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吉川 忠行(よしかわ・ただゆき)

航空経済紙「Aviation Wire」編集長

吉川 忠行

1972年東京生まれ。音楽制作ソフトの輸入代理店に7年間勤務後、2002年法政大学人間環境学部に編入学。都市計画や地域経済を学び、2004年同大学卒。同年ライブドア入社。同業初の独自取材部門「ニュースセンター」立ち上げに参画。経済・政治・社会分野を取材し、ライブドア事件も内側から報じる。退職後は仏AFP通信社等で取材を続け、2012年2月航空経済紙「Aviation Wire」創刊。
テクノロジーが前面に出がちな航空産業も人が支えていることを伝えたいと考え、取材を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 先日、取材の合間に新千歳空港へ立ち寄りました。普段は空港に降り立って早々に取材を始め、足早に東京へ戻ることばかりなのですが、この日は少々時間があったのでレストラン街で食事することに。ジンギスカンを食べたのですが、少々濃いめの味付けが徐々にやみつきになる旨さ。やはり旅は旨い料理とセットでないと盛り上がりません。
 東京へ早く帰ることしか考えていなかった最近の自分。おいしいジンギスカンが、旅のあるべきを思い出させてくれました。

吉川忠行の天空万華鏡

緊張感のないMRJ。航空ショーに模型すらなし

2018年2月16日(金)

 アジア最大の航空ショー、シンガポール航空ショーが2月6日から11日まで開かれた。偶数年の開催で、世界最大で奇数年に開かれるパリ、これに次ぎ偶数年にロンドン近郊で開催されるファンボローの2大航空ショーに次ぐ規模だ。

 シンガポールショーでは、民間機よりも戦闘機をはじめとする軍用機や、ホンダジェットなどビジネスジェットの展示が目を引いた。大型旅客機の展示は、エアバスの最新鋭機で2月14日には羽田へ飛来したA350-1000の飛行試験機が公開されたのみで、初公開の機体はなかった。

 三菱航空機が開発する「MRJ」をはじめとする、地方間路線を飛ぶリージョナルジェット機は、最大手であるブラジルのエンブラエルが次世代機「E190-E2」の飛行試験機や客室モックアップを出展。メディア向けのブリーフィングを設け、熱心にアピールしていた。

 しかし、肝心のMRJは、エンブラエルの対面にブースを構えるのみ。実機やモックアップの展示がないどころか、ブースには模型すら置かれていなかった。海外メディアの知人の中には、模型も展示していないブースを不思議がる人もいたほどだ。

シンガポール航空ショーで隣り合うMRJとエンブラエル(写真:吉川忠行、以下同様)
MRJブースには模型の展示もなく、海外メディアからは不思議がる声も

 三菱航空機は今、MRJの開発費が膨らんだことで、支出を抑えようとしている。2017年3月期通期の純損益は511億円の赤字で、510億円の債務超過に陥っているためだ。一方で、親会社である三菱重工業の宮永俊一社長は、2月6日に都内で開いた会見で「20年、30年のロングタームのサイクルビジネスとして処理している」と述べ、MRJのような完成機ビジネスは、腰を据えて取り組むべきとの姿勢を示している。

 今年1月には、MRJは初のキャンセルに見舞われた。これが開発遅延に起因するものかというと、そうではない。発注主である米国のイースタン航空が経営危機に陥り、FAA(米国連邦航空局)に事業免許を返上したことが要因だ。航空会社ではなくなったイースタンのMRJが、宙に浮いた状態になっていたため、キャンセルで合意に至った。

 MRJは5度の納入延期により、現在公表されている納期は2020年半ば。初号機は全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングスに引き渡されるが、東京オリンピックに間に合うかは微妙なところだ。

 納入延期によるキャンセルは今のところ発生していないが、MRJを取り巻く状況は依然として厳しく、さらに言えば日本の航空業界が置かれた状況も、決してバラ色ではない。

 それは、シンガポールショーでも存在感を示していたエンブラエルだけではなく、これまで劣化コピーしか作れないと日本企業が嘲笑してきた、中国企業の追い上げをはじめとする競争環境の激化と、日本企業内に流れる「良い製品を作れば受け入れられる」「日本製品の品質は世界一」という意識から生まれる隙だ。

 MRJや日本の航空業界には、どのような危機が迫り、どうすれば解決できるのだろうか。

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清野 智 東日本旅客鉄道会長