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需要に応えるのは、本末転倒への道でもある~「バガボンド」の井上雄彦氏にインタビュー【後】

2012年3月27日(火)

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 「モーニング」誌上で『バガボンド』の連載も復活した、日本最強のマンガ家井上雄彦氏。彼がスペインを訪れ、建築家アントニオ・ガウディの作品群と向き合って作った本『ペピータ』を切り口に、「仕事」をテーマにロングインタビューを行った。今回はその後編をお届けする。

 後編からお読みいただいても分かりやすいように、冒頭は前編と重複している。すでにお読みの方はこちらからすぐに続きをどうぞ。

前編から読む】

―― 井上さんがヤングジャンプで連載中の『リアル』の中で、「やることなすこと何もかもうまくいかない」と言っていた主人公(野宮朋美)が、「自分の今の居場所がどんなにつまらないとしても、ずっと先の未来につながっているんだ」と気づく場面がありますよね。

井上:ああ、はいはい、居酒屋で話していましたね。

リアル

俺は何をめざすのかすらまだ見つかってねーや。
でも、だからこそ、今を生きることにした。
おめーが踏みにじってる今を。
今いる場所がつまんねえ職場だろうと、
俺の道であることに変わりはねえ。
俺のゴールにどうやってつながるかは知らねえが、
いつかつながることだけは確かだ。

(野宮朋美の台詞、『リアル』第6巻より。著者了承の上で句読点を編集部が補いました)

―― でも、なかなかそういう実感が得られなくて、「毎日充実したい」とか、「意味のない時間を過ごしたくない」とか、私たちはつい軽く口にしてしまいます。

井上 雄彦(いのうえ・たけひこ) マンガ家、1967年生まれ。累計部数1億1700万部を超える国民的マンガ『スラムダンク』、吉川英治の原作とは全く新しい武蔵、小次郎を世に出した『バガボンド』、車椅子バスケを真っ正面から描く『リアル』の作者。昨年は京都・東本願寺の依頼で屏風「親鸞」を描いた。(写真:大槻純一)

井上スペインで出会った職人さんたちは、そういうことを考えてないでしょうね。

―― どうすれば日本の社会人もそうなれるんでしょうか。

井上:いや、それは僕に聞かれても(笑)。うーん、会社に勤めたことはないからな(笑)。

―― でも井上さんは会社どころじゃなくて、それこそ「自分がいないとビジネスが成り立たない」という、ものすごい仕組みの中にいらっしゃるわけです。

井上:ええ。

―― 会社員って、休んじゃえば代わりがいるんですよね。井上さんはそうはいかない。そういう意味ではもっとプレッシャーとか、悩まれるところって大きいんじゃないんでしょうか。

井上:どうですかね。悩みどころが違うかもしれないですけどね。うーん、何だろうな。難しいですね。

―― すみません、一般化することを意識されなくてかまいませんので、ご自身のお話を伺えれば。

井上:僕は何に悩んでいるのかな。うーん、悩んでいるというか、一番嫌なのはやっぱり変わらなくなることなんですよね。

「しまった、小次郎は難しすぎるぞ」

pepita(ペピータ):井上雄彦 meets ガウディ
井上雄彦氏がバルセロナに赴き、サグラダ・ファミリアで知られるガウディの足跡を追う。書き下ろしイラストやスケッチ、実験的作品など50点以上と、100点以上の写真からなる書籍(創作ノート)と、取材、作画風景を収録したDVDで構成。「pepita」とは“種”。「読めば絵が描きたくなる」とは、書籍担当編集者の弁。

 自分が例えば『スラムダンク』を書いて、「ああ、井上雄彦はバスケマンガの人だな」と世の中から見られるようになったときに、ずっとそこにいるのはもう絶対に嫌なんですよ。「じゃあ、次に行かないと」という感じになって。『バガボンド』を描いて、なぜか世間のイメージが「ストイックな人だ」みたいになってくると、もうそれ、絶対に嫌だ、って。

 つまりそういうレッテル張りみたいな、「あ、この人はこういう人だね」って何か名付けられることに対する拒絶というか、「こっちでもない、あっちでもない、何かあいまいなところにいる」ことをずっと守ろうとしているんです。

 ですので、変われない状況に陥りそうなことや、もっと自分のやっていることを広げたり動かしたいというときに、いろいろな事情で動かせなかったり、状況を変えられなかったり、どう動かしたらいいのかが分からない、そういうときが悩ましい時期ですね。

―― 『バガボンド』の佐々木小次郎みたいな人が理想なんでしょうか?

 『スラムダンク』『バガボンド』『リアル』。マンガの王国、日本において誰もが認める頂点に立った井上雄彦氏がスペインで建築家アントニオ・ガウディの作品群と無心で向き合い『ペピータ』という本を作った。それは我々に「仕事の原点」を気づかせてくれる。

●facebook
http://www.facebook.com/pepita.book

●公式トレーラー

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「需要に応えるのは、本末転倒への道でもある~「バガボンド」の井上雄彦氏にインタビュー【後】」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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