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2009年と恐ろしいほど重なる昭和恐慌。泥亀、生き延びるか?

山下亀三郎伝:16

  • 山岡 淳一郎

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2009年4月13日(月)

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(イラスト:茂本ヒデキチ)

 70数年前の昭和恐慌(世界恐慌)とこんにちの経済危機の間で、大きな反復現象が起きている。

 貧困は、農村における娘の身売りや赤ん坊の間引きから、年収200万円以下の給与所得者が1000万人を超えたなかでの「派遣切り」へと姿を変えながら、構造的に社会に広がっている。この状態が続けば、テロやクーデター、全体主義へと昭和初期と同じ轍を踏みかねない。その危うさを予め知っておくことが、歴史に学ぶということだろう。

 では、昭和の貧困からテロ、全体主義、戦争への雪崩現象はどのように起きたのか?

 グローバルに動こうとする巨大マネー(金融資本)と、国民を領土内で統合しようとする政府行政機構(国家)の衝突が、雪崩を招く要因となっている。この、あまり語り継がれていない事実は、歴史の大きな節目だった。

 山下亀三郎が、会社再建にやっきとなっていた恐慌下の1931~32年にかけて、日本を戦争へと押しやる出来事が次々と起きている。当時、大蔵大臣の井上準之助は、世界の通貨制度の標準と信じる「金本位制」にこだわり、不況下の緊縮財政、円高誘導で産業界に大きな痛手を与えていた。生糸の価格が暴落し、農村の現金収入は断たれた。

 金融界は、庶民の苦しみとは裏腹に、当初、金本位制を支持した。井上と親しかった三井銀行筆頭常務の池田成彬は、政府の後押しをしている。

世情を無視した金解禁に、満州事変が重なる

 恐慌のまっただなかの31年9月18日、関東軍が柳条湖ちかくの満鉄線路を爆破し、満州全土に進軍する。満州事変が起きた。戦闘に送り込まれた中心部隊は、恐慌の苦しみにあえいでいた東北地方の貧しい若者たちだった。疲弊した農村の若い働き手が、命をかけた戦いに狩り出されたのである(イラク戦争に志願する米国の貧しい若者と重なる)。

 そして、巨額の戦費を必要とする事変の勃発から3日後、最悪のタイミングで世界経済に大激震が走った。

 国際金融の中核、イギリスが急激な資金流出に耐えかねて金輸出を再禁止し、金本位制から離脱したのだ。ロンドン株式取引所は臨時休業し、英国は百年に及ぶ金本位制の幕を閉じた。世界経済は大混乱に陥る(08年8月にロシアが仕掛けたグルジア戦争と翌月のリーマンショックの発生と似ている)。

 第一次大戦後、全世界の金の4割以上が「独り勝ち」のアメリカに集中する状況で、金本位制の母国・英国は、国内経済の安定を求めるなら通貨の発行量が金保有に縛られるシステムから離脱するしかない、と見切りをつけたのだった。

 この大転換に金融界は、素早く反応した。

「もはや日本も金本位制から離れるしかない。そうなれば、為替は急激な円安(ドル高)にふれる。いまのうちに円をドルに換えておけば、損失を埋め、儲けが出せる」

 と、思惑による膨大な「ドル買い」に出たのだ。巨大マネーは国境を越えて動く。

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