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西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

西 雄大

2002年同志社大学経済学部卒業、大学在学中は情報システム関連の研究をしていた。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、情報通信、ネットなどを担当する。

◇主な著書
突撃取材! こちら就活探偵団』(日本経済新聞出版社) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

それは訴えてもムダ「勝てる裁判」「負ける裁判」

海外進出に潜むワナ

2017年11月17日(金)

 日本は少子高齢化社会を迎え、多くの企業は成長の伸びしろを海外に求めている。だが日本と同様の考えで進出してしまうと思わぬつまづきにあってしまう。

 例えば、中国は模倣品があふれている。模倣品の代表例としては高級腕時計やブランドバッグを模したものがある。中国政府も取締りを強化しているため模造品の販売店の多くは閉店に追い込まれている。自社の商標権などが侵害された場合、工商行政管理局(中国商標出願・保護に関わる機関)に取締りを請求できる。違法と認められれば商品を差し押さえとなる。並行して日本でも税関で輸入を差し止める。2016年度の輸入差止件数は62万2665点で約114億円分にもなる。9割以上が中国からの輸入だった。

 実はまだ取締りをくぐり抜け、模倣品を扱う店が中国・深センにあった。とある駅前にある商業ビルには、紳士服店や宝石店など様々な業態が軒を連ねている。これらの店は裏の顔がある。それが模造品販売だ。店内に入ると店員が模造品を売り込む。「S(スーパー)級だ」「中身は日本製だから安心だ」などと声を掛ける。ロレックスやオメガといった高級時計やルイ・ヴィトンといったブランドバッグのほか、モンブランのボールペンのコピー商品が売られていた。店員は「日本への輸出もやっている」と明かす。

 店員と値引き交渉がまとまると、どこかへ電話する。10分ほど待つと別の店員が商品を届けにやってくる。万が一取り締まりが行われた時に備え、商品は別の倉庫に隠されているのだ。ロレックスのエクスプローラーⅠの模倣品を手にしたがが、外観では判別がつかない。身につけたところ本物より軽い以外に違和感はなかった。

 相手に「模倣品を作るな」と言ってもいたちごっこが続くに違いない。

 実際、広島で手芸用針や半導体検査装置で使うピンなどを製造するチューリップ(原田耕太郎社長)は模倣品被害に悩んでいた。同社は縫いやすさが顧客の支持を集め、トルコやドバイなど40カ国以上に輸出している。この世界では世界的なトップブランドへと成長している。

 原田社長は長年、トップブランドであるがゆえに模倣対策に悩みを抱えていた。梱包も正規品そっくりで見た目には分からない。質は悪いものの、正規品の半額で販売されていたのだ。

 原田社長は現地に乗り込み販売ルートを探し韓国で模倣製造機を発見できた。その工場は潰せたが、機械が中国に渡り模造品が作り続けられてしまい解決するまでに10年かかった。チューリップのように解決までに時間と費用がかかる。

 こうした模倣品は本来、得られるはずだった利益を奪う企業に対し、損害賠償請求を起こしても逃げの一手をとられ労力ばかりがとられかねない。特に外国企業が訴訟を起こしても、現地企業に軍配が上がることが多い。特に遵法意識が低い国においては法を盾に戦っても無駄だ。

グローバル企業も模倣の標的に(写真=ロイター/アフロ)

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