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「自分の選んだ仕事に、心から夢中になっていたい」 ~「バガボンド」の井上雄彦氏にインタビュー【前】

祝・「バガボンド」連載再開!

2012年3月26日(月)

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『スラムダンク』『バガボンド』『リアル』。マンガの王国、日本において誰もが認める頂点に立った井上雄彦氏がスペインで建築家アントニオ・ガウディの作品群と無心で向き合い『ペピータ』という本を作った。それは我々に「仕事の原点」を気づかせてくれる。

―― 井上雄彦さんが、なぜスペインの建築家、ガウディをテーマに選んでこの『pepita(ペピータ)』を出されたのか、そこから聞かせてください。

井上 雄彦(いのうえ・たけひこ)
マンガ家、1967年生まれ。累計部数1億1700万部を超える国民的マンガ『スラムダンク』、吉川英治の原作とは全く新しい武蔵、小次郎を世に出した『バガボンド』、車椅子バスケを真っ正面から描く『リアル』の作者。昨年は京都・東本願寺の依頼で屏風「親鸞」を描いた。
(写真:大槻純一)

井上雄彦(以下井上):正直、この企画を打診されたときには、自分には明確な意図や目標はなかったんです。例えば「これを手がかりに何かを得よう、成長しよう」というよりは、もっと直感的に「面白そうだ」というのが根っこにありましたね。

 ただ、面白そうというのは、ガウディの作品や考え方をつまみ食いするような面白さではなくて、自分の今まで歩いてきた道、求めてきたもの、自分がメインだと思っている活動の、同じライン上にあることだなと思ったんです。それは、ガウディという人が持っているものなのかもしれないし、取材の途中で何か出会いがあるかもしれない。特に期待はせずに「何かあるかもしれない」で、いいのかなと。

 そもそもスペインに行ってガウディの建築を見る、という企画で、僕に何かできることがあるとも、最初は思えなかったですし。建築は門外漢で全然知らないですから。「何かきっと面白いことがあるだろうと直感では感じる。それでも何もなければ、ああ、このお話は僕には向いてなかったんだということ。それはそれでしょうがない、ごめんなさいと言おう」って、そういう感じでしたね。

pepita(ペピータ):井上雄彦 meets ガウディ
井上雄彦氏がバルセロナに赴き、サグラダ・ファミリアで知られるガウディの足跡を追う。書き下ろしイラストやスケッチ、実験的作品など50点以上と、100点以上の写真からなる書籍(創作ノート)と、取材、作画風景を収録したDVDで構成。「pepita」とは“種”。「読めば絵が描きたくなる」とは、書籍担当編集者の弁。

―― 実際に行ってみられていかがでしたか。

井上:面白かったですね(笑)。観光客かというような受け答えをしていますけど(笑)。

 現地に行ったことで、もともと自分の内側にあったけどぼんやりとしていたり、常に意識しているわけではないことが、より日常の中で意識することができるようになった。これまでは折に触れてぽっと浮かんできていたことが、常に頭のどこかに存在しているような気がしますね。

―― 『ペピータ』の取材で、ガウディの創造の原点を見たい、という井上さんは、彼がインスピレーションを得たと言われるモンセラの岩山に向かいます。ここで井上さんがスケッチに熱中する様子は、この本の見どころだと思います。

「…いかに分かった気にならないかが、楽しく描けるかどうかの分かれ道だと気がつく。」(『ペピータ』より、モンセラの岩山を描く井上氏)
(写真:川口忠信)

井上:雑誌で連載していると、人物は僕が描きますけど、背景はアシスタントに指示して描いてもらうことになります。締め切りに間に合いませんので、やむを得ずなのですけれど、これだと人物以外のものを自分の手で描く機会が、ラフくらいしかないんですよ。

 人物というのはもうキャラクターですから、「自分が知っている範囲」の絵にどうしてもなっちゃって、なかなかジャンプできません。だから、岩山とか、葉っぱとか、「自然のものを何とかその通りに描きたいな」と思って一生懸命やっていると、自分が本当に地面の高さに戻るというか、何も持たない状態にまた戻れる感じがして、今回の仕事ではそれがすごくうれしかった。何も持たない感じがすごく気持ちいいんですよね。

―― 何も持たない、とは?

井上:何て言ったらいいですかね。マンガの絵というのは、自分なりの描き方とか、身につけた見せ方というものでやっているわけです。それをなしにして、「ただ描かせていただきます」って感じで描く。

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「「自分の選んだ仕事に、心から夢中になっていたい」 ~「バガボンド」の井上雄彦氏にインタビュー【前】」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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三品 和広 神戸大学教授