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才能がない、絵がヘタ、それでもクリエイターになりたい君に

蛙男商会(FROGMAN)の「劇的3時間クリエイティブ講座」【後】

2009年10月29日(木)

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前編から読む】

 昨年(2008年)の秋、10人のプロが3時間、自らの創作を語る「劇的3時間SHOW(今年のリンクはこちら)」というイベントがありました。錚々たるクリエイターの中に、以前からお会いしてお話をうかがっていたFROGMAN氏の名前が(過去記事は「談話室たけくま」)。彼から、イベントで話し相手をとご所望され、慌てて当時の最新作「秘密結社鷹の爪THE MOVIE2 私を愛した黒烏龍茶~」を見に行き、「この人、やっぱり面白い」と再確認して、引き受けさせていただくことにしたのでした。

 会場のスパイラルホールでの3時間は、映画監督になりたくて派遣会社に10年勤め、賭けに出て自身も資金も失い、そして島根県での復活から映画祭で賞を受けるまでに至る、逆転また逆転のエピソードが連発され、あっという間に過ぎてしまいました。

 これはぜひ世に出したいと思っていたら、このときの「劇的3時間SHOW」のトークが『劇的クリエイティブ講座』として書籍にまとまることになりました。そこで、版元のイースト・プレスさんにご協力をいただき、FROGMAN氏のお話を抜粋して、ここにご紹介させていただく次第です。登場するのはFROGMAN氏、彼を島根から引っ張り出したDLEの椎木隆太社長、そして私です。

 ちなみに、この本で登場するクリエイター(敬称略)は以下の通りです。

  • 佐藤可士和
  • 川上未映子
  • 松任谷正隆
  • 大宮エリー
  • 藤村忠寿
  • FROGMAN
  • 石川光久
  • 堤幸彦

 何度見直してもやっぱり豪華絢爛、そして、その中にFROGMAN氏を加えた慧眼も、何度考えてもさすがだなと思います。どのお話も面白いので、ご一読の価値あり、と素直に思います。それでは、前編に引き続きFROGMAN氏のお話をお楽しみください。

 なお、繰り返しになりますが、版元さんへの敬意として、書籍に掲載されている分量の約半分に圧縮しておりますこと、小見出しに変更を加えておりますこと、そして、本書籍の魅力のひとつでもある、とても丁寧な注釈をあえてカットさせていただきましたことを、お知らせしておきます。

*    *    *

山中 さて、そろそろ最後になっちゃうんですけど、こういう「成功した」クリエイターの方に聞きたいことって皆さんいろいろあると思うんですが、先に一つやっちゃいましょう。「何をやったらそうなれますか」っていう質問、普通によく受けませんか。

FROGMAN(以下FG) そうですね。発想法とか、シナリオを書く時どうしますかとか。

山中 で、そこに持っているクリップボードと筆ペンがありますよね。

FG はい、僕がいつも手放さないやつですね。これは全部裏紙なんですよ。うちのコピー機の脇にたくさん積み上がっているんで、そういうのをがばっと持って来て、メモ紙にするんです。

山中 手書きなんですよね。ワープロで書くことと手で書くことって、情報の価値としてはほぼ等価なはずなのに、例えば「殺す」ってワープロよりも手で書いた方がヤバい感じがしますよね。

アイデアはカラダで考えるもの。だからワープロより筆ペンで

FG 村上龍さんもたしか手書きからワープロに移った時に文章が変わったってどこかで言っていたことがあるんですけど、やはりアクションしながらものを作るってことはすごく大事ですよね。

 例えば、全身縛られて何か面白いことを言えって言われたら、やっぱり難しいじゃないですか。動くからこそリズムが掴めるというか。僕も例えば自分の作品で声優をやる時に、直立不動で東海林太郎みたいにはやらないんですよ。動きながら、笑ってる芝居は笑った顔でやるんですよね。人間ってやっぱり感情の生き物で、僕らが作っているのは映像に感情を込めてそれを人に伝えるっていうのが商売なので、やはり作る時にはその感情を介するような作り方をしなきゃ絶対いけないと思う。

 僕はいわゆるワープロでそれを表現するのはまだ難しいんじゃないかなと思ったり…… いや、もしかしたら今の子供たちはワープロ打ちにも感情が入るかもしれないですが、ただ僕は大人になってから始めた人間だから、そこまでまだ修練されていない。ブラインドタッチも出来ない、だからダメなのかもしれないですけど。

 だから今も筆ペンです。筆ペンいいですよ。細い方でも普通に書けますし、太い方だと「殺す」も大きく書けますし、塗りつぶしも出来ますし。これでよく一人ブレストしてます。

「積み上げ」ではたどり着かないことにどう挑むか

山中 ワープロと筆ペンの違いに近いものだと個人的には思うんですが、「積み上げていくと辿り着けるもの」――日々勉強していくとちょっとずつスキルが上がっていって、60点が90点になり、もしかしたら100点がとれるかもしれないという世界。これはわかりやすいんですよ。教育というロジックがあるから。「どうすればなれますか」という問いは、たぶんこのロジックから来る。

 でも、残酷な言い方ですけど、積み上げではどうしても行けないところというのが厳然とあるわけですね。それを、積み上げれば行けるように錯覚させて、そういう本を売ってる人もいる。

 だけど、そもそも制作の原動力というか、人にものを見せたいという思いって、積み重ねで出来てくるものじゃない。と、いろいろな方のお話を聞いた結論として思うんです。

FG ああ、そうですね。僕がDLEに参加した時に何人かクリエイター志望の若い子がいたんですね。その中に女の子がいて事務をやらされていたんですよ。経理とか、「ちょっと郵便出して来て」みたいな小間使いも含めて。まだ20そこそこの子だったんですけど、結局ほどなく辞めちゃうことになるんですが、その理由が「クリエイター志望で入ったのに、クリエイターとして使ってくれなかったから」なんです。……それは違うだろと。

 クリエイターって、誰かに「あなたは今日からクリエイターです」って言ってもらうんじゃないんですよね。勘違いする人がいるんですが、自分からなっていかないといけないんです。じゃあ5年勤めたら次はアシスタントプロデューサーになれて、8年勤めるとプロデューサーになって、10年勤めるとエグゼクティブプロデューサーになりますみたいに、時間とスキルを積んでいけば自動的に上がっていくもんだと勘違いしている人って結構多いんですよ。

 監督になるにはまずシナリオを覚えましょう、演出法を覚えましょう、カリキュラムに沿っていけばある日突然監督になれますよって勘違いしてる人がいるんですよね。というか、実は僕自身も20代の最初の頃ってそういうふうに思ってて、そういうもんじゃないと気づいて愕然として映画業界を辞めた部分もあるんですけれども。

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「才能がない、絵がヘタ、それでもクリエイターになりたい君に」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官