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【時代のリーダー】伊藤 正・住友商事会長

「ストイックに貫く“商道”」 愚直に「書生論」押し通し いまだ妥協を知らず

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2009年3月5日(木)

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先行きが見通しにくい2009年。困難な時代には新しいリーダー像が生まれるはずだ。これまでも企業経営や政治に新しい時代を切り開いたリーダーがいた。そんな時代のリーダーを日経ビジネスが描いた当時の記事で振り返る。
(注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。

* * *

1990年10月8日号より

 1980年代の住友商事を率いてきた伊藤正の半生は、「書生論」さながらの建前で突っ張り通した歴史である。生来の我の強さとストイックな価値観が、万事に堅実と慎重を旨とする本来の住友精神と同化した時、妥協を知らない異色の経営者が生まれ落ちた。豪放磊落の仮面を被った愚直な求道者は「住友商事かくあれかし」と今日も一人念じ続ける。(文中敬称略)

(中川 貴雄)

 今年9月、横浜市の大規模開発計画である「みなとみらい21」の開発計画コンペに数多くの企業グループが参加を表明した中、住友商事を代表とする住友・東急グループ23社も名乗りを上げた。住友銀行、住友生命保険、日本電気など住友グループ有力企業が名を連ねたが、グループの不動産事業を代表する住友不動産の名前はなぜかなかった。

スジ論にこだわる経営者

伊藤 正氏

伊藤 正(いとう・ただし)氏
大正11年、兵庫県明石市生まれ、68歳。神戸一中から旧制一高を経て昭和17年東京大学法学部入学。18年豊橋陸軍予備士官学校を経てマレーに出征、終戦を迎える。24年東大卒業と同時に日本建設産業(現住友商事)入社。45年取締役、58年6月社長就任。平成2年6月会長就任。

 実はこのところ住友商事と住友不動産はこの種の不動産開発事業でほとんど手を組んでいない。理由の一つは住商と住友不動産の体質の違い、さらに両社の会長である伊藤正と安藤太郎の微妙な関係にある。

 「浮利を追わず」という住友精神に頑固なまでにこだわり、超の字がつく潔癖症でもある伊藤は安藤の商法に対するアレルギー反応が強い。実際、利権が大き過ぎる都心3区(港、中央、千代田)の開発をあえて禁じてきたこともあり、都心部の底地買いで利益を追求するなどやや強引という評もあった安藤の商法を体質的に受け付けない。しかも、不動産業界から「住友」という名前ゆえに住友不動産と同じイメージで見られたという被害者意識がある。伊藤はズバリ「考え方の違う所とは一緒にできない」と言う。

 当の安藤は「伊藤君は信念を持っている経営者。彼にそう思われているとすれば私の不徳の致すところ」と伊藤を意外なほど褒める。だが、伊藤と顔を合わせた安藤が「君ももう少し大人になれ」といわんばかりの苦言を呈し、伊藤が表情を強ばらせるという場面を関係者が目撃している。一時期にせよ安藤の目には伊藤の考えが青臭い書生論と映っていたのは確かなようだ。

 むろん安藤には安藤の事情がある。かつて利払いにも苦しむほど低迷していた住友不動産に住友銀行から送り込まれた安藤にすれば、再建のためにはきれいごとばかりを言っていられなかったのは事実だろう。ここで安藤との仲を持ち出した理由は、時として周囲と摩擦を引き起こしながらも、自ら「書生論」と認める信条をとことん貫こうとする伊藤の生き方を端的に示すケースだからである。

 住友不動産ばかりでなく、住友銀行の一部にさえ伊藤の頑なスジ論を煙たがる空気がある。だが、伊藤はそれらをすべて承知で突っ張り続ける。自社の事業はともかく、ジョイントの話くらいは多少妥協して柔らかく対応するのが「大人」の態度なのだろうが、「主義主張に合わないことは何が何でもやりたくない」のが伊藤なのだ。

 伊藤の経営者としての足跡をたどると、驚くほどスジ論にこだわってきたことが分かる。かつて再建王といわれた坪内寿夫の絶頂期に彼と激しく対立したのも、いかにも伊藤らしい話だ。

 社長に就任した1983年当時、住商は坪内率いる佐世保重工業に鋼材を納める一方で、船舶を発注する立場でもあった。だが、住商は住友重機械工業、大阪造船所と合弁で佐世保に大島造船所を設立していた。これが、坪内にとって目の上のタンコブになっていた。「鋼材を買ってもらっている顧客と競合するとは何事か」というわけだ。

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