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【時代のリーダー】桜田武・日清紡績元社長

「堅牢な合理主義者」 「お上に頼っちゃいかん」“経営の自律”死ぬまで貫徹

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2009年2月24日(火)

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先行きが見通しにくい2009年。困難な時代には新しいリーダー像が生まれるはずだ。これまでも企業経営や政治に新しい時代を切り開いたリーダーがいた。そんな時代のリーダーを日経ビジネスが描いた当時の記事で振り返る。
(注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。

* * *

1985年6月10日号より

 桜田武の人生はどこまでも合理主義に貫かれていた。経営の自己責任を主張して国の指導をはねつけた自負心。従業員を食わせるために終戦直後、銭湯の商売まで試みた即物主義の発想は「財界巨頭」になっても揺らがなかった。鉄鋼大型合併に冷ややかな目を向け、国家にも自己責任を求めて再軍備を唱えた桜田は、だが心中、「志」の満たされぬ思いで逝ったのではないか。(文中敬称略)

(阪口 昭=日本経済新聞論説主幹)

桜田 武氏

桜田 武(さくらだ・たけし)氏
明治37年3月17日、広島県生まれ。大正15年東大法学部を卒業し日清紡績に入社。当時の宮島清次郎社長から経営者としての指導を受け昭和20年、41歳で同社社長に就任。39年会長、45年相談役に退き59年4月からは顧問。49年から5年間、日経連会長を務めたあと54年5月大槻文平氏に後を譲り名誉会長へ。60年4月29日死去。享年81歳。

 「昭和40年不況」の嵐が吹き荒れた頃、財界人の間にこんな声が台頭した。「われわれ経営者はしばらく財界活動を休止して、すべからく自分の城(企業)を守ることに専念しよう」。財界活動に最も熱心な今里広記(日本精工社長)までがこの声に同調しかけた。この時、この意見に猛烈に食ってかかったのが小坂徳三郎(信越化学社長、後衆院議員)である。「とんでもない。日本経済が危急存亡の淵に立っているいまこそ、われわれは国家社会全体のために行動しなければならぬ。城に引き揚げて立てこもるなんてエゴイズムだ」。

 しかし、この論争は長くは続かなかった。「くだらん議論だ」と一喝し、あっさり結着をつけた人がいたからである。今年4月81歳で亡くなった桜田武である。「城はふだんから確り守り固めておくべきものだ。それを忘れとるからこんな議論が出る」と桜田は叱りつけた。

 「経営者」と「財界人」の二枚鑑札を下げている人たちは、時折り二枚鑑札のどちらを優先させるかに悩む。「40年不況」の時がそうだった。しかし、桜田にとって二枚鑑札が二律背反だったことは一度もなかった。さきのセリフには、日清紡という会社をどんな経済の激浪にも耐え得る堅牢な構造に築き上げた「経営者」としての自負心と、その自信の上に立って、経済社会全体の命運に采配を振るう「財界人」としての気概がにじみでている。

 「経営者」と「財界人」の二枚鑑札を、桜田は二枚とも宮島清次郎から授けられた。宮島の持つ抱負と気概と見識と指導理念はそっくり桜田に引き継がれ、宮島がそうであったように、桜田は「名経営者」とうたわれ、「財界巨頭」と称されるに至った。

師匠宮島と「一対」の関係

 宮島・桜田の関係を師弟と呼ぶのは当たっている。桜田は宮島によって光った。しかし、宮島の存在もまた桜田によって光った、と言えるのではないか。宮島・桜田の関係は一対である。反共の闘将・桜田を苦笑させるような言い方をするなら、マルクスとエンゲルスが一対であったように――である。エンゲルスがいなかったら、「資本論」に展開されたあの“壮大な仮説”は中途半端なものになっていただろう。

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