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【時代のリーダー】中山素平・日本興業銀行特別顧問

「人たらし」置き忘れた権勢・名誉欲 社会の“当番幹事”役を楽しむ

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2009年1月22日(木)

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先行きが見通しにくい2009年。困難な時代には新しいリーダー像が生まれるはずだ。これまでも企業経営や政治に新しい時代を切り開いたリーダーがいた。そんな時代のリーダーを日経ビジネスが描いた当時の記事で振り返る。
(注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。

* * *

1984年12月24日号より

 「財界鞍馬天狗」と謳われた中山素平・日本興業銀行特別顧問(78)は今、生涯の事業と定めた「教育」に、当番幹事のような身軽さで取り組んでいる。周囲を魅了する「人たらし」の魔法の源は、徹底した無私無欲の精神だ。恬淡さと裏腹の、厳しい自己規律。時移り、かつて踊った舞台の変貌を眺めながら、中山は教育事業に万古不易の価値を求め、内面的な「老いの美学」の成就を賭けているのかも知れない。(文中敬称略)

(城田 健二郎)

 真夏日・熱帯夜が新記録を更新し続けていた今年の夏、中山素平は7、8月のほとんど毎日を「会社訪問」で費した。57年、中山が理事長となって新潟県大和町に開校した「国際大学」の運営資金を寄付してもらおうという、募金行脚である。1日2、3社のペースを崩さなかったから、訪れた企業は2カ月間でおよそ60社にのぼった。

会社訪問で集めた募金78億円

中山 素平(なかやま・そへい)氏
明治39年3月5日、東京生まれ、78歳。昭和4年3月、東京商科大学本科卒業、同年日本興業銀行に入行。同行理事、常務など歴任。日本開発銀行理事に出向後、29年興銀副頭取に復帰し36年頭取就任。43年取締役会長、45年相談役を経て59年10月から特別顧問。興銀の先輩・松根宗一氏曰く「俺も随分、酒を仕込んだが、全く見込みないな。」

 ここで、中山はちょっとした計略を用いる。いつも、約束した時刻のほぼ20分前に、先方の受付を訪れるのだ。

 会議や来客の応待に追われている会長、社長連は、「中山様がお越しになりました」という秘書のメモを見て、思わず舌打ちする――あいたたた、あのソッペイさんを待たせちゃうのか、まずいなあ・・・・・・。

 何せ相手は、名にし負う経済界の大立物である。漸く先約を切り上げ、恐縮しながら応接室のドアを開けると、お供も連れず、テーブルのお茶にも手をつけずに端然と座っていた中山がサッと立ち上がり、一礼する。「国際大学の中山です。本日はどうも」。あわてて中山よりも深いおじぎを返すが、もう遅い。相手はエライ人だろうけど、こっちは募金を頼まれる側だぞ――という意識など、すでにあらかた無くなってしまっているのだ。

 こんな後で「国際人」を育成することの意義、そのために発足した国際大学の財政基盤の弱さなどを諄々と説かれれば、「お説ごもっとも」とうなずくほかにない。

 この夏に始まったことではない。10年ほど前、国際大学の構想に関わり出した時から、中山は設立資金を募るための会社訪問をコツコツと重ねてきた。これまでに訪れた企業は軽く700社を超えるが、寄付金額が予定より少なかったことはあっても、まるきり断わられたケースは皆無だったという。「この10年間で募金総額は78億円にもなったんだけど、その99%は中山さんがひとりで集めちゃったんだからね」と、理事長代行の小川一郎も半ばあきれ顔である。

 もちろん、企業のトップが首を縦に振らざるを得ない大方の要素は、「あのソッペイさん」というネームバリューの重さだろう。学生の会社訪問のような礼を尽くして攻めてくるのが「超大物」だからこそ、あっさり降伏するしかないのである。だが中山の凄みは、こういう“人たらし”の魔法を、中山の御威光などとは無縁の集団にさえ掛けてしまうところにある。

“敵対集団”さえなごませる

 11月27日、臨時教育審議会(岡本道雄会長)が福岡市で催した初めての地方公聴会は、のっけから不穏なムードに溢れていた。会場外では、臨教審そのものに反対する日教組系の団体がプラカードを立てて気勢を上げる。開幕早々、会場を埋めた250人の傍聴者の中から一人の青年が立ち上がって「まやかしの公聴会を許さないッ」と声明文を読み上げ始め、係員に引きずり出される場面もあった。

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