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「貧乏だったら、リスクを喰え」が「経済」なのか?

普通の人のための経済学:姉歯暁×飯田泰之【前】

2009年10月30日(金)

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 経済学、社会学といった学問の成果を大学や学会の内部に閉じこめず、普通の人々の社会にどうつなげるか、同時に、普通の人々がアカデミズムの世界にアプローチする道筋はどこにあるのか。いくつもの記事を通して、日経ビジネスオンラインの読者の皆さんの強い関心を感じます。

 今回、駒澤大学経済学部の設立60周年を記念して、東京大学名誉教授の宇沢弘文氏が「経済学と人間の心」をテーマに講演を行います。また、NBOの皆さんにはおなじみ「シノドス」の芹沢一也さん、荻上チキさん、飯田泰之さん(駒澤大学経済学部准教授)が、関西学院大学助教の鈴木謙介さんと「不思議の国ニッポンの経済・文化・社会」と題してシンポジウムを開きます(11月14日、入場無料、詳しくはこちら)。

 ジョセフ・E・スティグリッツの師としても知られ、数理的な面から経済理論の研究によって世界的な権威となりながら、公害などの社会問題の解決を目指し、一転、公共経済学へ進まれた宇沢氏。連載「経済学っぽく行こう!」でもご存じの通り、「知」の公共化を旗印に掲げてきたシノドス。目的ではなく道具としての「経済学」を語る、興味深いイベントになりそうです。仕掛け人の、姉歯暁(あねは あき)・駒澤大学経済学部教授、そして飯田泰之さんに「普通の(あまり経済学を知らない)人」を代表するかたちで、お話をうかがいに行きました。(Y)

姉歯 暁(あねは あき)
駒澤大学経済学部教授

東京都世田谷区生まれ。國學院大學大学院博士後期課程満期退学。長野大学、駒沢大学非常勤講師、文部省特別研究員、県立新潟女子短期大学生活科学科講師・助教授、イギリス・Essex大学社会学部客員研究員、大妻女子大学社会情報学部助教授を経て2007年より現職。専門は経済学(信用論・消費経済論)。著書は『コルチェスター日記-イギリスのひと、暮らし、福祉』(野島出版)『現代サービス論』(創風社)『現代の労働・生活と統計』(北大図書出版社)他。翻訳書は『グローバリゼーションとはなにか』(こぶし書房)、『クレジット・クランチ』(昭和堂)が2009年12月ごろ出版予定。「なお、例の姉歯元一級建築士とは、ルーツをたどれば重なるでしょうが、親戚関係でもなく面識もないので、あしからず」。

飯田泰之(いいだ やすゆき)
駒澤大学准教授

1975年東京生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。現在,内閣府経済社会総合研究所、財務省財務総合研究所客員研究員を兼務。専門はマクロ経済学・経済政策。主な著作は『経済学思考の技術 ― 論理・経済理論・データを使って考える』(ダイヤモンド社)など。近著は『脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる』(雨宮処凛氏と共著、自由国民社)

*    *    *

Y 唐突なんですが、シロウトと経済、というとすぐ連想してしまうのがマンガ家の西原理恵子さんです。以前取材をさせていただいたときも、FX投資で大損害を被っておられたのですが、その経緯をとうとう本(『太腕繁盛記』)にしてしまわれました。

姉歯 ああ、あの1000万円の・・・。

Y そうです。FX投資に家を買うお金をつぎ込んで1000万円なくしてしまって。

姉歯 さすが転んでもただでは起きない。

飯田 いや・・・でも1000万円は賭け事にしては大きくスリましたね。今、本はそんなに売れないです。

姉歯 ですよね、1000万円は取り戻せないでしょう。

Y 西原さんを広告塔にFXの事業をやっていた会社もとうとうFX部門を閉めちゃって、西原さんの本によると、今、火鍋料理がメインの会社になっちゃって。

姉歯 ええーっ。

Y こっちは儲かりますよと。

姉歯 やはり、実物経済ということですか。

貧乏人は「リスク」を喰わざるを得ないのか?

飯田 相場はゼロサムです.誰かが儲かれば、誰かが損をしている.重商主義の失敗(※植民地を獲得しても、その維持に貿易の利益以上にコストがかかる)と同じで、実は何も生んでいないということに、みんな早く気付こうという。特に金融と金融市場って、もともと、実物経済をうまく生かし、回すために必要なんですよね。

姉歯 リスクヘッジだってもともとは、貿易という実物経済のリスクをヘッジするためのものでしたよね、為替の差損の。

Y 姉歯先生は、消費者保護を、情報の非対称性の面からお考えになっているそうですが、消費者の側にこうした「経済学っぽい」情報、知識があれば、見えてくることはいろいろあるはずですよね。それは、お金儲けや資産運用に限らずに。

姉歯 いや、もう、本当にそうですね。

 たとえば2007年末から2008年にかけて話題となった中国製冷凍餃子の事件がありましたよね。これ以降一気に減った冷凍餃子の購入が、400万円未満の世帯で、また増えているんです(※)。所得の問題、ひいては経済の問題って、単にお金のあるなしだけではなく、生きるための基本的な要素、健康、食事などにとっても、実はものすごく大きい。

首都圏360世帯の調査によれば、冷凍餃子(中国製に限定はしていない)の購入個数は、400万円未満の世帯では08年が07年より33%多く、それ以外では07年より10~52%減って、全体では36%減だったという。(2009年2月、ライフスケープマーケティング調べ)

Y そこがまさに、ご専門を知っておうかがいしたいと思ったポイントなんです。消費者の保護ということ、それ自体はたぶん誰しも逆らえないテーマだと思うんですよ。だけど、質が高くなれば当然値段も上がる、それも経済の原則として認めざるを得ませんよね。

姉歯 そうですね。

Y 消費者といっても幅が広くて、自分で選択の自由を行使できる層は問題ないとして、あえて言いますが、「リスクのありえるもの」を選らばざるを得ない層に対しては、経済学は、そして先生はどういうアプローチを考えられるんでしょうか。

姉歯 私はやっぱり、「安いものしか買えない、そうしないと生活できない」という、その賃金水準がおかしいと思っています。

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「「貧乏だったら、リスクを喰え」が「経済」なのか?」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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