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市川 芳明(いちかわ・よしあき)

日立製作所知的財産権本部国際標準化推進室主管技師長

市川 芳明

1979年東京大学工学部機械工学科卒業。日立製作所入社後、原子力の保全技術及びロボティクス分野の研究に従事。1995年より環境保全分野のソリューションビジネスを立ち上げる。2000年初代の環境ソリューションセンタ長を経て、現職。東京工業大学、お茶の水女子大学、筑波大学の非常勤講師を経験し、現在は東京都市大学非常勤講師。IEC(国際電気標準会議)TC111議長、ISO TC 268/SC1議長、ISO TC207エキスパート、CENELEC(欧州電気標準委員会)オブザーバー、工学博士、技術士(情報工学)。

◇主な著書
環境配慮設計-エコデザイン-の要求事項』(日本規格協会) 2011
REACH対応実務の手引き』(中央法規出版) 2008
EuP指令とエコデザインマネジメント入門』(産業環境管理協会) 2006

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 毎年20万マイルも海外に出かけるようになってしまいました。「機上で暮らしている人だ」と紹介されることもしばしば。年末まで既に予定が入っていますが、今年はボツワナ共和国での会議が楽しみです。最初は環境分野から始めた国際標準化ですが、いまはあらゆる分野の相談を受けるようになり、業界にとってメリットのあることには全て貢献できるよう努力しています。標準をビジネスにどう活用するかの戦略と実行に自ら関わっていくつもりです。

市川芳明 世界環境標準化戦争

スマートシティー評価の枠組み固まる

2015年12月28日(月)

 2015年9月27日に、北京で「北京国際デザインウィーク都市復興2050シンポジウム」が開催され、その講演に招待された。思った以上に盛大な会合で、バルセロナやヨハネスブルクをはじめ、世界各地のスマートシティー建設の実績が、その都市設計者自らの熱い語り口で披露された。その中で私はISO TC 268 SC 1の議長として国際標準化の進捗について講演した。ISOのスマートシティー標準もいよいよ活用できるフェーズに入ってきたと思っている。本連載ではしばらくご無沙汰していたので、今回は最近の進捗と成果について紹介したい。

「北京国際デザインウィーク都市復興2050シンポジウム」での招待講演

 ところで、この会議に国連開発計画(UNDP)の方も参加しており、つい先日SDGが合意されましたと発表の中で述べていた。このSDG<注1>とは、Sustainable Development Goalsのことで、2015年から2030年までに世界で達成すべき目標を国連として合意したものである。今年は、過去の15年間で取り組んできたMDG(Millennium Development Goal)がほぼ達成された年でもあり、次の15年間の議論が進んでいたのだ。

 MDGとの大きな違いは、MDGが貧困、飢餓、伝染病撲滅など途上国中心の基本的人権問題を解決することに主眼が置かれていたことに対して、SDGはより発展した人類の将来課題を解決することにシフトしたことである。17項目の目標があるが、なんと、その11項目目が、「サステナブル・シティーとコミュニティー」だ。偶然だが、我々の活動が国際的な大目標に整合している。

スマートシティー・インフラ標準化の成果

 ISO TC 268 SC 1は、2012年の設立後、ほぼ3年が経過している。その間に参加国は19カ国に増え、活動の種類も増えてきた(図2)。アドホックグループ(AHG 2とAHG 3)は来年にも新しいWG(作業部会)に昇格することが見込まれている。WG 2は既に活動を開始し、近々、最初の成果である技術報告書ISO TR 37152「スマートコミュニティー・インフラストラクチャ - 開発と運用の共通枠組み -」が発行される予定である。

 SC 1の中でも、最も古くから活動しているWG 1「評価指標」では、2015年の5月にISO TS 37151「性能評価指標の一般原則と要求事項」を発行した。この規格は使い方次第では将来の都市インフラ投資の「質の改善」に重要な貢献が期待されるものであり、このコラムでその要点を解説したい。

図2 TC ISO268 SC1の内部構成

ICTを使えばスマート?

 国際標準規格の重要な役割の一つは言葉や概念の定義である。これまでスマートシティー、あるいはスマートコミュニティーという言葉が世界中で多用されてきたが、明確な定義はなされていない。我々も「シティー(都市)」を定義するのはさすがに出過ぎたまねとわきまえ、「インフラ」を定義することにした。

 まず、インフラとは何を指すのかということが肝心だ。広くとらえると社会のルール(法律)などのソフトインフラをはじめ、道路などの基礎構造物もさすのであろうが、ISO TS 37151では、①エネルギー、②輸送/交通、③上下水道、④廃棄物/リサイクル、⑤IT/データ、の5つのインフラを基本的な対象としている。

 ISO TS 37151では、国際合意のもと、下記の定義が規定された。これはスマートシティーに関連する概念としての国際標準における定義としては世界で初めてのものになる。

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