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トラブルでわかる、組織の底力

2009年7月24日(金)

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 芸能界の友人に誘われて、著名デザイナーのファッションショーに出向いた。

 ワイドショーなんかでよく見る、モデルが歩く通路の両脇にズラッと著名人たちが最前列に並んで座る、あの席の末端に私も案内された。それは私が著名人というよりも、友人が著名人だったのでその連れ、ということで私もついでに並ばせていただいた。

 それを私は重々理解して遠慮がちに座った。

 改めて、前に向き合って並ぶ向こう側の著名人たちの顔ぶれを見た。芸能界で今をときめく顔ぶれと、誰もが知るファッション界の重鎮たちが並び、圧巻だった。

 最前列だけはデザイナーにとっての主賓席だった。

 案内係の女性が、ショーが始まる直前に私のところにやってきて耳打ちした。
 「あの、すみませんが、あとで後ろの席にご移動いただいてもよろしいでしょうか」

 やっぱりな、とその晴れがましすぎる席に居心地が悪かった私は、快くそれを了解した。

 耳打ちに気づいた友人が怪訝な顔で私に「なに?」と聞いた。
 「私だけ席移動するけど気にしないでね」

 その瞬間、友人の顔色がサッと変わり、案内係を呼び、言った。
 「この人を後ろにまわすのなら、私も後ろに行きます」

 友人はこのショーのために、デザイナーのファッションをわざわざ身につけ参加していた。彼女もまたデザイナーにとっては、主賓だった。

 友人にそう言われて今度は案内係が焦った。そのやりとりを見ていた、友人が所属するプロダクションの社長が「どうしたの?」と聞きに来た。

 事情を友人が話すと、今度は社長が激怒した。
 華麗なファッションショーの客席が、私の扱いが原因で騒然となっていく光景に私は声をあげた。

 「いいんです。私のために怒らないでください。私はよく理解しています。自分の位置や自分の立場を。だから、私は後ろでもまったく意外ではありません。私は自分をわきまえられるつもりです」

 そう言いながら、そう言うほどにみじめになった。

 だが、友人と社長の剣幕は収まらず、結局、「どうぞそこにお座りください」と案内係が折れることで落ち着いた。

 向いの主賓席の面々が私を「誰だ?」という眼差しで見て、「なに騒いでんだ?」と注目を浴びた。コソッとファッションショーを見られたらそれだけで嬉しかったのに、いつもとんだ目立ち方をしてしまう自分の運を恨んだ。

 それとは関係なく、ショーは華やかにきらびやかに繰り広げられた。その後、打ち上げパーティーにも友人と一緒に参加した。

 そこには、驚くべき光景があった。

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

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「トラブルでわかる、組織の底力」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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