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30歳は大人か子供か

2008年12月12日(金)

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 私の紹介で入社したメイクアップ会社の30歳の女性が、現在仕事中のタレントの仕事を持ったうえで、会社から「独立する」と言い出した。まだ勤めて3年目だった。そのタレントとはすでに合意を得ているという。

 それらが私の耳に入ったのは、その会社社長からの怒りの電話だった。

 私たちの業界で、紹介で入社するということは、専門スクールなどの卒業資格や試験をパスして、紹介者が保証人となって働く場が得られることを意味している。それゆえハードルをパスできる利点と同時に、常に本人の労働姿勢が紹介者に跳ね返り、もし会社を辞める時がきても、決して会社に不義理をしないというルールに縛られる。

 保証人の私は常々30歳の女性にそのことの意味を教えていた。3年間、私と会うたびに「決して信用を裏切らない」と誓う彼女を、私は見守った。

 そしてその約束が裏切られることになった。

 知らせを聞いてまず、私は両親と同居するその女性の家に出向いた。「親も独立を応援してくれている」と本人は会社に主張していた。彼女の両親は共に現役の企業人だった。当然、組織や人間関係を熟知しているであろう。そこに私は疑問を持ち、期待もした。

 父親は私に「娘はもう30歳の大人だ。娘の仕事のことで親が説得される立場ではない」と言った。その直後、「娘から帰宅のメールが入った。駅に迎えに行く」と言って出て行ってしまった。この、「娘は大人」と「迎えにいかなきゃ」が私にその後の暗雲を予感させた。

 残った母親に、私は、紹介で入社することの意味を説明した。すると母親は「娘にもそれを説明してほしい。娘がそれを理解できないとは思えない」と語った。3年間言い含め本人の理解を得た上で今回の裏切りがあるという事実を、母親は受け入れられない様子だった。

 やがて、親子3人揃ったところで父親は私に語った。

 「誰だって人に使われるのは嫌だ。我々もまた長年上司に仕えてきてそう思う。娘の思うことは当然のことだし理解もできる」

 父親は娘から日々聞かされる社長の悪人像を鵜呑みにしていた。父親の正義感を娘が利用したのが読み取れた。

 「独立はしてもいいが、その方法が間違っています」

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

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「30歳は大人か子供か」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師