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蛯谷 敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

蛯谷 敏

2000年日経BP入社。入社後は通信業界誌「日経コミュニケーション」の記者として通信業界を担当し、2006年から「日経ビジネス」。情報通信、ネット、金融、商社、建設、不動産、住宅、保険、政治など様々な業界を取材する傍ら、スマートフォン向けアプリ「日経ビジネス5ミニッツ」を開発。2012年9月から2014年3月まで、日経ビジネスDigital編集長として日経ビジネスのデジタル端末向けのコンテンツやサービス開発を担当。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

2014年4月からロンドン支局に赴任しています。

クルマのミライ~東京モーターショー直前スペシャル

トヨタも空を飛べるか?

2017年10月12日(木)

「世界を、ここから動かそう。BEYOND THE MOTOR」をテーマに、「第45回東京モーターショー2017」が10月27日から、東京ビッグサイト(東京・有明)で開催される。自動運転、つながるクルマ、電動化など、これからの10年、自動車産業を核として新しいモビリティー社会が生まれようとしている。新しい時代に向けて、自動車メーカー各社や関連産業はどのようなロードマップで新しいモビリティーを開発していくのか。モーターショー直前スペシャルとしてその動きを探る。

100年以上、モビリティー社会の主役に立ち続けてきた自動車。人々の移動範囲を飛躍的に広げ、経済を効率よく回す立役者だった。その姿が今、大きく変わろうとしている。きっかけは電動化技術。電池とモーターで動くEV(電気自動車)だけではない。「空飛ぶクルマ」の登場すら現実味を帯びる。世界には本気で実用化を目指している起業家たちがいる。まずは、その「熱狂」の現場をのぞいてみよう。

(日経ビジネス2017年6月12日号 28~33ページより)

 子供の頃、夢中になって読んだSF(サイエンスフィクション)小説によく登場した「空飛ぶクルマ」。米ボストン郊外に本社を置くベンチャー企業のトップ・フライト・テクノロジーズ(動画参照)は、この実現に「最も近い企業」として世界から注目を集めている。

 特に熱い視線を送るのが、米シリコンバレーなどで活躍するベンチャー投資家たちだ。2015年11月には、サンフランシスコに拠点を置くスクラムベンチャーズなどが計175万ドル(約1億9500万円)の資金を同社に投入。日本の大手企業からも資金を預かるパロアルトのトランスリンクキャピタルも出資した。「今、空飛ぶクルマは最も有望な投資対象領域の一つだ」(スクラムベンチャーズの宮田拓弥氏)

 このトップ・フライトを14年に創業したのが、1990年代から米マサチューセッツ工科大学(MIT)で自動運転ヘリコプターの開発に携わってきたロン・ファン氏だ。

 「自動で空を飛べるようになると、専門知識が必要なパイロットが必要なくなり、モビリティーの用途が一気に広がる。『空飛ぶタクシー』として渋滞を飛び越えることもできるし、災害で寸断された地域に物資を運んだり、離島のけが人を街の病院に運んだりすることも簡単にできるようになる」

1 米ボストン郊外のベンチャー、トップ・フライト・テクノロジーズが開発した試作機。全長195cm、全幅160cm、全高150cm。MIT出身のロン・ファン氏(顔写真)らが開発

 同社は今年4月、空飛ぶクルマを想定した小型の試作機「エアボーグ H8 10K」の飛行実験を成功させた(写真1)。機体の大きさは、全長195cm、全幅160cm、全高150cm。現時点で既に15kgの物資を1時間運べる能力を持つが、ファン氏は「4~5年後には最大8人を乗せ、3時間飛ばせるようにする」と自信を見せる。

ペイジ氏の秘密のベンチャー

 空飛ぶクルマとドローンの最大の違いは、「人や重い物資を運べるかどうか」にある。空飛ぶタクシーのように使うなら、自動運転か、手動であっても誰でも簡単に操縦できなければならない。さらに航空機のように滑走路が必要では使い勝手が悪い。市街地など建物や道路が密集した場所から容易に飛び立てることも重要な条件だ。

 多くのベンチャーは自動運転を想定しているため、操縦を制御しやすい「電動」を前提とする。だが、現存するバッテリーではパワーが足りず、大きな物資を運ぶことはできない。ここに技術開発の余地があるのだ。

 ファン氏のトップ・フライトが「実現に近い」と言われるのは、駆動源にエンジンとバッテリーの双方を積む、トヨタ自動車の「プリウス」のようなハイブリッド方式を採用していることが大きい。エンジンで発電した電力で飛行しつつ、余った電力はバッテリーにためる。「予備の電力は不測の事態に対応するためでもある」(ファン氏)という。

 空飛ぶクルマを誰が最初に実用化できるのか──。この「空中戦」に強い興味を示しているとされるのが、米グーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏だ。

 ペイジ氏が出資するキティホーク(動画参照)は、マウンテンビューのグーグル本社近くに開発拠点を構える。同じくペイジ氏が出資するジーエアロも同様の開発を進めるベンチャーだが、いずれもメディアの取材を受けないことで知られる。

 日経ビジネスが5月、両社に取材を申し込むと、別々に送ったはずのメールに対して1人の女性広報からこんな返事が戻ってきた。

 「キティホークもジーエアロも、今はメディアの取材を一切、受けていない。でも、製品発表の時には必ず誘う。ぜひ来てほしい」

 どうやら両社は別会社でありながら、人材を共有しているようだ。

2 ラリー・ペイジ氏が出資するキティホークは、水上を飛ぶことのできる新しいモビリティーを開発した。自動運転ではないが操縦が簡単で、「免許なしで飛べる」(同社)のが売りだという(写真=Davis Elen)

 メールと一緒に送られてきたのが、「試作機」とされる機体の写真(写真2)だ。4月にテスト飛行をした時の様子だという。空飛ぶクルマというより、「水面から少し浮く水上バイク」といった様相。キティホーク自身も、「パーソナル・エアクラフト(個人向け飛行機)」と位置づけている。

空のプロ、エアバスも参戦

 空飛ぶクルマの開発に情熱を傾けているのは米国に限った話ではない。欧州でも数々のベンチャーが登場し、テスト飛行を成功させている。

 スロバキアのベンチャー、エアロモービルは4月、20年にも市販する予定の2人乗り空飛ぶクルマの先行予約を始めた。小型飛行機のような見た目で、地上走行時は翼を折り畳む。

 全長5.9m、全幅2.2m、全高1.5m。自動運転ではなく乗員が操縦するタイプで、飛び立つ際は滑走が要る。価格は120万~150万ユーロ(約1億4000万~約1億7500万円)を予定しているという。

 ドイツの西部カールスルーエを拠点にするイーボロが開発を進めるのは、大型ドローン「ボロコプター2X」だ。機体はヘリコプターに近く、電動モーターで動く18個の回転翼で飛行する。13年に初めて無人飛行に成功した後、改良を重ね、今年4月、新デザインの「バージョン2」を発表した。

 同じくドイツで15年に創業したのがリリウム・アビエーション。5人乗り電動小型飛行機で、「空のライドシェアサービス」の提供を目指している。今年4月に初の飛行実験に成功した。

3 エアバスが開発中の空飛ぶタクシー。現行のタクシーやウーバーよりも安い価格設定にする。顔写真は開発リーダーのザック・ラバリング氏

 注目すべきは、この熾烈な開発競争に「空の専門家」も参戦している点だ。

 航空大手の欧州エアバスは、空飛ぶタクシーを開発するプロジェクト「ヴァーハナ(動画参照)」を昨年、立ち上げた。シリコンバレーに設置した同社ベンチャー投資部門が1億5000万ドル(約160億円)を投じ、サンノゼ国際空港近くの開発拠点で機体を設計している(写真3)。

 全長約6m、全幅約6mで、「自動車2台分の駐車スペースがあれば止められる」(開発リーダーのザック・ラバリング氏)。20年までにテスト飛行をし、21年までの実用化を目指す。

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