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磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

磯山 友幸

ジャーナリスト。経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材中。1962年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。早稲田大学大学院非常勤講師、上智大学非常勤講師。静岡県アドバイザーも務める。著書に『国際会計基準戦争完結編』『ブランド王国スイスの秘密』(いずれも日経BP社)など。共著に『オリンパス症候群』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)。

◇主な著書
国際会計基準戦争完結編』(日経BP) 2010
ブランド王国スイスの秘密』(日経BP) 2006

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

磯山友幸の「政策ウラ読み」

東芝の原子力幹部に届いた「直訴状」

2017年6月23日(金)

米ウエスチングハウスが関わる、米ジョージア州ボーグル原子力発電所3/4号機建設現場。原発の建設だけでなく維持運営についても技能伝承が課題だ。(写真:2017 Georgia Power Company)

 経営危機に直面している東芝から、次々と原子力技術者が去っている。「会社」を存続させるため、半導体メモリー事業の売却に経営陣や政府が躍起になっている間に、肝心の原子力部門が静かに崩壊を始めているのだ。東芝の原子力部門は東京電力福島第1原子力発電所の汚染水処理や廃炉で中心的な役割を担ってきた。そこからの人材流出は、国民の生命に直結する事故処理の大きな支障になりかねない。

 東芝は6月21日、半導体メモリー事業の売却交渉で、官民ファンドの産業革新機構を軸とした「日米韓」連合と優先的に交渉すると発表した。同日午前に開いた取締役会で決議した。日米韓連合には、産業革新機構と日本政策投資銀行、米投資ファンドのベインキャピタル、そして韓国半導体大手のSKハイニックスが加わる。

 報道によると、「日米韓連合」は優先交渉権を得て、東芝の半導体メモリー子会社を買収するための特定目的会社(SPC)を設立。産業革新機構と政策投資銀行が各3000億円、ベインキャピタルが8500億円を出資するという。ベインキャピタルの出資額のうち4000億円をSKハイニックスが融資、三菱東京UFJ銀行からも5500億円の融資を付けることで、東芝が望んでいる「2兆円」の買収資金を確保する見通しだという。

 事態は流動的だが、東芝は6月28日に開催する定時株主総会までに最終合意し、2018年3月までの売却完了を目指すとしている。

「付け焼き刃」に終始する経済産業省

 日米韓連合の組成には政府・経済産業省の意向が大きく働いた。だが、国が設立して税金も投入されている産業革新機構を使うにもかかわらず、政府は、東芝を建て直すための全体像も、半導体や原子力などの産業を今後どうしていくのか、という産業政策も持ち合わせていない。付け焼き刃の対応に終始しているのだ。

 政府が主導して半導体メモリー事業の買収受け皿を用意したのは、決して「東芝を守る」ことが目的ではない。もともと経産省は東芝問題に尻込みしていた。粉飾決算が表面化して経営陣が入れ替わった後、2016年3月末に医療機器事業を売却したあたりまでは「東芝救済」に動く経産省幹部もいたが、同年末に米原子力事業での巨額損失が発覚すると経産省の動きは止まった。

 もともと、東芝が米原子力大手ウエスチングハウスを買収する過程で、経産省幹部が深く関与しており、「経産省の責任」を問われるのを恐れたからだ。買収当時に担当課長だった現職幹部は、東芝について一切口にしなくなった。

 そんな経産省が半導体事業の売却について口を出し始めたのには1つのきっかけがあった、と官邸関係者は言う。

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