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【時代のリーダー】伊藤雅俊・イトーヨーカ堂社長

「夢追う大商人」潔癖さと事業欲の不思議な共存 薄れる“老舗感覚”に淋しさも

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2009年2月4日(水)

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先行きが見通しにくい2009年。困難な時代には新しいリーダー像が生まれるはずだ。これまでも企業経営や政治に新しい時代を切り開いたリーダーがいた。そんな時代のリーダーを日経ビジネスが描いた当時の記事で振り返る。
(注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。

* * *

1984年11月12日号より

 病的なまでの潔癖さと、旺盛な事業家精神――。矛盾を矛盾のままに歩き続けるイトーヨーカ堂・伊藤雅俊社長(60)の平衡感覚は、稀有な「図太さ」とさえ目に映る。

 その源泉は、苦労を続けた母と兄の“後ろ姿”、そこに学んだ商人(あきんど)魂だ。

 だが、そんな自らの体臭を、巨大な組織に移せるか。「見果てぬ夢」に賭ける姿には、無力感も漂う。(文中敬称略)

(城田 健二郎)

 「グリコ・森永脅迫事件」で最初の標的にされてしまった江崎勝久・江崎グリコ社長が、親しい友人にしみじみ語ったという。「あの時、伊藤さんから貰った電話ほど、心の支えになったものはなかったな…」。

 誘拐事件をめぐって、江崎の口は貝のように固かった。しかも事件後、公私とりまぜた激励や慰めの挨拶は引きも切らなかった筈である。伊藤雅俊からの1本の電話は、大口取引先のトップとしての儀礼、などというものを飛び越えて、よほど江崎の心を打ったのに違いない。

“森永撤去”自ら事情説明

伊藤 雅俊氏

伊藤 雅俊(いとう・まさとし)氏
大正13年4月30日、東京都生まれ、60歳。昭和19年12月横浜市立商業専門学校(現横浜市立大)卒業。20年12月、家業の洋品店羊華堂に勤める。33年「ヨーカ堂」設立。40年、社名をイトーヨーカ堂に変更、現在まで社長。セブン‐イレブン・ジャパンなどグループ28社を率いる。53年~55年には日本チェーンストア協会会長を務めた。

 その伊藤自身が、今度は事件に巻き込まれる。「森永せいかの製品 おいたら あかん」という脅迫状が、イトーヨーカ堂にも送りつけられたのだ。役員を集めた鳩首協議の末、伊藤は万一の事態を考えて森永製品の撤去を決断する。そして直後、山ほどの決済事項を措いてイの一番に命じたのは、社長専用車の手配だった。その車に飛び乗るようにして森永製菓本社に松崎昭雄社長をたずね、自ら直接、事情を説明したのである。

 二つの事件は、言ってみれば伊藤にとって“お隣りの火事”、ないしは“ソバ杖”のようなものである。だが、そうだからといって、とりあえずは形だけの挨拶ですますようなことは伊藤にはできない。後々の取引関係を計算しただけなら、ここまでする必要もない。自分と関わりがある相手のことは、とことんまで思いやってしまうのだ。

 こんな気性が社内に向かうと、どうなるか。

 昭和55年の夏ごろから、東京・大森駅界隈の理髪店はどこも不思議と客足が増えるようになった。ネクタイ姿の若い男たちが入れ替わり立ち替わり訪れ、しかも全員が髪を短く刈り込むよう求めるのである。短髪はひんぱんなカットが必要だから、繁盛は一時のことではない。

 理髪店主たちにとってのうれしい“謎”は、すぐに解けた。増えた客の正体は、この年6月からイトーヨーカ堂グループ入りした、大森京成百貨店の従業員たちだったのである。彼等は皆、新しい“主人”である伊藤から、早々にこんな一喝をかまされたのだ。「店員の長髪はまかりならぬ。お客さま商売で、気持ち悪いとは思わないのか」。

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