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もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

もり ひろし

鳥取県出身。1991年に電気通信大学を卒業後、CSK総合研究所(現CRIミドルウェア)に入社。プログラマーや商品企画などを担当。1998年からフリーライターとなり、新語を専門テーマとする。辞書原稿の執筆をメインとしながら、雑誌・新聞・ウェブサイトにも原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 街中でも、つい「コトバ」を探してしまうのが自分の習性。先日も商店街の途中で「木工一丼(もっこういちどん)」なる謎の新メニューを発見して、一瞬小躍りしたものの、その料理名が実は「ホエー丼(ほえーどん)」であることに気づいて、いろんな意味でガッカリした次第です。「伝説のすた丼屋」さん、見間違えてごめんなさい。ちなみにホエーとは乳清(にゅうせい)のことですね。チーズを作るときにできる液体です。これを飲ませて飼育したホエー豚の肉を使っているから、ホエー丼なのだそうです。

 ネット(特にツイッター)では、この種の見間違いのことを「空目(そらめ)」と表現するようになって久しいようです。空耳(そらみみ)の視覚バージョンなので空目というわけです。

 この空目、実はツイッターユーザーの創作というわけではなく、古くからの日本語に存在する語彙のひとつなのだそう。調べてみたら平安時代にはすでに用例が存在する古い言葉でした。「人間のうっかり加減は昔から変わらないものなんだな」と、自分を納得させている次第です。

社会を映し出すコトバたち

改元で起こる、コトバの出来事

2018年1月9日(火)

 あけまして、おめでとうございます。2018年は「平成30年」という節目の年でもありますね。

 その平成が来年、つまり2019年に終わることになりました。政府は2017年12月13日、天皇陛下の退位日を2019年4月30日と定める政令を公布。これにより、同年5月1日に改元――すなわち元号の変更――も行われることになったのです。その新元号は、2018年中には発表される見込みになっています。

 元号の選定において留意すべき事項は、1979年(昭和54)に大平内閣に報告された「元号選定手続きについて」に記されています(なお元号法の成立・公布も同年)。これによると「国民の理想として相応しい意味を持つ」「漢字2字である」「書きやすい」「読みやすい」「これまでの元号や諡(おくりな=この場合は天皇の死後の呼称)とかぶらない」「俗用されていない」といった基準があります。

 ただ漏れ伝わる話を総合すると、以上のほかにも留意すべき事柄が存在するようです。例えば「中国の古い文献に典拠を求めること」「ローマ字表記の始まりがM(明治)・T(大正)・S(昭和)・H(平成)以外であること」といった条件も考慮される見込みです。

 すでに世間からは、改元にまつわる様々な声が聞こえてきます。「新しい元号はどんな元号になるのだろう」のようにワクワクする声があるいっぽうで、「システム開発やカレンダーの業界の人は大変そう」といった心配の声も聞こえてきます。ともあれ、そういった様々な声が聞こえてくるほど、改元は日本社会にとって一大事であるということでしょう。

 その一大事は「言葉の世界」にとっても同じです。例えば過去の改元事例を振り返ってみると、「新元号を絡めた会社名が増えた」「旧元号が古い世代を象徴する言葉に変化した」といった出来事が起こったのです。

 そこで今回の『社会を映し出すコトバたち』は「改元で『言葉の世界』に起こる出来事」をテーマにお送りします。過去の改元で、言葉の世界にどのようなことが起こったのかを紹介しながら、来る改元で起こりそうな出来事を予想してみます。

新元号に起こること(1)流行語大賞はどうなる?

 まずは「新元号に起こること」をテーマに、いくつかの話題を紹介することにしましょう。

 最初の話題は「新語・流行語大賞」です。おそらく2019年の新語・流行語大賞では、新しい元号が何らかの賞(トップテンもしくは選考委員特別賞)を受賞するのではないでしょうか。

 筆者がこう予想するのは「過去の実績」があるからです。

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野口 悠紀雄 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問