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あなたは「慧眼上司」になれますか

2009年11月13日(金)

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 最近、いろんな企業の顔を見る機会が多い。何かを買ったり誰かと話したり、というのはつまりは、話す相手の背後にある、その人物が属する企業と向き合うことなのだ、と実感する。

 資生堂副社長とあるイベントで対談した。ワークライフバランスの重要性を考える対談だった。女性で子育て体験もある副社長が語った中で、「不遜な言い方ですが…」と謙虚な前置きをした後に、忘れられない言葉があった。

 「およそ考え得るすべてのワークライフバランスのための対策を投じました」

 その結果、資生堂では女性の退職者がほとんどいないという。

 「うらやましい」

 それが私の正直な感想だった。ワークライフバランスは、フリーで働く女性にとっては理想郷だ。フリーは自由な働き方ができるというのは錯覚で、実際私が経験した働き方はとめどなく終わりのないものだった。

 それはフリーという不安定さがもたらす強迫観念と言おうか、保証のない職業につきものの、働いても働いてもなお不安でまた働いてしまう、という類のものだ。それに“キリがない”と気づくのは「親の介護もろくにせず…」とか「子供を産むチャンスもなく…」とかいう人生のアンバランスさに自分で気づいた時である。

 「このままでいいのか」という気づきが、ようやくフリーにもワークライフバランスの重要性を意識させる。ただし、その時点でバランスを取るべき家族がいれば、の話だが。

 そういう意味では、企業というのは実にうらやましい組織だと思った。企業の上層部に仕事と子育ての苦難を体験した女性が位置し、その人物が「考え得るすべての対策」を講じてくれるのだから。これほど心強いサポートはない。

 企業勤めの女性にとっては、中枢部にその意識を強く持った人物がいるかどうかが、ワークライフバランスの決め手になり、フリーで働く女性にとっては、いつ自分の人生のバランスの悪さに気づくか、が、決め手になる。

 ワークライフバランスの実現性には、企業においてはそれがいかに企業利益につながるかという“説得力”がモノを言い、フリーにおいては“覚悟”がモノを言う。そして企業にせよフリーにせよ、それらを持ち合わせることのどれほど困難なことか。


 「こんな有難いことはない」と泣く老舗料亭経営者と話した。

 苦労して料亭を存続させた先代の経営者が近年他界した。ごく身内で見送る葬式だった。だが後に、訃報を聞きつけたある企業から料亭に連絡があった。

 「我が社がお世話になった方を、こちらでも弔わせていただきたい」

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「あなたは「慧眼上司」になれますか」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士