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男脳・女脳ブームに透けて見える「排除の論理」

2010年1月29日(金)

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 男脳、女脳というのが最近話題になりだした。私もそういう脳科学系番組に出演もした。

 おなじみの地図が読めない女と空間認識力のある男。システマチックに言葉を扱う男と感情の波で言葉を扱う女。数々の男女差が科学者によって脳を根拠に解説されていった。

 しかし、それらを聞くにつけ、私には占いと霊能者と脳科学者が同じ系列にあるような気がしてならない。

 どれも、証明できないことで予言しているからだ。占いは統計学だという。霊能者は霊が見えるという。脳科学者は科学だという。しかしどれも解明された分野どころか未知の分野のほうが圧倒的に多く、証明すらできない。

 証明できないことへの畏れが、人をより無根拠に信用させてしまいがちなところも似ている。

 しかし、脳科学で言われている脳の男女差など、そのほとんどを私はジェンダーで解説できる。そもそも地図は男性が作ったものだ。それを男性が読めて驚くことでもない。

 また、若いころから地図を見ながら女性とのデートをリードしてきた男性と、リードされてきた女性との、男女の育ちとトレーニングの差を思えば、地図が読めない女性が多いことなど、脳科学を掲げなくても当然のことなのだ。地図の読めない女と脳を関連づけるのであれば、料理の作れない男も脳で関連づけられる。脳を根拠とする男女差などたかがトレーニングの違いで説明できる。

 だからトレーニングを積めば私のように地図だけでどこでも行ける女もいれば、料理の上手な男性もいるだけのこと。

 日々会議やら報告やら公共空間で共有できる言葉のトレーニングを積む男性と、日常で気取らない言葉で十分事足りる環境で生きてきた場合の女性との、言語構成の違いもまた、環境とトレーニングで説明できる。

 わざわざ脳を科学してまで男女の違いを証明されなくても、男女が違うことなど全員知っている。

 それをことさら脳を持ちだしてまで証明したいその目的はなにか。

 そこには“あらがえなさ”を印象づけることで性差を際立たせたい人間の未必の故意があると思えてならない。

 人間は脳の支配化で生きている。脳がやられると腕一本動かせないし、ホルモンも出ない。

 脳に人は無力なのだ。その脳が「男は空間認識力があるが、女にはない」とするなら、女性パイロットを科学の名のもとに企業は拒絶できる。また、女性自身もはじめから断念するだろう。また、男が女をリードし、女性は幼児のように男についていくことが正当化もされる。

 これは、占いでも同じ効果を出せる。

 人間は決められた星のもとで生きている。星に逆らうと事故や病気にみまわれる。人は星がもたらす運命に無力なのだ。・・・・と。

 これ、最近の脳科学とどこか何か違うだろうか。

 そのうえ、占いが「はずれることもある」なら、脳科学も「個人差がある」と逃げられる。

 そのズルさまで似ている。

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

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「男脳・女脳ブームに透けて見える「排除の論理」」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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