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耐えられるか、その“通じなさ”

2009年11月27日(金)

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 最近、私がおかしいのか、時代がおかしいのか、自分でもわからなくなる時がある。

 老舗の店でギフト用菓子箱詰めを注文した。1万円札を渡し、「道に止めた車で待つから、商品とおつりを持ってきてください」と言い、「急ぎで」と付け加えた。

 それから10分が経った。手ぶらの店員が車に向かって来るので不思議に思っていると、店員は言った。

「お菓子の1種類が賞味期限ぎりぎりで、ギフトには向かないかと…」
「じゃ、期限が十分あるものにその1種類を替えてください」
「はい」
「急いで」とまた念押しした。

 20分が経った。

 私は店に出向き、いったいいつまで待たせるのかとクレームを言った。店員は3人いたが客のクレームに対して真剣に向き合うまなざしの店員はおらず、皆、どこかなにか他人事のようにボーッとラッピングしていた。

 一昔前の、血相を変えて客に詫び、全身で懸命に動く姿は今では幻のようだ。

 今は、ギフトの注文に30分をボーッと待てる人物でないと時代についていけない。


 また、有線から光ファイバーへと、引っ越しを機に移行する機器があったので、その会社に電話した。

「引っ越しで、有線から光ファイバーに移行したいのですが」
「では、技術者から電話をさせます」

 そして技術者から電話があった。

「お引越しによる移転だそうですね。いつでしょうか」
「○月×日です」
「了解しました」
「念のための確認ですが、有線から光ファイバーへの移転だとご存じですね」
「ええっ。そうなんですか。それでは確認して再度お電話します」
「はい」

 ため息交じりに電話を切った。

 その会社の別の人物から電話があった。

「有線から光ファイバーへの移転をご検討でしょうか」
「いえ。検討などしていません。決定です。最初からそのお願いです」
「では、有線機器を送り返してください。住所は…」
「今はメモができないので、住所は留守録に入れておいてください」
「留守録に入れていいかどうか、上司に確認します」

 それから何分経っただろう。

「では、留守録にお入れします」

 その返事以降、翌日になってもまだ留守録には何も入っていない。

 何か一つの用事で企業に電話した時に、その用事が一本の電話で済んだ時代がなつかしい。

 質問に答えられる担当者がいた時代が奇跡のようだ。

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

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「耐えられるか、その“通じなさ”」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授