優秀賞の栄誉を得た。

 土田康彦がその勝者である。

コンペティション最優秀賞に輝く

 日本ではほとんど報道されることはなかったが、映画祭の主会場と同じリド島で同時期開催の美術コンペティションは通称オープンと呼ばれるINTERNAZIONALE DI SCULTURE ED INSTALLAZIONI(国際彫刻インスタレーション展)だ。かつてキース・ヘリングやオノ・ヨーコも参加した権威ある現代美術のコンペティションを勝ち抜いたことは、日本の美術界にとって快挙と言っていいだろう。

 ヴェネチアを拠点に活躍するアーティスト土田康彦は、日本よりもむしろ欧米で評価が高い。絵画・立体・アートディレクションと多彩な作品を制作するが、近年特に注目を浴びているのが、ヴェネチアングラスの手法を駆使した作品群だ。欧米各都市で個展が繰り返し開催され、作品はドイツの国立デュッセルドルフグラスミュージアムにも収蔵されている。

 日本でも徐々にその名は知られるようになり、2000年にドイツの6都市を巡回した後に東京・カッシーナで開催された個展には、オープン直後の1週間に5000人もの入場者を集め、話題を呼んだ。

 美術ファン以外には日本でほとんどその名を知られていない土田康彦とは、いかなる人物なのか。中世から続く歴史を持つヴェネチアングラスの、閉鎖的とも言われる工房から、現代美術を生み出すことを可能にしたのはなぜか、これまでほとんど語られることはなかった。

ハリーズ・バーの経営哲学との出会い

 精悍な顔立ちに長髪の黒髪が揺れる。スポーツマンのような肉体は、古典的な美術家のイメージをくつがえす。

 土田康彦がアーティストとしてユニークなのは、その出で立ちだけではない。1969年大阪生まれの彼は、正式な美術教育を受けたことがない。子どものころにはアーティストになるという具体的な夢は、まだ彼の中に結実していなかったのかもしれない。ただ、幼いころに母を病気で失った経験から、繰り返し見る心象風景を誰かと共有したいという思いがあり、表現することへの憧れを育てていた。

 ただ、芸術家に憧れてはいても、食べていける自信はない。手に職をつけたいと選んだのがパティシエだった。高校卒業後、調理師学校に入学。弱冠20歳で土田は渡仏し、パリのホテルで働きながら一人前のパティシエを目指した。おそらくそのまま菓子作りの勉強を続けていても、今ごろは、名パティシエとして成功者に名を連ねていたに違いない。そう思わせる強い意志を瞳の中にのぞかせていたと思わせるエピソードがある。

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