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「規模拡大して、幸せになれんの?」

羊飼い 羊まるごと研究所代表 酒井伸吾

  • 酒井 香代

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2009年6月12日(金)

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 成功者とは、いかなる人間を指すのだろうか。

 哲学的過ぎる問いだとすれば、「一般的に」と限定してもいい。その枠内で考えても、時代を経て、その答えは変化してきた。

 では、21世紀の現代、成功するとはどういうことか。

 人口1万人ほどの北海道白糠(しらぬか)町は、東西を釧路市に挟まれた太平洋沿いの町だ。ここに、まだ独立して10年に満たない牧場主がいる。羊肉と羊毛用に、羊を育てる37歳の酒井伸吾は、この牧場を「羊まるごと研究所」と名づけている。

洞爺湖サミットのディナー

 1年前の7月7日、北海道の洞爺湖で開催されたサミット2008の晩餐会のメーンディッシュの1つとして、酒井が育てた羊肉が選ばれた。

 白糠産、乳飲仔羊背肉のポワレ香草風と仔羊鞍下肉のロースト、セップと黒トリュフ風味仔羊のジュと松の実オイルのエマルジョンソース。

 パリのレストラン「ル・ブールドネ」の料理長時代に日本人初のミシュランの星を獲得したことでも知られる、「ザ・ウィンザーホテル洞爺」総料理長の中村勝宏が、ほれ込み、サミットのために注文したのが羊まるごと研究所の羊肉だった。

 東京にも、羊は酒井の育てたものでなくてはと言う料理人がいる。港区芝の高級フレンチレストラン「クレッセント」料理長の磯谷卓だ。

 『ミシュランガイド東京2009』で2つ星を獲得したシェフをして、「一生つき合いたい」と言わせるのが酒井であり、彼が生み出す羊肉だ。

マイナー産業の中で

 『万葉集』の時代から食されていた記録も残る羊だが、現在、日本人が食べる食肉の中で、羊肉は決してメジャーとは言い難い。生後1年未満の子羊肉を指すラム肉も、1年以上のマトンも、99%は輸入である。

 かつて日本でも100万頭近い羊が飼われていたことがある。昭和32(1957)年がそのピークだ。もちろんこの数さえ、諸外国に比べれば微々たる数である。

 明治維新後、政府の肝いりで始まった牧羊産業も、羊毛や羊肉の輸入の自由化による価格下落、特に羊毛は、化学繊維の発達による需要の低下で、1960年代から衰退の一途をたどる。今では、国内で飼われている羊の数はピーク時の100分の1ほどに減った。全国で、羊を飼育するのも600戸ほどだ(中央畜産会調査より)。

 「羊の肉と羊毛だけで生計を立てている牧羊家は、日本全国でも10軒ほどではないか」
 そう酒井は言う。

 一流のシェフたちから、絶大なる信頼を得る羊肉を生産する酒井にしても、「羊飼いが、食っていける歴史的な年」と言えたのは、去年(2008年)が初めてだった。

コメント3件コメント/レビュー

何もお金や規模や権力の大きさが全てではないと思います。確かにどれも、それなりには必要です。ある程度超えたら求めるものは自分が納得できるものでいいと思います。私の目標は働かなくも家族が暮らしていけるお金を生み出せる物を手に入れたら後は好きなことというか、納得の行く仕事というかよく解りませんがそんな感じです。上流を大切にすれば、下流も上手くいく考えかたは正しいと思います。もちろん、教育や消費財は下流からもあげていくべきだと思います。(2009/06/12)

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いただいたコメント

何もお金や規模や権力の大きさが全てではないと思います。確かにどれも、それなりには必要です。ある程度超えたら求めるものは自分が納得できるものでいいと思います。私の目標は働かなくも家族が暮らしていけるお金を生み出せる物を手に入れたら後は好きなことというか、納得の行く仕事というかよく解りませんがそんな感じです。上流を大切にすれば、下流も上手くいく考えかたは正しいと思います。もちろん、教育や消費財は下流からもあげていくべきだと思います。(2009/06/12)

目指すべきものが何かということでしょうか。規模を拡大したり、小売をすれば喜んでくれる人は増えるでしょう。ただ、それで犠牲にする質や生き方。どちらが彼自身を充実させるのか。それは僕にはわからない。分からないから、とっても気になります。もがきながらも自分を貫こうと信じている姿、とても参考になりました。(おやさん)(2009/06/12)

 別に自分ですべてやらなければならないわけではないと思いますが…工場は他の責任者に、経営も他の方にやって畜産に集中しても良いかと思いますよ。本田総一郎はまさにそうだったわけですし。 市場ニーズがあるのにそれに答えたいという気持ちがないことが、個人的には利己的に思えます。自分だけ幸せならそれでいいのか?と。(2009/06/12)

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