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セクハラと「文化」の微妙な関係

2009年1月16日(金)

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 新しい年の初め、心機一転、夏まっさかりのオーストラリアで今年のスタートを切った。ところがそこでとんでもない目に合うことになった。

 友人と共に旅行したのだが、その友人の知人男性が飛行場に迎えにきた。男性は、ワイナリーの会長をしているご高齢の男性ということで、日本から来た私たちを歓迎し案内してくれるということだった。「ぜひ友達といらっしゃい」と友人は男性から言われ、私を誘ったというわけだ。

 飛行場で会うなり、彼の“歓待”が始まった。ハグしてキスの嵐なのだ。これまで経験してきた観光客としての海外旅行とは異なり、外国人の知人を頼っての旅行だ。“お客様”ではなく“知人”として迎えられたらこれほどの歓待を受けるのかと仰天した。

 ところがそのハグとキスの歓待は、飛行場だけには終わらなかった。男性は何か嬉しいことがあると私たちを抱きしめては頬のあたりにキスするのだ。

 「日本のお土産です」
 「オオー、サンキュー」。ブチューといった風に・・・。

 時間の問題で私の生理的なものが拒絶反応を示しはじめた。
「キスしすぎやろ、オッサン」というものだ。

 男性も私の拒絶に気づいたらしく、「こういう挨拶はこちらの文化だから、抱きしめられたら棒立ちするのではなく、君も僕を抱きしめ返さねばならない」と私に教えた。 しかし、私はすでにもう嫌悪感をともなっており、抱きしめ返すつもりもなかった。

 「ほんとうにこれが文化か」が、オーストラリアについてすぐ沸き起こった私の問題提起だった。

 それから男性はあらゆる知人宅のホームパーティに私たちを招いた。彼らの“文化”とやらを私は観察した。

 男性はパーティで、その家の女性をハグした後、キスするかと思いきや、ぎりぎりのところで頬だけをつけて済ませた。・・・・・キスはしなかった。女性を見ると、抱きしめ返し頬をつけ、キスをするようなしぐさだけはするものの、キス自体はしなかった。

 また、あるレストランではオーナー女性に男性は店に入るなりハグした。女性もハグをした。だが、そこでもキスはしなかった。

 やがて、男性はご機嫌な一日が終わると、「さようなら」のハグの時にチラと私たちのお尻を触ることがあった。

 触ったのち、「がはは」と豪快に笑ってみせるのだった。それは「俺はこういうパーソナリティ。もう年だし、笑って済ませてくれよな」的な暗黙裡の免罪があった。

 ほかの女性がひとりでホームパーティに参加したとき、その女性を別れ際にハグし、その女性のお尻も触った。女性は声をあげたものの鷹揚に笑って済ませていた。

 これらのフィールドワークによって、ほぼ私の研究レポートは出来上がった。

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

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「セクハラと「文化」の微妙な関係」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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