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蛯谷 敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

蛯谷 敏

2000年日経BP入社。入社後は通信業界誌「日経コミュニケーション」の記者として通信業界を担当し、2006年から「日経ビジネス」。情報通信、ネット、金融、商社、建設、不動産、住宅、保険、政治など様々な業界を取材する傍ら、スマートフォン向けアプリ「日経ビジネス5ミニッツ」を開発。2012年9月から2014年3月まで、日経ビジネスDigital編集長として日経ビジネスのデジタル端末向けのコンテンツやサービス開発を担当。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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2014年4月からロンドン支局に赴任しています。

かすむEUの未来

EU離脱交渉以上に深刻、英国内の分裂リスク

2017年3月30日(木)

ドナルド・トゥスクEU大統領(右)にEU離脱の書簡を渡すティム・バロー駐EU英大使(左)(写真:ロイター/アフロ)

 離脱に向けたカウントダウンが、ついに始まった。

 3月29日、英国はEU(欧州連合)に対して正式に離脱を通知した。同日から原則2年の交渉期間を経て、英国は44年にわたって加盟してきたEUから離脱する。

 この日午後1時過ぎ、ベルギーのブリュッセルで、英国のティム・バロー駐EU大使が、ドナルド・トゥスクEU大統領の元に向かった。同氏が手にする黒革のカバンには、前日にテリーザ・メイ英首相がサインした、離脱する旨を明記した6ページの書簡が入っている。

 バローEU大使の執務室がある建物からトゥスクEU大統領が居るEU本部までの距離は約200メートル。その途中には、EUの原点となったローマ条約の締結(1957年)から60年を記念する垂れ幕が掲げられている。

 バロー大使は200メートルの道のりを、車で向かった。そして、1時25分ころ、トゥスクEU大統領に書簡を手渡した。この瞬間、リスボン条約50条が正式に発動された。

 「9カ月経ち、(ようやく)英国が送ってきた」

 トゥスクEU大統領はこの直後、書簡を受け取ったことを自身のツイッターで写真と共に発信した。トゥスク大統領は、午後2時過ぎに記者会見を開き、「決してハッピーな日ではないが、これを機にEUの結束をより深め、ダメージを最小限にしたい」と述べた。3月31日までに英国を除くEU加盟27カ国に対して、基本的な交渉のガイドラインを示すことも明らかにした。

 EU加盟27カ国の首脳は3月25日に、欧州統合60年を記念する式典を開き、改めて結束を確認した。既に、英国との交渉に向けたスケジュールも固めている。まず3月31日と4月19日に、EU27カ国の事務スタッフが今後の交渉方針をすり合わせる。

 その後、4月27日に大臣級の会合を開催。4月29日に開くEU27カ国の首脳会合で、交渉に向けた方針の最終承認を得る。交渉はEU側の責任者であるミシェル・バルニエ元仏外相に委ねられる。英国とEUが具体的な交渉のテーブルに付くのは、5月以降と見られている。

 バルニエ氏も、英国が離脱を通知した後、「我々は交渉の準備ができている」とツイッターで発信した。

 英国とEUの間には、既に難題が山積している。3月15日の記事「英メイ首相のEU離脱通告は秒読み段階に」で報じた通り、EUは交渉に入る前に、約600億ユーロ(約7兆2600億円)の「手切れ金」の支払いを求めているほか、英国に在留するEU市民の権利を保証すると明確によう要求している。バルニエ氏は、「これらの問題の解決が、交渉開始の前提となる」と明言。

 一方の英国は、手切れ金について支払いを拒否する意向だ。EU市民の権利についても、明確な方針を明らかにしていない。むしろ、これらの点も離脱交渉に含めることで、難航が予想される貿易などの交渉材料にしようとする考えが透けて見える。期限とされる2年で交渉がまとまると見る関係者は少ない。

 バロー駐EU大使がトゥスクEU大統領に書簡を手渡したのとほぼ同時刻、メイ首相は英議会で演説し、「EUとは新しく、特別で深いパートナーシップを求める」と述べた。同時に、「EUとの交渉でベストの回答を得るために、英国民が一丸となって結束しなければならない」とも訴えた。

 「ただし、メイ首相の演説とは裏腹に、EUとの交渉に向けた英国国内の分裂が深刻な状況になっている。

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