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金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

金田 信一郎

1990年日経BP社入社、日経ビジネス記者として企業不祥事や経済事件を長らく担当、2006年ニューヨーク特派員、2010年副編集長に就任。2014年から日本経済新聞編集委員として企業事件を取材、その記事を加筆修正した『失敗の研究』を2016年に出版。2017年より現職。

◇主な著書
失敗の研究』(日本経済新聞出版社) 2016
テレビはなぜ、つまらなくなったのか』(日経BP) 2006
真説バブル』(日経BP) 2000

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

有訓無訓

運がいい人は必ず、地道な努力を重ねている

2018年4月26日(木)

(日経ビジネス2018年2月23日号より転載)

(写真=的野 弘路)

 よく、「あいつは運がいい」と言います。あたかも、強運を持ちあわせているかのように。でも、よく見ると、幸運って誰かが運んでくれているんですね。だから、「運がいい」と言われる人は、みな、出会いをすごく大切にしています。逆に、「オレは運が悪い」という人は、どこか人とのつながりを大切にしていないように思います。

 先日、ある大企業のトップと話をしていると、「カネボウ(クラシエホールディングスの前身)と言えば、彼だよね」と元幹部の名前が出てきました。酒豪で宴会芸もうまいので、一度会えば忘れられない人です。実は、私にとっても「師匠」と言える存在でした。まったくの偶然でしたが、「つながり」を大切にしてきた彼の姿勢が起こした必然にも思えます。

 その先輩に出会ったのは入社直後のことでした。化粧品部門に配属され、西宮(兵庫県)にある寮に入ると、7年上の「主」のような人がいる。自分の部屋だけでなく、もう2室を物置に使っていて、その1室は「図書館」と呼ばれ、哲学書からマーケティングの本、小説まであらゆる書籍が積み上がっていました。

 「おまえ、学生時代は、どうせスポーツぐらいしかやってなかったんだろう。これからは1日5分でもいいから、毎日、本を読め」

 そういう本人は、どんなに酔って帰っても、1日3時間の読書を続けているという。嘘だと思って、深夜にトイレに起きるたびに、「図書館」のドアをそっと開けてみましたが、いつも机に向かっている。だから、こちらも読まざるを得ませんでした。おかげで、あらゆるジャンルの本を読むことが習慣になっています。

 それが、どれだけ「人付き合い」を広く深くしてくれたか。知識や教養ということだけではありません。書店の中を歩きながら、面白そうな本を探します。すると、思いがけない「出会い」がある。それは、人付き合いと根底で通じます。米国の有名な医学者いわく、「読書は仕事に直結するものは2割でいい。8割は関係ない本を読むことが有効である」と言ったそうです。一見、関係のない内容に、思いがけない気付きがあり、仕事にも生きてきます。

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野口 悠紀雄 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問