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大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

大竹 剛

1998年、デジタルカメラやDVDなどの黎明期に月刊誌「日経マルチメディア」の記者となる。同誌はインターネット・ブームを追い風に「日経ネットビジネス」へと雑誌名を変更し、ネット関連企業の取材に重点をシフトするも、ITバブル崩壊であえなく“休刊”。その後は「日経ビジネス」の記者として、主に家電業界を担当しながら企業経営を中心に取材。2008年9月から2014年3月まで、ロンドン支局特派員として欧州・アフリカ・中東・ロシアを活動範囲に業種・業界を問わず取材。2014年4月に東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 家具チェーン大手のイケア(スウェーデン)やファストファッション「ザラ」のインディテックス(スペイン)、食品大手ネスレ(スイス)など、欧州発の世界企業の動向に特に関心がある。福島第1発電所の事故以降、欧州各国の原子力産業を取材。最近はアフリカ大陸の経済発展の光と影に注目している。

英語公用化の虚実

翻訳AIの進化でこれ以上の英語学習は不要?

2017年12月11日(月)

 翻訳AI(人工知能)の技術が急速に進化している。ビジネス会議で同時通訳をしてくれる世界が目前に迫っている。英語を話すのが苦手な日本人にとっては朗報だが、そうした世界ではこれまでとは全く異なるコミュニケーションの力も必要になりそうだ。AI時代に必要な英語力や英語学習のやり方はどのように変わるのか。自動翻訳技術の第一人者、情報通信研究機構(NICT)フェローの隅田英一郎氏に話を聞いた。
隅田英一郎[すみた・えいいちろう]
国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)フェロー、先進的音声翻訳研究開発センター(ASTREC)副研究開発推進センター長(写真:的野弘路、以下同)

まず、機械翻訳の研究の世界では、どのようなことが起こっているのか、教えてください。

隅田英一郎・NICTフェロー(以下、隅田):今、AI(人工知能)の時代ということで、自動翻訳の世界でもニューラルネットワークを使うのが主流になっています。人間の脳の働きを機械に置き換える、深層学習とも言われるものですね。例えば、日本語で「あ、い、う」と言ったら、英語で「A、B、C」になりますよといった翻訳例文をどんどん覚えてさせていくと、少しずつ賢くなっていきます
(関連記事:深層学習AIで自動翻訳にパラダイムシフト

覚えさせる例文が多ければ多いほど、正確に訳せるようになるというわけですね。

隅田:そうです。こんな単純な仕組みで、どうして翻訳が上手くいくのか不思議に思われるかもしれませんが、この仕組みで翻訳精度が飛躍的に向上しています。

 例えば、次のような日本語の文章を従来の方法で翻訳すると、いかにも機械が翻訳したような感じの、よろしくない文章になるんです。

■日本語(原文)
近年のNMTの進展により、従来は自動翻訳が非常に困難だった日本語文章の英語への自動翻訳精度が飛躍的に向上した。

■従来技術(統計翻訳=SMT)で英訳
The Development of NMT in recent years, conventional automatic translation was very difficult to machine translation accuracy of Japanese sentences in English has improved

 ところが、これをニューラルで翻訳すると、すごく流暢な訳文になります。

■AI時代の技術(ニューラル翻訳=NMT)で英訳
With the recent development of NMT, the automatic translation accuracy of Japanese sentences that had previously been very difficult to translate has improved significantly.

 ただし、ニューラルによる翻訳にも欠点があって、100%の答えを出せるわけではないんです。この例文では、ニューラルによる翻訳だと「英語への」というフレーズが抜け落ちてしまっています。正確に訳すのなら、「translate into English」といったフレーズが入らないとダメですよね。

 これが時々重要な単語が抜け落ちてしまうという、ニューラルの典型な誤りです。それが今、大きな課題になっていて、世界中の研究者がこの問題を解決すべく競争しています。

覚えさせるデータを増やせばいいという問題ではないのですか。

隅田:アルゴリズムをもうちょっと整理していく必要があると思います。覚えさせる量が増えればより流暢になるのですが、たくさん覚えさせても、こういう誤りは起きてしまいます。そこは、アルゴリズムの改良が必要と思われています。

 ただし、それでも非常に良い翻訳ができるようになったことは事実です。NICTの音声翻訳システムもニューラルに移行したことで、タクシーや買い物などで使った時に意味が通じる翻訳をする率が2割くらい向上しました。非常に効果が出ています。

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