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【時代のリーダー】故 稲山嘉寛氏(経団連前会長/新日鉄元会長)

「柔らかい硬骨」 時代に動じぬ“がまん”説法 しなやかに自我を押し通す

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2009年2月19日(木)

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先行きが見通しにくい2009年。困難な時代には新しいリーダー像が生まれるはずだ。これまでも企業経営や政治に新しい時代を切り開いたリーダーがいた。そんな時代のリーダーを日経ビジネスが描いた当時の記事で振り返る。
(注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。

* * *

1987年10月26日号より

 時代がどんなに変化してもスタンスを動かさずにいたのが故稲山嘉寛経団連前会長であった。“がまん”と“協調”を繰り返す稲山説法に必ずしも万人が共感をもって耳を傾けたわけではない。自由経済の競争原理からいえば、危険な匂いさえ発散させた。にもかかわらず敵はほとんど存在しえなかった。しんの硬さを温かい人間性で柔らかく包みこんでいたからだ。しなやかに自我を押し通した人生こそ稲山哲学の完成品である。(文中敬称略)

(河村 有弘)

稲山 嘉寛氏

稲山 嘉寛(いなやま・よしひろ)氏
明治37年1月2日、東京・銀座生まれ。旧制二高(仙台)から東大経済学部商科にはいり、昭和2年に卒業、3年商工省製鉄所(官営八幡製鉄所)に入所した。その後日本製鉄に改組され、さらに敗戦後、GHQの指令で八幡・富士両製鉄に分割された。37年に八幡製鉄社長に就任。45年の新日本製鉄発足に伴い初代社長となった。日本製鉄連盟会長として鉄鋼業界のリーダー役を長年にわたって果たす一方、日中経済協会会長として日中長期貿易取り決めに調印した。53年5月、第5代経団連会長となり、財界代表として幅広く活動した。62年10月9日、肺がんのため83歳で死去した。

 人間の魅力は強さと弱さが重なり合うことによってかもし出される。稲山の魅力の奥行きの深さは、まさしくこの相反する両者が混然としていたところにあるのではなかろうか。

 旧日本製鉄時代からの先輩にあたる永野重雄(故人、前日本商工会議所会頭)とは、その個性の違いがよく対比されてきた。“強さ”という点に関していえば、永野は樫であり稲山は柳であった。

 永野と組んで実現させた新日本製鉄の誕生――。稲山が率いる旧八幡製鉄内部にはさまざまな面で八幡側が不利になるとして合併に反対する声が根強かった。経歴からいえば兄貴格にあたる永野だが、第2位の旧富士製鉄は企業としては八幡の下位に立つ。このハンデをどうしても意識せざるを得ない富士社員の期待に応えるためにも、永野が稲山を抑えにかかることが予想された。

「永野さんと心中します」

 「稲山さんの性格からいって、永野さんの攻めに押しまくられるのではないか」と合併反対派の筆頭副社長・藤井丙午が役員会で迫ったこともあった。藤井の危惧はある意味では当たっていたわけで、永野と同質の“強さ”を持つ藤井は新日鉄発足後、永野と正面からぶつかり、結局、藤井自身が政界へ転出して行くことになった。

 藤井のこの問題提起に対し、稲山はこう答えて役員会を納得させたといわれる「もし永野さんが無理を通すようなことがあったら、私が永野さんと心中します」。

 43年に表面化した八幡・富士合併の動きは、公正取引委員会に独禁法上問題があると裁定され、この障害を乗り越えるため、足かけ3年にわたって足どめを食った。この間、政財界をまき込み、合併を実現するため独禁法上の問題点をいかにクリアするかの対応策づくりが行われた。稲山が永野と異質の強さとねばりをみせたのはこの時であった。

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