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佐々木 勝(ささき・まさる)

大阪大学大学院経済学研究科教授

佐々木 勝

大阪大学大学院経済学研究科教授。ジョージタウン大学でPh.D(経済学)取得。世界銀行、アジア開発銀行、関西大学、大阪大学社会経済研究所を経て2011年4月から現職。専門は労働経済学。


※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「気鋭の論点」

経済学で考える、もっと違った投票の仕方

2014年12月18日(木)

 大義はともかくとして、衆院解散・総選挙に踏み出した安倍首相は地滑り的大勝利を手にすることができた。首相にとって今回の解散・総選挙に踏み出すきっかけになった1つは消費税率引き上げの決定であろう。首相は選挙公約で消費税率引き上げを先延ばししても、2020年度には基礎的財政収支を黒字化する目標は堅持することを表明した。

 しかし、大胆な歳出削減に取り組まない限りその目標達成は難しいであろう。歳出削減の取り組みが不十分だと次の世代に負担を掛けることになる。今後、我々は財政規律が保たれるのかどうかを注視する必要がある。

将来のためある程度の資源を残す仕組みは?

 消費税率引き上げの先延ばしと将来の負担の関係のように、限られた資源を今消費しすぎないで、将来にある程度資源を残すような社会を形成するのに、参加者全員による投票が有効だという研究がある。2014年7月10日号の「Nature」 (Letter)に掲載されたオリバー P. ハウサー氏らによる実験研究を紹介する。

 ここでは、1グループ5人の被験者が、繰り返し協調的な公共財ゲームをプレーする。グループに前もって100ポイントが与えられているとする。この100ポイントをグループ・メンバー全員で共有する意味で「公共財」とみなし、そしてグループ内の5人で100ポイントを分け合う。分け与えられたポイントが各自の利得となる。分け合う方法は2つ取りあげる。1つ目の方法は「自己申請方式」であり、2つ目は「中位投票方式」である。

 では、ゲームの内容を詳しく解説しよう。まず1つ目の自己申請方式でのゲームの進め方を説明する。グループ内の各被験者は1~20ポイントのいずれか自分がほしいポイントを同時に提示し、その提示したポイントは100ポイントから差し引かれる。提示したポイントは自分の利得として獲得することができるとする。

 グループ内のAさんが「8ポイントほしい」と提示すれば、Aさんは8ポイント獲得できるし、Bさんが「15ポイントほしい」と言えば、15ポイントを獲得できる。ただし、各被験者がほしいと提示したポイントの合計がグループ全体で50ポイントを超えると自動的にゲームは終了する。例えば、Aさんが8ポイント、Bさんが15ポイント、Cさんが5ポイント、Dさんが12ポイント、Eさんが17ポイントを提示した場合、提示されたポイントの合計は57ポイントとなり、自動的にゲームは終了することになる。

 もしグループ内の被験者5人が提示したポイントの合計が50ポイントを超えなかった場合、80%の確率で再びグループ全体に「公共財」として100ポイントが与えられる。そしてグループ内の各被験者は獲得したいポイントを再度提示することができる。グループ全体で50ポイントを超えないように協調し、各自が自重しながら獲得したいポイントを提示すれば、同じゲームを繰り返しプレーすることができる。その結果、各被験者が獲得できる合計ポイントは最終的に増えることになる。

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