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藤原 一平(ふじわら・いっぺい)

慶応義塾大学経済学部教授

藤原 一平

英オックスフォード大学経済学博士、大阪大学応用経済学博士。1993年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本銀行入行。金融研究所などを経て2011年10月からオーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院准教授、応用マクロ研究センター副所長。2013年から豪日研究センター所長。2014年から現職。Japan and the World Economy編集委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「気鋭の論点」

財政再建なくしてインフレ目標の成功なし

2013年1月21日(月)

 日本では再び、金融政策に大きな関心が集まりつつある。デフレ、あるいは少なくともディスインフレーションが長く続く中、たとえ名目金利が非常に低水準にあったとしても実質金利(名目金利-期待インフレ率)は高く、これが経済活動を阻害しているとの意見も聞かれる。12月の総選挙で地すべり的勝利を収めた自民党は、日本銀行がこれまで以上に緩和的な政策を採り、インフレ率を引き上げるべきだと主張している。

 安部晋三首相は、中央銀行がインフレ目標を2%程度に設定すべきと提案している。これ自体には特に違和感がないが、これを必ず達成するために、日本銀行が将来、量的緩和政策を強化し、日本国債の大量購入に迫られる可能性がある点は気にかかる。

 まずあくまで筆者の主観的な見方に基づくが、2~3%程度のマイルドなインフレ率が長期的には望ましいと考えられる。

マイルドなデフレからは大きな厚生損失があるのか?

 しかし理論的な研究からは、これまで日本が経験している「マイルドなデフレ」から、大きな厚生損失が生じていると報告しているものはいまだにみられない。長期的に見てインフレ目標を達成することは重要なのだが、過激な緩和政策を採ってまでインフレ目標の短期的達成を試みなくてはならない理論的根拠がはっきりしない。次に、例えば国債購入枠の増加といったさらなる非伝統的な金融緩和をしても、名目金利のゼロ制約の下ではマイルドなインフレ率を達成できるか分からないという論点がある。

 これらは重要な論点である。最初の論点は、どのレベルにインフレ目標を設定すべきかといった論点と関連している。理論的には複雑な問題になるが、インフレ率といった名目変数が、GDP(国内総生産)といった実質変数にどのような影響を与えるか(名目価格の硬直性のあり方)に依存する。重要な論点ではあるが、議論がテクニカルなものとなるため本稿では論じない。

 第2の点は、政策の実践という面でも重要な論点だ。言い換えると、中央銀行による国債買い入れの増加といったより一層の金融緩和によって、マイルドなインフレ率は達成できるのか否かといった疑問である。これに関して、インフレ率や物価の決定に関してマクロ経済学が提供する2つの見方を、まず紹介したい。1つ目は、インフレ率は金融政策によって決められるとする見方であり、もう一方は、財政政策がこれを決定するという考え方である。

 おそらく最初の見方の方が、読者には馴染み深いものであろう。中央銀行は名目金利の変更を通じて、名目総支出をコントロールする。名目金利が低ければ、家計や企業は借り入れを増やして支出を増加させ、結果として生産や生産コスト(賃金)が上昇する。この結果、インフレ率は上昇する。なお、マネーサプライのコントロールといった量的な金融政策も、名目金利がゼロ制約に直面していない限りはほぼ同じ働きをする。

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