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【時代のリーダー】丸田芳郎・花王石鹸社長

「確信の人」“思い込み”で常識の壁突破 「和の経営」かかげ競争心あおる

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2009年1月19日(月)

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先行きが見通しにくい2009年。困難な時代には新しいリーダー像が生まれるはずだ。これまでも企業経営や政治に新しい時代を切り開いたリーダーがいた。そんな時代のリーダーを日経ビジネスが描いた当時の記事で振り返る。
(注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。

* * *

1984年10月15日号より

 花王石鹸を日本最大のトイレタリー・メーカーに押し上げた立役者、丸田芳郎社長(69)は比類なき「確信の人」だ。  ある日湧き出でるアイデアを「神の啓示」と頑に信じ、遮二無二突き進む。このエネルギッシュな思い込みが、数数のヒット商品を生んできた。  指針とする道元や聖徳太子の言葉にしても、つきつめれば自分本来の生き方の“再確認”だった。(文中敬称略)

(平田 育夫)

丸田 芳郎氏

丸田 芳郎(まるた・よしお)氏
大正3年12月16日、長野市生まれ、69歳。昭和10年3月、桐生高等工業学校(現在の群馬大学)応用化学科卒業、花王石鹸の前身の一つである大日本油脂に入社。花王石鹸では技術畑が長く、31年常務、43年専務、44年副社長を経て46年10月、社長就任。23年に京都大学から、工学博士号を取得、55年5月から2年間、日本化学工業協会会長を務めた。

 筆者の前で、老経営者はにわか“美容部員”に変身した。最近売り出した化粧品に話が及んだ時、やおら実物を取り出すと自分の手の甲に塗り始めたのである。

 69歳のドス黒い皮膚に、淡いベージュ色が広がる。いささか異様な光景である。しかし丸田はためらわない。その上にパフでパウダーを塗り付けながら、この化粧品が発汗を妨げないことなどを、信州訛りの言葉で語り続ける。

 「皮膚医学上、効用に根拠のある商品でないと商品自体、化けて粧うことになるんだ」。ムードやイメージを前面に出した他社の化粧品に対抗して、丸田は、化粧品を「機能」で売るつもりなのだ。だから2年前の発売当初から、派手な宣伝もしていない。

 しかし現実には、売り上げが期待通りには伸びず、化粧品部門はなお「年20~30億円の赤字」(同社関係筋)。さすがの丸田も最近、やや派手目の広告を承諾した。だが基本線は変えないと頑張る。

傲慢ささえのぞく自信家ぶり

 「女性の2~3割は本当にモノが分かっている。この層に売れればいいんで、軌道に乗るまで5、6年は覚悟する」。その一方、丸田は来年秋には口紅を発売すると宣言、開発陣にハッパをかけている。くじけるどころか、あふれんばかりの自信である。

 こんな話もある。最近、東北に出張した折、地元のスーパーをのぞいた時のことである。店内ではちょうど、中年婦人が花王の新しいシャンプーを買うか買うまいか迷っていた。丸田は新製品の効能について滔滔と解説を始める。婦人は、突如、現れた老人の奇態な行動にたじろぎ、暫く言葉も出なかった。

 業を煮やした丸田は、ポケットから百円玉二つを取り出してこう言った。「これあげるから買いなさい。使ってみれば、良さが必ずわかる」。

 いかにも技術者にありがちな傲慢さがうかがえる話である。しかし現実に、丸田が手がけた商品のほとんどは成功を納めた。その結果、戦前までは名の通り一介の石鹸メーカーだった花王石鹸は、年商3306億円(59年3月期)の総合化学・家庭用品メーカーに成長した。とすれば、この人物の自信に満ちた行動を抜きにして、花王の戦後は語れない。

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