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7万部のベストセラー、東大の英語副読本『東大英単』とは?

「学問の入口フェア2010 LIVE 東大人気講義」応援企画(後編)

2010年5月14日(金)

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(前編はこちらから→「ビジネスマンだって、東大で勉強してみたい!」)

★「学問の入口」フェア開催書店さんの一覧はこちらから。

山中(以下、Y) 「学問の入口」フェア応援企画、選書された東京大学出版会の澤畑塁さんに、引き続き「とっつきがよく、ビジネスマンが読んで面白い」本をご紹介いただいています。後半は、東大の教室に突然村上春樹あらわる! の、『翻訳教室』から参ります。

『翻訳教室』

東京大学出版会・澤畑塁(以下、澤畑) 『翻訳教室』は、今回のフェアの趣旨とまさにぴったりの本ですね。つまり、東大の授業をとっかかりにして、学問の面白さをお伝えしようという趣旨と。

 この本は、東大文学部の授業「翻訳演習」をそのまま書籍化したものです。その授業では、英語の課題文が与えられていて、それをどう訳すかを柴田先生と学生がみんなで論じあっています。「ここはこう訳すべきじゃないか」、「いや、ああではなかろうか」と。

 あ、本当だ。ずいぶん具体的な話をしていますね。

澤畑 ええ、とても具体的な話をしています。

 「『生まれた町』というタイトルにしたんです。『故郷』という言葉は避けたかったんで。せめて『出身地』とか」。ふむふむ。

澤畑 そこは、“a place where they've come from”という句をどう訳すかで議論している場面ですね。直訳すると「彼らがやってきたところの場所」ですから、「故郷」と訳すのがいいのか、それとも「生まれた町」と訳すのがいいのか、はたまた「出身地」がいいのか、と。小説だと、その訳語のニュアンスによって、喚起するイメージがちがってきますから。

 たしかに変わりますね。

挑戦する学生、受け止める先生

澤畑 ええ。かなり細かいことですので、そこだけをみていると「そんなにちがうのかな」とも思うんですけど、ただ、最終的にできあがったのをみると、やっぱり全然ちがう。とくに柴田先生の訳は。脱帽です。

 へえ。ここでは英語の文章を訳していく話がずっと続いているんですね。

澤畑 そうです。授業では、挑戦的とも言えるぐらい積極的な学生がいて、柴田先生がそれをもしっかり受け止めて、きちんと応答しています。

 何かそのやりとりの熱気みたいなものが面白さになっているんでしょうかね。

澤畑 ええ、熱気といいますか、ライブ感といいますか。「生・春樹登場!」というサプライズも、そのライブ感にひとつ色を添えている感じです。

 これを読んでいると、翻訳の技法がどうとか、メソッドがどうとか、どうやらそういう話ではなさそうですよね。

澤畑 固定されたメソッドではなくて、反対に、その場その場で臨機応変にどう考えていくかということ、それを伝えているのが、この本の最大の魅力だと思います。

 よくインタビューって、「相手が用意していた言葉じゃなくて、その場で相手が考えたことが面白い」と言いますね。だから聞き手はインタビューイの方に、彼なり彼女なりが初めて考えるような質問を投げないといけないし、できればそのインタビューイの方もその場で新しく考えようという姿勢で、手持ちのネタから引っ張りだそうとしないでほしい、とわがままにも思うんですけれど、この授業なんかも、熱意ある学生の翻訳というのは、それこそ柴田先生の予想外だったんじゃないですかね。「えーっ、そんなふうに考えるの」と。

観客(学生)が代われば、同じライブ(授業)にはならない

澤畑 前回お話しした、「野矢先生の授業は引き込まれる」という話も、そこにあると思います。きちんとその場で料理するというか、学生たちの興味・関心・質問にきちんとその場で向かいあうというところに。

 そうなると、学生が替われば、二度と同じ授業はできないみたいな話になるわけですよね。

澤畑 『翻訳教室』に収録された授業は、ずいぶん実り豊かな年の授業だったらしいですよ。

 いかに東大といえど、やっぱり「アタリ年」があったりするわけで(笑)。

『東大の教室で『赤毛のアン』を読む』
『翻訳の作法』

澤畑 『翻訳教室』以外にも、翻訳関係は目を引く本がたくさんあります。東大出版会の本でも、『東大の教室で『赤毛のアン』を読む』や『翻訳の作法』など。

 タイトルがとてもキャッチーですね。話を戻しますが、翻訳というのは、語句の1対1対応ではないということが、これらの本をパラパラっと読んだだけでも、猛烈にわかりますよね。「出身地」にするの、「故郷」にするの、「生まれた町」にするのという。

澤畑 機械的なメソッドではないということですね。

 そうです。前半からここまでお話を聞いていて興味深いのは、法律にしても論理学にしても、また翻訳にしても、「これが正解です」とか、「これを覚えておきなさい」という本がまったくないことです。むしろ、「とにかくゼロベースから積み上げていくと、ここまでは僕も君も納得できるよね」みたいな話を示そうとしている。そしてそれを示したうえで、「こんな考え方もあるぞ」というのを投げつけてくる。そこが共通していますね。

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「7万部のベストセラー、東大の英語副読本『東大英単』とは?」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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